フランス・ブリュッヘン/18世紀オーケストラの86番(旧盤)
今日はフランス・ブリュッヘンのハイドン。

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フランス・ブリュッヘン(Frans Brüggen)指揮の18世紀オーケストラの演奏による、ハイドンの交響曲86番、88番の2曲を収めたアルバム。収録は1988年11月、オランダ、ユトレヒトのフレーデンブルク音楽ホールでのライヴ。レーベルは蘭PHILIPS。
ブリュッヘンはパリセット以降の交響曲は18世紀オーケストラとライヴを中心に録音していますが、なぜかこの86番のみ2種の録音があります。今日取り上げるのは1988年のライヴで88番とセットのもの。もう1種は1996年11月パリでのライヴで、こちらは82番から87番までのパリセットとしてまとめてリリースされたもの。この曲のみ2階録音している理由は定かではありませんが、双方聴くと、今日取り上げる旧盤の方が音響も演奏もメリハリしっかりついて、一般受けする演奏に仕上がっている事がわかります。
ブリュッヘンのハイドンはこれまでいろいろ取りあげていますが、曲によって仕上がりのムラがあると言うのが正直なところ。全般に力感に富んだ古楽器オケの迫力をベースにしたタイトな演奏なんですが、ちょっとスタティックな印象となっている演奏も多く、その辺が評価の分かれ目になっています。
2012/10/23 : ハイドン–交響曲 : ブリュッヘン/エイジ・オブ・エンライトメント管の42番
2011/04/29 : ハイドン–交響曲 : ブリュッヘン/モーツァルテウムのリラ・オルガニザータ協奏曲、84番
2011/03/01 : ハイドン–交響曲 : ブリュッヘンの90番、91番、オックスフォード
2010/11/01 : ハイドン–交響曲 : ブリュッヘンの88番、89番、協奏交響曲
2010/10/20 : ハイドン–管弦楽曲 : ブリュッヘンの十字架上のキリストの最後の七つの言葉
2010/04/04 : ハイドン–交響曲 : ブリュッヘンのザロモンセット
今日取り上げるアルバムのうち88番は、以前、別のアルバムに収録された同じ演奏をレビューしていますので、今日は86番のみ取りあげます。
Hob.I:86 / Symphony No.86 [D] (1786)
ブリュッヘンと18世紀オーケストラの、独特のざらついた音色がいきなり印象的。キレている時のブリュッヘンの静かに迫ってくる迫力が感じられます。かなり拍子を強調してこの曲のリズムの面白さを際立たせます。鋼のような固さと、ちょっと重めのリズムが独特の迫力を醸し出します。ヴァイオリンが鮮明に浮かび上がり、メロディーをかなりくっきりと描いていきます。不思議と色彩感は抑え気味で強弱のデュナーミクの変化を主体に曲を構成していき、先日聴いたパイヤールの華やかな色彩感とは真逆の印象を残します。1楽章はブリュッヘンらしいがっちりとした構成感が聴き所。
2楽章のラルゴは、抑えたヴィブラートの直裁な響きを活かしながら、淡々とした進行。間を十分にとって詩的な印象もあたえます。
メヌエットは再びキレのいいフレーズが戻ります。ここまで、非常にしっくり来る展開。ブリュッヘンは同じ曲を各地でツアーで演奏して回るスタイルだったとのことで、この86番もこのアルバムが録音された当時は各地で演奏していた事でしょう。破綻がないと言うか、筋書き通りというか、ちょっと悪く見るとスリリングではないという見方も出来てしまいます。同じ曲を何度も弾いているような安定感がこの演奏も特徴。
フィナーレは流石の盛り上がり。ダイナミックさも戻り、軽やかなヴァイオリンに導かれて分厚いオケの響きが繰り返し襲ってきます。ちょっと重めのリズムに乗ってグイグイ攻め込み、軽さと力感の塊のようなオケの響きの対比の面白さが伝わります。一貫してブリュッヘン流のハイドン。
ブリュッヘンのコントロールする18世紀オーケストラは古楽器オケの中でも独特の迫力をもち、オケが発散するエネルギー感において、他のオケとは一線を画するものがあります。この86番もそうしたブリュッヘン流のオケの響きの特徴をベースに、曲としては無難にまとめてきた印象。ライヴらしくもう一段の高揚を望みたいところですが、規律を優先した演奏というところでしょう。前に取りあげた88番は、そういった意味で、踏み込んだなかなか良い演奏でした。86番の評価は[++++]としておきます。
明日は出張にて東京におりませんので、おそらく更新は出来ません。ということで、つぎは月末ですね。

