作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

【新着】リッカルド・ムーティ/ウィーンフィルのマリア・テレジアライヴ!

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リリースされたばかりのアルバム。

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シングルレイヤーSACD:HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS
CD:HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

リッカルド・ムーティ(Riccardo Muti)指揮のウィーンフィルの演奏による、ハイドンの交響曲48番「マリア・テリジア」とベートーヴェンの交響曲3番「英雄」の2曲を収めたアルバム。収録は1992年6月21日、ムジークフェラインザールでのオーストリア放送協会によるライヴ収録。レーベルは良いライヴを次々リリースしているAltus。

このアルバム、リリースされたばかりのアルバム。当ブログで今月メジャーなオケ、指揮者によるハイドンの交響曲のアルバムを集中的に取りあげているのに合わせてリリースされた、、、わけないですね(笑)

リッカルド・ムーティは若い頃は強引な指揮が多く、あまり好きな指揮者ではありませんでしたが、最近はじっくり音楽を奏でるようになり、ウィーンフィルとの演奏などはなかなかいいものが多いですね。見直したのはPHILIPSに集中的に録音したウィーンフィルとのモーツァルトの交響曲。イタリア出身だけあって陽性の伸びやかなメロディーとウィーンフィルのしっとりとした音色、そして時折見せるちょっと強引でもある支配力のバランスが実に良く、モーツァルトの交響曲の新たな魅力を引き出していました。また、ウィーンフィルとの来日公演の放送で、ファリャの三角帽子を取りあげていましたが、これがアンセルメを彷彿とさせる絶妙のリズムと間。ウィーンフィルとは思えないラテン系の響きを聴かせていました。最近はムーティはちょっと気になる指揮者の一人です。

ムーティはハイドンの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」を得意にしているようで、管弦楽版の録音がDVDも含めると3種もあります。ベルリンフィルとのアルバムは以前レビューにも取りあげています。

2010/10/21 : ハイドン–管弦楽曲 : ムーティ/ベルリン・フィルの十字架上のキリストの最後の七つの言葉

ムーティ独特のダンディなカンタービレが聴かれるなかなかの名演です。今日はそのムーティがハイドンのシュトルム・ウント・ドラング期の長調の傑作交響曲をウィーンフィルのムジークフェラインでのコンサートで取りあげたライヴ。しかもSACDシングルレイヤーでもリリースされているということで、音質も期待できそうということで早速amazonに注文を入れ到着したものです。せっかくなのでSACDシングルレイヤー盤を手に入れました。

解説によれば、この演奏が録音された1992年はウィーンフィル創立150周年の記念すべき年。これまで親密だったアバドは1989年にカラヤンの後任でベルリンフィルの音楽監督になり、活動の軸をベルリンに移した事により、ウィーンフィルの主軸となる指揮者を誰が務めるかが焦点となっていたころ。スカラ座の音楽監督を務めていたムーティがその役割をになうことになったのが1992年とのことでした。この演奏は6月21日に開催された「ウィーン音楽祭終幕コンサート」で、ムーティがウィーンフィルの事実上の首席指揮者となった黄金期の模様を収めた貴重な記録と言う事です。

Hob.I:48 / Symphony No.48 "Maria Theresia" 「マリア・テレジア」 [C] (before 1769?)
会場ノイズも含めてムジークフェラインでのライヴの雰囲気が良く伝わる録音。入りはムーティらしくスタイリッシュ。速めのテンポとウィーンフィルをキリリと引き締めて推進力抜群の演奏。この時期のハイドンの曲特有の憂いのあるほのかな明るさが良く出ています。ウィーンフィルの響きは実体感があり、特に分厚い響きの金管のくすんだ音色が印象的。ヴァイオリンをはじめとした弦楽器群はウィーンフィル特有のしなやかな色香を感じさせるもので、やはりリアルな響きが良く伝わります。CDより空気感の伝わる録音の良さがあり、SACDでリリースされた意義はわかります。ムーティは凝った事はあまりせず、ハイドンの交響曲をきりっと引き締めて演奏するのを楽しむような余裕があります。
つづくアダージョはテンポは落としきらず、軽いタッチで流すような演奏。1楽章の興奮を鎮めるように流れよくさらりと仕上げるよう意図しているのでしょう。時折糸を引くように弱音を延ばして間をとります。あっさりとした表現のなかにも、所々ムーティらしい輝きが聴かれ、しっとりとした音楽のなかに一筋の光が差し込むような静かな劇性が込められているのが流石なところ。
メヌエットへの入りは意外と投げやりな印象。わざと構えなく入る意外性を狙っているのでしょうか。この辺が普通の人のハイドンと違うところでしょう。
フィナーレは足早な雰囲気で入りながら、徐々にオケに気合いが漲ってきます。スタイリッシュな荒々しさとでも言えば良いでしょうか。ムーティのタクトから生まれる華やかさは時にピニンファリーナの曲線のような優美さも、色男が見せる粗野な表情もあり、他の指揮者とは聴かせどころがちがいます。最後はオケの統率力を見せつけて適度に盛り上げて終わります。ムジークフェラインの観衆からの拍手が降り注ぎます。

リッカルド・ムーティ指揮のウィーンフィルによる記念すべきコンサートの模様を収めたライヴ盤。もちろん聴きどころは後半に置かれたエロイカでしょうが、マリア・テリジアもムーティの統率によって、ムーティらしいスタイリッシュかつ、ウィーンの伝統も引き継ぐなかなかバランスのよい演奏となっています。録音は私の好きな当日のライヴのようすがつたわる臨場感あふれるもので、SACDらしい空気感が一層リアリティを高めています。この曲のファーストチョイスではありませんが、ムーティのハイドンの良さがじわりとつたわるいいアルバムだと思います。評価は[+++++]とします。

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