作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

マックス・ゴーバーマン/ウィーン国立歌劇場管の交響曲集

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今日は、湖国JHさんからお借りしたアルバム。

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マックス・ゴーバーマン(Max Goberman)指揮のウィーン国立歌劇場管弦楽団の演奏で、ハイドンの交響曲48番「マリア・テレジア」、4番、17番、1番、そして歌劇「裏切られた誠実」序曲を収めたCD-R。収録年は不明ですが、このシリーズの録音がはじまったのが1960年、ゴーバマンが亡くなったのが1962年ということで、その間の録音。今回入手したCD-Rには録音会場の記載があり、ウィーンのコンツェルトハウスでのセッション録音。レーベルは米Haydn House。

皆様お気づきのこととは思いますが、マックス・ゴーバーマンの「マリア・テレジア」は以前LPで当ブログで紹介しました。ドラティの前にハイドンの交響曲全集の完成を目指した人。演奏も絶品でした。ゴーバーマンがもう少しだけ長生きしていれば、ハイドン演奏史が変わったかもしれない偉大な存在でしょう。今は知る人ぞ知るという存在です。

2013/04/15 : ハイドン–交響曲 : マックス・ゴーバーマン/ウィーン国立歌劇場管弦楽団のマリア・テレジア、56番

このLPは偶然手に入れたものだったんですが、上の記事で触れたHaydn Houseなるところで、CD化されていることを紹介しておりましたら、よくメールをいただく湖国JHさんが、果敢にも当記事を見て注文され、そして今回お借りした次第。私も注文しようかとは思っていたのですが、まごまごしているうちに、先に聴かれてその素晴らしさから、こちらに貸していただいたと言う流れです。Haydn Houseのリンクも再掲しておきましょう。

Haydn House - SDA

LPはゴーバーマンが興した予約販売のレーベルのものではなくCBSからリリースされているものでした。今回聴くHaydn HouseのCD-Rには「マリア・テレジア」が含まれているため、LPとの聴き比べもできます。音質が問題なければゴーバーマンの遺産を手に入れたくなってしまいますね。

Hob.I:48 / Symphony No.48 "Maria Theresia" 「マリア・テレジア」 [C] (before 1769?)
曲のレビューは前記事を参照いただくとして、ここではCBSのLPと、このCD-Rの音質の違いに触れておきましょう。ちなみにこのCD-R、ステレオLPからのいわゆる板起こしとのことですが、非常にいい音質。図太い音色で迫力十分。うちの再生環境(THORENS TD-320MkII/SME-3009 Series 2 Improved/SHURE V-15 TypeV)では余韻と奥行き、しなやかさはあるんですが音の太さはCD-Rに分があり、聴きやすい録音。LP独特の存在感はLPに分があります。CD-Rの方は途中、回転にちょっとムラがあるような部分があるようにも聴こえますが、基本的に良い録音。なにより素晴しいのはスクラッチノイズが皆無である事でしょう。要はこのCD-Rの存在価値は十分ありということです。

Hob.I:4 / Symphony No.4 [D] (before 1762)
音質がちょっと固めに変わります。古びてちょっと刺激的な成分を含む音色ですが、ザクザクと切れ込むヴァイオリンをはじめとする弦楽器の迫力は素晴しく、基本的にタイトな迫力で押し通す演奏。ヴァイオリンの弓と弦が赤熱してるのではと思わせる素晴しいテンション。ハープシコードもカッチリとした音色でオケを支えます。
2楽章のアンダンテに入ってもヴァイオリンの存在感は流石ウィーン国立歌劇場管。石のような芯のあるタイトな音色でじっくりとメロディーを奏でていきます。
フィナーレは逆に落ち着いたテンポでじっくりしたつくり。弦楽器の鋭い切れ込みが聴き所。やはり迫力はただならないものがあります。

