ルクセンブルク四重奏団のOp.20のNo.6(ハイドン)
先日取りあげたルクセンブルク四重奏団のもう一枚のアルバム。

ルクセンブルク四重奏団(Quatuor de Luxembourg)の演奏で、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.20のNo.6、ルクセンブルク現代の作曲家マルコ・ピュッツ(Marco Pütz)の「記憶(Memento)」、チェコ近代の作曲家エルヴィン・シュルホフ(Erwin Schulhoff)の弦楽四重奏曲1番、コンゴルドの弦楽四重奏曲2番(Op.26)の4曲を収めたアルバム。収録は2004年7月19日から21日まで、ルクセンブルクのヴィラ・ロヴィニー(Villa Louvigny)のホールでのセッション録音。レーベルは彼らのアルバムに共通でJCH PRODUCTIONS。
念のためこれまで取りあげた記事へのリンクを載せておきましょう。
2013/07/20 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : ルクセンブルク四重奏団のOp.20のNo.5
2011/10/02 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : ルクセンブルク四重奏団のOp.20 No.2
普段は同じ演奏者のアルバムを続けて何枚も取りあげる事はないのですが、このアルバムは特別です。2つ前の記事で取りあげたOp.20のNo.5も素晴しかったのですが、このアルバムはそれを上回る素晴しさ。この曲のベストといっても良いでしょう。Op.20のNo.2を入れた最初のアルバムが2000年の録音、Op.20のNo.5を入れたアルバムが2001年、そしてこのアルバムは2004年と一番最近の録音。メンバーもその度に少しずつ入れ替わっています。このアルバムのメンバーは以下のとおり。
第1ヴァイオリン:矢口統(やぐちおさむ)
第2ヴァイオリン:Barbara Witzel
ヴィオラ:Kris Landsverk
チェロ:Valérie Mélinon
前の録音から第2ヴァイオリンとチェロが変わっています。このアルバムを送っていただいた第1ヴァイオリンの矢口統(やぐちおさむ)さんは変わりありません。
Hob.III:36 / String Quartet Op.20 No.6 [A] (1772)
メンバーは一部変わっていますが、矢口さんがコントロールしているのか、このクァルテット独特の自然な呼吸のようなソノリティは変わらず、冒頭から構えなく、いきなりハイドンの弦楽四重奏曲の世界に没入できます。コミカルなリズムが特徴の1楽章は実に自然に各楽器が重なりながら、この曲独特の感興を表現していきます。いつもながら矢口さんのヴァイオリンの中音域の豊かな響きが絶品。ほれぼれするようなヴァイオリンの美音が聴かれます。このアルバム、録音も鮮明で言うことなし。あまりに鮮明すぎて、恐ろしく自然に聴こえる理想的なもの。おそらくメンバーも今までで一番の腕利き揃いなのでしょう。4人の音色も良くそろっています。
2楽章はアダージョ。少し速めのテンポで、音楽の呼吸の深さは保ちながらすすめます。途中のヴァイオリンが一気に高音に跳ね上がるところもあっさりとした演出ですが、ヴァイオリンの千変万化する音色とフレージングの方に耳を奪われ、音楽全体に感心が移っています。4人の奏者の音の重なりのデリケートさに耳を奪われます。
続くメヌエットですが、この曲でこれほど充実したメヌエットは滅多にありません。クッキリとしたヴァイオリンと豊かな響きの他の楽器との掛け合いがこれほど豊穣な音楽だったと、ハッとさせられる演奏。
そしてフィナーレは軽いタッチで各楽器の音階が複雑に絡み合い、最後に束ねられて素晴しいエネルギーを噴出します。早いパッセージのキレはキレすぎてこちらも自然に聴こえるほど。このフィナーレも最高。
これまで聴いたこの曲の演奏ではベストです。構えなくすっと自然に入りますが、聴いているうちにすぐにその音楽の豊かさに打たれます。音色や響きとった要素ではなく、まさにハイドンの音楽の創意の源、活き活きとした鼓動、音符のつながりに宿る力のようなものをとらえた演奏と言っていいでしょう。ハイドンの評価はもちろん[+++++]です。現代最高のハイドン演奏の一つと断じます。まさにハイドン自身に聴かせてあげたい演奏です。
このアルバム、素晴しいのはハイドンばかりではありません。続くマルッコ・ピュッツ、エルヴィン・シュルホフなどの現代ものも素晴しいキレと迫力。そしてコンゴルドもこれまで聴いたなかではベストです。これほどの演奏を聴かせるルクセンブルク四重奏団、ぜひ日本に来てこのアルバムのような多彩なプログラムでのコンサートをお願いします。