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フランス・ブリュッヘン(Frans Brüggen)指揮の18世紀オーケストラの演奏による、ハイドンの交響曲86番、88番の2曲を収めたアルバム。収録は1988年11月、オランダ、ユトレヒトのフレーデンブルク音楽ホールでのライヴ。レーベルは蘭PHILIPS。
ブリュッヘンはパリセット以降の交響曲は18世紀オーケストラとライヴを中心に録音していますが、なぜかこの86番のみ2種の録音があります。今日取り上げるのは1988年のライヴで88番とセットのもの。もう1種は1996年11月パリでのライヴで、こちらは82番から87番までのパリセットとしてまとめてリリースされたもの。この曲のみ2階録音している理由は定かではありませんが、双方聴くと、今日取り上げる旧盤の方が音響も演奏もメリハリしっかりついて、一般受けする演奏に仕上がっている事がわかります。
ブリュッヘンのハイドンはこれまでいろいろ取りあげていますが、曲によって仕上がりのムラがあると言うのが正直なところ。全般に力感に富んだ古楽器オケの迫力をベースにしたタイトな演奏なんですが、ちょっとスタティックな印象となっている演奏も多く、その辺が評価の分かれ目になっています。
2012/10/23 : ハイドン–交響曲 : ブリュッヘン/エイジ・オブ・エンライトメント管の42番
2011/04/29 : ハイドン–交響曲 : ブリュッヘン/モーツァルテウムのリラ・オルガニザータ協奏曲、84番
2011/03/01 : ハイドン–交響曲 : ブリュッヘンの90番、91番、オックスフォード
2010/11/01 : ハイドン–交響曲 : ブリュッヘンの88番、89番、協奏交響曲
2010/10/20 : ハイドン–管弦楽曲 : ブリュッヘンの十字架上のキリストの最後の七つの言葉
2010/04/04 : ハイドン–交響曲 : ブリュッヘンのザロモンセット
今日取り上げるアルバムのうち88番は、以前、別のアルバムに収録された同じ演奏をレビューしていますので、今日は86番のみ取りあげます。
Hob.I:86 / Symphony No.86 [D] (1786)
ブリュッヘンと18世紀オーケストラの、独特のざらついた音色がいきなり印象的。キレている時のブリュッヘンの静かに迫ってくる迫力が感じられます。かなり拍子を強調してこの曲のリズムの面白さを際立たせます。鋼のような固さと、ちょっと重めのリズムが独特の迫力を醸し出します。ヴァイオリンが鮮明に浮かび上がり、メロディーをかなりくっきりと描いていきます。不思議と色彩感は抑え気味で強弱のデュナーミクの変化を主体に曲を構成していき、先日聴いたパイヤールの華やかな色彩感とは真逆の印象を残します。1楽章はブリュッヘンらしいがっちりとした構成感が聴き所。
2楽章のラルゴは、抑えたヴィブラートの直裁な響きを活かしながら、淡々とした進行。間を十分にとって詩的な印象もあたえます。
メヌエットは再びキレのいいフレーズが戻ります。ここまで、非常にしっくり来る展開。ブリュッヘンは同じ曲を各地でツアーで演奏して回るスタイルだったとのことで、この86番もこのアルバムが録音された当時は各地で演奏していた事でしょう。破綻がないと言うか、筋書き通りというか、ちょっと悪く見るとスリリングではないという見方も出来てしまいます。同じ曲を何度も弾いているような安定感がこの演奏も特徴。
フィナーレは流石の盛り上がり。ダイナミックさも戻り、軽やかなヴァイオリンに導かれて分厚いオケの響きが繰り返し襲ってきます。ちょっと重めのリズムに乗ってグイグイ攻め込み、軽さと力感の塊のようなオケの響きの対比の面白さが伝わります。一貫してブリュッヘン流のハイドン。
ブリュッヘンのコントロールする18世紀オーケストラは古楽器オケの中でも独特の迫力をもち、オケが発散するエネルギー感において、他のオケとは一線を画するものがあります。この86番もそうしたブリュッヘン流のオケの響きの特徴をベースに、曲としては無難にまとめてきた印象。ライヴらしくもう一段の高揚を望みたいところですが、規律を優先した演奏というところでしょう。前に取りあげた88番は、そういった意味で、踏み込んだなかなか良い演奏でした。86番の評価は[++++]としておきます。
明日は出張にて東京におりませんので、おそらく更新は出来ません。ということで、つぎは月末ですね。
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