Hob.I:17 / Symphony No.17 [F] (before 1766)
高域の混濁感が少し増しますが、これも迫力と聴こえなくはないので問題なしです。素晴しい推進力と迫力。ゴーバーマンの志の高さが乗り移ったよう。幾分ストイックに振った演奏ですが、その分曲に険しく迫る迫力と聴こえます。
2楽章のアンダンテは静かに盛り上がる情感で聴かせる演奏。なぜかハープシコードは前曲ほど目立ちません。というか前曲のみかなりはっきりハープシコードが録られていました。
フィナーレは勢いのある楷書のようにゴーバーマンがグイグイ煽ります。ハイドンの初期の交響曲としてはかなりハイテンションの演奏でしょう。一貫してテンションの高さが特徴ですね。

Hob.I:1 / Symphony No.1 [D] (before 1759)
交響曲1番は意外と皆さんおなじみでしょう。ドラティの筋骨隆々とした演奏の筋肉が鋼のような強さをもった感じ。ヴァイオリンが髪を振り乱して演奏している様子が見えるよう。オケは粗いものの一貫して怒濤の迫力で攻めて来ます。これほどのテンションの演奏は他にないでしょう。繰り返されるごとに心にザクザクと刺さっていくよう。1番は前2曲よりもしっとりとして演奏も丁寧に感じます。
アンダンテに入ると一層しっとり感が増しますが、立体感もかなりのもの。そして鮮烈なフィナーレに突入。この対比、ハイドンの仕組んだツボを押さえた見事なもの。いやいや見事な演奏。

Hob.XXVIII:5 / "L'infedeltà delusa" 「裏切られた誠実」 (1773)
最後はオペラの序曲。これがまた素晴しい高揚感。なぜかこの曲のみタイミング表示がありません。トラックが3つに切られ、アレグロ:ポコ・アダージョ:プレストと言う構成で交響曲のようにも聴こえます。これも見事。

マックス・ゴーバーマンのハイドンの交響曲の録音はこのほかにCD-Rで10枚、合計11枚もリリースされており、今日取りあげた1枚を聴くと、他のものも聴いてみたくなるのが正直なところ。11枚セットを注文することにしましょうか。演奏の評価は以前のLPの記事と同様、ゴーバーマンの見た夢を共有するような素晴しいもの。録音のコンディションは正直1962年頃のものとしては良くはありませんが、板起こしとしては優秀というところでしょう。評価は全曲[+++++]とすることと致します。

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4 Comments

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maro_chronicon

11枚も。

1番、4番、17番、って私のために作ってくださったような一枚ですね。ほか10枚の記事も楽しみです。

Daisy

Re: 11枚も。

maro_chroniconさん、こんばんは。
この辺のごく初期の交響曲もハイドンの創意が感じられて素晴らしいですね。このアルバムの1番はキレてます。日本からの注文が増えるかしら、、、

  • 2013/07/02 (Tue) 20:31
  • REPLY

cherubino

Goberman/Vienna State Opera Oのハイドン発売

Daisy様、こんにちは。よい連休をお過ごしのことと思います。
もうご存知かもしれませんが、当方のメールアドレスに、HMVから下記の商品の発売案内が届きました。

http://www.hmv.co.jp/artist_ハイドン(1732-1809)_000000000018516/item_Symphonies-Goberman-Vienna-State-Opera-O_6112980

Sony Classicalから出された14枚組で、2015年02月10日発売予定です。収録曲が書かれていませんが、Haydn Houseで復刻されたものと多くはかぶっていると思われます。久々の大型セットで、5000円以下で買えるとあっては、見逃せません。予約を入れてしまいました。楽しみです。

Daisy

Re: Goberman/Vienna State Opera Oのハイドン発売

cherubinoさん、貴重な情報ありがとうございます!

その知らせ、私にも来てました!
ゴーバーマンとウィーン国立歌劇場管弦楽団によるハイドンの交響曲集が現代に蘇るわけですね。これは期待できます。これは注文しなくてはなりませんね。またまたリリースが楽しみなアルバムが増えました。到着次第レビューいたします!

  • 2014/11/25 (Tue) 22:04
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