作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ピエール・モントゥー/サンフランシスコ響の88番ライヴ(ハイドン)

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今日は久々のCD-R。最近オークションで入手したもの。

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ピエール・モントゥー(Pierre Monteux)指揮のサンフランシスコ交響楽団の演奏で、モーツァルトの交響曲35番「ハフナー」、41番「ジュピター」、ハイドンの交響曲88番の3曲を収めたアルバム。ハイドンの収録は1945年1月21日、サンフランシスコの戦争記念歌劇場(War Memorial Opera House)でのライヴ。レーベルはPremiereというCD-Rのレーベル。

ピエール・モントゥーにはハイドンの録音がいくつかありますが、これまでに取りあげたのはモスクワのライヴのみ。

2010/12/07 : ハイドン–交響曲 : ピエール・モントゥーの「驚愕」モスクワライヴ

他にはDECCAにウィーンフィルとの驚愕と時計の録音があります。どちらも1950年代後半の演奏ゆえ、1875年生まれのモントゥーが80歳を超えた年齢での録音でしたが、今日取り上げるアルバムは1945年の録音と言う事で、70歳のころの演奏。モントゥーのエネルギー溢れる指揮が炸裂するのでしょうか。

Hob.I:88 / Symphony No.88 "Letter V" 「V字」 [G] (1787?)
モノラルでかつ、かなり荒々しい響き。お世辞にも美しい響きとは言えませんが、エネルギー感はかなりのもの。重厚な序奏に続いて、主題に入ると、いきなりトップギアに入って、素晴しいスピードと推進力。ヴァイオリンからちょっと金属っぽい響きも聴かれますが、これも迫力のうち。突き抜けるような迫力を帯びて、速いパッセージは火の玉のようなエネルギー。一気にまくしたてます。
ラルゴに入ると、豊かな響きに変わります。昔の演奏に特有な燻し銀の響き。主旋律をくっきり浮かび上がらせて美しいメロディーラインを歌わせていきます。フレーズ単位でじっくりと描く事でで音楽の深みも増します。意外とこのラルゴ、じっくり歌うので心にしみます。
メヌエットは1楽章と同様、金属っぽい響きですが、キレはなかなか。やはりフレーズ単位でキリキリ斬り込んできます。曲の構造がカッチリと定まっているのはやはり大指揮者ならではでしょう。ちょっと歪み気味の音を通してさえも、実際の演奏の迫力が想像できます。
フィナーレは独特のリズムの刻みをかなり抑えて、大きな流れに耳がいくような演出。スピードはかなり速めで、音階は滑らかになり、曲の大きな構造に耳が集中するような造り。諧謔性を前面に出した演奏もありますが、モントゥーの筆さばきは筆の勢い重視で、最後まで一気にいきます。まるで一筆書きのように1楽章からフィナーレまでをサクサク振るモントゥー。古き良き時代のハイドンという印象が大きい演奏でした。最後は拍手も収められています。

以前聴いたモスクワライヴよりエネルギー感は上回ります。ピエール・モントゥーの覇気溢れるハイドンが聴かれると言う意味では、後年の演奏よりもかなり踏みこんだもの。DECCAのウィーンフィルとのセッション録音はかなり録音が良く、典雅な魅力が溢れた演奏でこの演奏がモントゥーのハイドンのイメージを代表ていましたが、この金属っぽく荒々しい音色のライヴは、モントゥーのハイドンの交響曲演奏が、本来エネルギー溢れるハイテンションのものだったことを示す貴重なものでしょう。評価はやはり音質をちょっと割り引いて[+++]とします。ヒストリカル好きな方にはおすすめの一枚です。

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