作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ヘルムート・ウォビッシュ/アントニオ・ヤニグロのトランペット協奏曲(ハイドン)

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今日もLPから。

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ヘルムート・ウォビッシュ(Helmut Wobisch)のトランペット、アントニオ・ヤニグロ(Antonio Janigro)指揮のイ・ソリスティ・ディ・ザグレブ(I Solisti di Zagreb)の演奏で、ハイドンのトランペット協奏曲を取りあげます。収録年はLPには表記されていませんが、YouTubeにアップされた動画に1951年との記載があります。収録場所等はLPに記載がありません。レーベルは米VANGUARD。

今日取り上げるLPはVANGUARDのThe Best of Haydnという2枚組のアルバム。モーゲンス・ヴェルディケ/ウィーン国立歌劇場管弦楽団の軍隊、グリラー四重奏団の騎士、アントニオ・ヤニグロ/ラジオ・ザグレブ交響楽団の告別など、VANGUARDレーベルの名録音からここぞという演奏を選りすぐった、まさにベスト盤。この中の1曲が今日取り上げるトランペット協奏曲です。

このLP、しばらく前にディスクユニオンで手に入れましたが、なんと、未開封盤。薄いビニールを、まさに今日、ひっちゃぶって開封。開封の瞬間、いつものとおり過呼吸に陥りました(笑)
埃をクリーナーでさっと拭き取ると、まったく針を落とした事のないLPということで、全くノイズのない素晴しいコンディション。過呼吸から回復できません! いやいやお宝がまだまだあるものですね。

さて、アントニオ・ヤニグロのハイドンは以前に取りあげています。ヤニグロの紹介は「悲しみ」の方の記事をご覧ください。

2012/04/26 : ハイドン–交響曲 : アントニオ・ヤニグロ/ラジオ・ザグレブ交響楽団の「受難」
2012/04/24 : ハイドン–交響曲 : アントニオ・ヤニグロ/ラジオ・ザグレブ交響楽団の「悲しみ」

記事を読んでいただければわかるとおり、両者とも素晴しすぎる名演奏。古典的なハイドンの交響曲の名演奏として今も燦然と輝いています。

トランペットを吹くヘルムート・ウォビッシュは1912年、ウィーン生まれのトランペット奏者で後にウィーンフィルの管理サイドとして活躍した人。ウィーン大学で哲学と化学を、ウィーン音楽アカデミーに入学し音楽を学んだという異色の経歴の持ち主。1936年にはウィーン国立歌劇場でトランペットを吹くようになりました。1939年にはウィーンフィルのメンバーとなりましたが、ヒトラー時代に若手の管楽トレーナーとして働いていたため、1950年までウィーンフィルに復帰できない時代がありました。その後ウィーンフィルでトランペット奏者を務めた後、管理サイドに入り、1980年に亡くなっています。

Hob.VIIe:1 / Concerto per il clarino [E flat] (1796)
オリジナル盤ほどのキレではありませんが、序奏から素晴しい広がりある音響。ヤニグロのコントロールするオケは艶やかかつ引き締まった素晴しいもの。湧き出るようなエネルギー感が素晴しいですね。ウォビッシュのトランペットはカッチリした音色で、オケのエネルギーを制しようとするようにテンポがうわずります。かなりインテンポで攻めてくるトランペット。とろけるようなヤニグロのサポートに対して、野武士のように立ちはだかります。しきりにブレスをコントロールしているように感じる、まさに息づかいのわかるリアルなトランペット。協奏曲の醍醐味満喫です。カデンツァに入らんとするところからは、明らかに早い入りで主導権を握ろうとします。カデンツァ自体はオーソドックスなもの。
アンダンテはことさら情感を強調する事なく、淡々と演奏。この淡々とした風情が郷愁を感じさせるんですね。LPで聴く実体感と空気感、そしてちょっと古びた音色が相俟って、ノスタルジーをかき立てます。ここでもヤニグロのコントロールする瑞々しいオケが絶品。
フィナーレは入りからオケの美しい響きにうっとり。トランペットも完璧なお膳立てにいきり立ちます。ここにきてトランペットの存在感が際立ち、オケとのスリリングな掛け合いが絶妙。オケはヴァイオリンの透明感と、木管の華やかな音色で鮮明な色彩感を味わえます。最後はしっかりと盛り上がってフィニッシュ。

やはりヤニグロのサポートが光る演奏でした。ヘルムート・ウォビッシュのトランペットは所謂味わいのあるトランペット。ウィーンフィルの奏者らしいほのかな柔らかさと、キリッとしたエッジがあるトランペット。テクニックや完成度を追求する演奏というものではなく、トランペットの音色と息づかいをリアルに感じられる玄人向けの演奏という感じでしょう。評価としては[++++]というところでしょうが、私はかなり気に入りました。やはりLPで聴いているというところが大きいと思います。音楽を楽しめる大人の演奏でしょう。

このアルバムでトランペット協奏曲の所有盤は40演奏目。まだまだ未知の演奏が沢山ありそうな気がします。

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