ルクセンブルク四重奏団(Quatuor de Luxembourg)の演奏で、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.20のNo.6、ルクセンブルク現代の作曲家マルコ・ピュッツ(Marco Pütz)の「記憶(Memento)」、チェコ近代の作曲家エルヴィン・シュルホフ(Erwin Schulhoff)の弦楽四重奏曲1番、コンゴルドの弦楽四重奏曲2番(Op.26)の4曲を収めたアルバム。収録は2004年7月19日から21日まで、ルクセンブルクのヴィラ・ロヴィニー(Villa Louvigny)のホールでのセッション録音。レーベルは彼らのアルバムに共通でJCH PRODUCTIONS。
念のためこれまで取りあげた記事へのリンクを載せておきましょう。
2013/07/20 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : ルクセンブルク四重奏団のOp.20のNo.5
2011/10/02 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : ルクセンブルク四重奏団のOp.20 No.2
普段は同じ演奏者のアルバムを続けて何枚も取りあげる事はないのですが、このアルバムは特別です。2つ前の記事で取りあげたOp.20のNo.5も素晴しかったのですが、このアルバムはそれを上回る素晴しさ。この曲のベストといっても良いでしょう。Op.20のNo.2を入れた最初のアルバムが2000年の録音、Op.20のNo.5を入れたアルバムが2001年、そしてこのアルバムは2004年と一番最近の録音。メンバーもその度に少しずつ入れ替わっています。このアルバムのメンバーは以下のとおり。
第1ヴァイオリン:矢口統(やぐちおさむ)
第2ヴァイオリン:Barbara Witzel
ヴィオラ:Kris Landsverk
チェロ:Valérie Mélinon
前の録音から第2ヴァイオリンとチェロが変わっています。このアルバムを送っていただいた第1ヴァイオリンの矢口統(やぐちおさむ)さんは変わりありません。
Hob.III:36 / String Quartet Op.20 No.6 [A] (1772)
メンバーは一部変わっていますが、矢口さんがコントロールしているのか、このクァルテット独特の自然な呼吸のようなソノリティは変わらず、冒頭から構えなく、いきなりハイドンの弦楽四重奏曲の世界に没入できます。コミカルなリズムが特徴の1楽章は実に自然に各楽器が重なりながら、この曲独特の感興を表現していきます。いつもながら矢口さんのヴァイオリンの中音域の豊かな響きが絶品。ほれぼれするようなヴァイオリンの美音が聴かれます。このアルバム、録音も鮮明で言うことなし。あまりに鮮明すぎて、恐ろしく自然に聴こえる理想的なもの。おそらくメンバーも今までで一番の腕利き揃いなのでしょう。4人の音色も良くそろっています。
2楽章はアダージョ。少し速めのテンポで、音楽の呼吸の深さは保ちながらすすめます。途中のヴァイオリンが一気に高音に跳ね上がるところもあっさりとした演出ですが、ヴァイオリンの千変万化する音色とフレージングの方に耳を奪われ、音楽全体に感心が移っています。4人の奏者の音の重なりのデリケートさに耳を奪われます。
続くメヌエットですが、この曲でこれほど充実したメヌエットは滅多にありません。クッキリとしたヴァイオリンと豊かな響きの他の楽器との掛け合いがこれほど豊穣な音楽だったと、ハッとさせられる演奏。
そしてフィナーレは軽いタッチで各楽器の音階が複雑に絡み合い、最後に束ねられて素晴しいエネルギーを噴出します。早いパッセージのキレはキレすぎてこちらも自然に聴こえるほど。このフィナーレも最高。
これまで聴いたこの曲の演奏ではベストです。構えなくすっと自然に入りますが、聴いているうちにすぐにその音楽の豊かさに打たれます。音色や響きとった要素ではなく、まさにハイドンの音楽の創意の源、活き活きとした鼓動、音符のつながりに宿る力のようなものをとらえた演奏と言っていいでしょう。ハイドンの評価はもちろん[+++++]です。現代最高のハイドン演奏の一つと断じます。まさにハイドン自身に聴かせてあげたい演奏です。
このアルバム、素晴しいのはハイドンばかりではありません。続くマルッコ・ピュッツ、エルヴィン・シュルホフなどの現代ものも素晴しいキレと迫力。そしてコンゴルドもこれまで聴いたなかではベストです。これほどの演奏を聴かせるルクセンブルク四重奏団、ぜひ日本に来てこのアルバムのような多彩なプログラムでのコンサートをお願いします。
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