作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

セル/クリーヴランド管「オックスフォード」1966年ライヴ(ハイドン)

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今日は最近オークションで手に入れたCD-R。ジョージ・セルの未入手音源。

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ジョージ・セル(George Szell)指揮のクリーヴランド管弦楽団の演奏で、ハイドンの交響曲92番「オックスフォード」とシューベルトの交響曲8番「未完成」の2曲を収めたCD-R。収録は両曲とも1966年1月27日のライヴ。収録場所の記載はありませんが、シカゴでの収録でしょうか。レーベルはILLUMINATIONというCD-R専門のレーベル。

ジョージ・セルほハイドンは今までいろいろと取りあげています。端正かつタイトな響き。そして時に牙を剥く大迫力。やはりハイドンの交響曲の名演奏からセルをはずす訳には参りません。セルのハイドンはこれまでずいぶん取りあげています。

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以前の記事にも書いたとおり、セルのハイドンは古い録音のものほど、エネルギー感あふれる覇気のある演奏、後年のものほど落ち着いたバランス重視の演奏になります。今回のライブは1966年と、1970年に亡くなったセルの晩年のもの。オックスフォードについては、1949年クリーヴランド管とのセッション録音、1959年フランス国立放送管とのザルツブルク音楽祭ライヴ、1961年のクリーブランド管とのセッション録音など3種の録音が手元にありますが、なかでも1959年のザルツブルク音楽祭のライヴが音質はともかくセルが最もキレた素晴しい演奏として印象に残っています。今回のものが最も録音年代が新しくなります。また、1966年の録音には、今日取り上げる録音の直後の2月16日の同じくILLUMINATIONのCD-Rで99番のライブがあり、これは晩年のセルの演奏ではなかなか素晴しいものでした。ということでこの1966年1月のライヴは期待できそうです。

Hob.I:92 / Symphony No.92 "Oxford" 「オックスフォード」 [G] (1789)
音質は聴きやすく柔らかいのですが、会場ノイズがテープヒスのようにサーっという持続した音で入ってます。それほど気になるレベルではありません。序奏は晩年の演奏らしく落ち着いて、テンポもゆったり。主題に入るとオケの力強さは流石ライヴだけあって、なかなかのもの。ゆったりしているのに力漲るオケ。セルらしい古典的均衡を感じる揺るぎない構築感、そして、弦楽器の図太い音色が素晴しい存在感。セルのあまりに王道な演奏に場内が圧倒されているよう。音楽は小細工なく、ざっくり進むんですが、ブルドーザーが轟音を立てて進むような迫力があり、響きの塊の突進に会場が静まり返ります。
続くアダージョは大波に乗っているようなおおらかな入り。オケの力感はそのままなので、太い筆でグイグイメロディーを書き上げていくような迫力もあります。特に中間部の力感は素晴しく、ザクザクと音を刻みながらホールを揺るがすように響きを満たします。そして再び安らかな大波に戻ります。テンポはほとんど揺らさず達観したかのような音楽。
メヌエットも予想通りおおらかながらザクザクと切れ込む迫力で聴かせる流れ。良い意味でざらついた弦の響きが迫力を増します。メヌエットの最後は渾身の一撃。
そして、この曲一番の聴き所のフィナーレ。有名なメロディーは軽やかにやり過ごし、すぐに怒濤の迫力、ザルツブルク音楽祭のライヴが突き抜けたキレで、CBSのセッション録音がバランスの良い感興で聴かせたのに対し、この演奏は図太いオケの怒濤の迫力がポイント。オケの存在感はなみなみならぬものがあります。クライマックスに向けて重戦車の進軍のような迫力。最後の一音が響き終わらないうちに会場の拍手にのまれます。いやいや、70歳を超えたセルが強烈なドライブをかけました。

ジョージ・セルと手兵クリーヴランド管による1966年1月27日のライヴを収めたCD-R。あらためてセルの鬼気迫るハイドンの素晴らしさを堪能しました。壮年期のエネルギー漲るハイドンとも異なり、音楽自体は悟ったようなところもありますが、オケの煽り方は凄まじく、一音一音に漲る力感は素晴しいものがありました。CD-Rゆえ入手はしにくいかと思いますが、セルのハイドンを好む方は一聴の価値があるアルバムです。評価はもちろん[+++++]をつけます。ちなみに、ハイドンの後に置かれた未完成。神々しいばかりの超絶的な名演。ハイドンで驚いていたんですが、こちらはさらに上をいきます。当日の観客はあまりの迫力に圧倒された事でしょう。

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