作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

【番外】柿葺落五月大歌舞伎第二部へ

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土曜日は歌舞伎座へ。新歌舞伎座になってから三度目の歌舞伎見物です。

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歌舞伎人:歌舞伎座新開場 杮葺落五月大歌舞伎

4月の杮葺公演から三部構成になっていますが、この日は第二部(昼の部)に出かけました。演目は下記の二つ。

伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)御殿、床下
夕霧 伊左衛門 廓文章(くるわぶんしょう) 吉田屋

伽羅先代萩は歌舞伎ではおなじみの演目。奥州五十四郡の大守である足利頼兼が、お家横領をたくらむ仁木弾正の甘言に惑わされ、香木の伽羅の木で作った下駄を履き、廓通いの遊興に耽っていたことが将軍家の知るところとなり、頼兼は隠居を命じられ、家督は嫡子の鶴千代が相続することになった。その鶴千代の命を狙う弾正一味と命を守ろうとする乳人政岡が御殿で繰り広げる物語が最初の御殿の場。政岡が人間国宝坂田藤十郎、弾正の妹八汐が中村梅玉と凛々しい演技が特徴の梅玉さん珍しく悪役。この日も子役が熱演。鶴千代に差し出された毒入りの菓子を、日頃から鶴千代を守るため毒でも喰らうよう厳しく言いつけられている政岡の子千松が、毒と知って自ら食べ、そして若君の菓子を食べたと刺されてなぶり殺されていしまうあたりくだりは、歌舞伎独特の淡々とした台詞から迫真の演技が伝わってきます。藤十郎も燻し銀、そして梅玉さんは悪役ぶりもなかなかでした。結局政岡が襲いかかる弾正の妹八汐を刺し、お家横領を企てた証拠の連判状も手に入れて、めでたしとなるところで、一匹の鼠が連判状をくわえて床下に去ってしまいます。舞台全体が迫り上がって床下の場にうつり、中村吉右衛門演じる荒獅子男之助が鶴千代を守っていたが、そこに連判状を加えた鼠が通りかかり、妖術で鼠に姿を変えていた松本幸四郎演じる仁木弾正にもどります。この場は短いのですが、なんと松本幸四郎は台詞なし。花道の迫りからおどろおどろしい姿で競り上がってきたかと思うと、ロウソクの灯りのみの幽玄な雰囲気のなか、厳かに花道を去るのみ。しゃべらずに妖気のみを感じさせる流石の演技でした。最近ロウソクの灯りのみの照明が使われるようになりましたが、昔はこうだったのかと思えるなかなかいい演出ですね。

休憩を挟んで後半は、上方歌舞伎の代表作、廓文章から吉田屋。良家のぼんぼん藤屋伊左衛門が片岡仁左衛門、遊女扇屋夕霧が坂東玉三郎と、現在望みうる最高の配役でしょう。廓通いが過ぎて借金がかさみ、家からも勘当され貧乏人となった伊佐衛門と、お気に入りの伊左衛門が来なくなって病にまでなってしまった遊女夕霧の再会を描いた一幕もの。イヤホンガイドの解説によれば、江戸歌舞伎のいさましい荒事(あらごと)に対し、上方歌舞伎ではどくとくの弱々しい主人公を描いた和事(わごと)が好まれ、好対照をなしたとのこと。廓文章は和事の代表作。伊左衛門は和事の「やつし」を象徴する役所。やつしとは本来身分の高いものが何らかの事情で零落している様子を演じることとのこと。普段はビシッと決まる仁左衛門ですが、この日は登場からコミカルなボンボンを好演。二枚目なのに贅沢わがまま三昧の放蕩息子役がピタリと決まります。紙衣(かみこ:紙でできた着物)で登場し、傘をはずして、最初に見せた顔の滑稽さが見事。この役は相当の演技力を要しますね。また夕霧役の玉三郎はいつもの息を飲むような美しさ。やはりこうゆう役は玉三郎に限ります。やはり仁左衛門の軽妙洒脱な演技が素晴しい舞台でした。

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この日も歌舞伎座の前は見物客でごった返していました。これだけの人が集まるということで、歌舞伎座のまわりにも活気が戻ってきているでしょう。

今日は嫁さんと二人で母親は置いてきたため、近くの三越の地下でお弁当を買ってかえりました。

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三越の地下も歌舞伎にあわせて歌舞伎用のお弁当コーナーがあったりします。この日はなぜか「サーロインステーキ弁当」と地方物産売り場で、山中温泉の温泉卵、石巻白謙の笹かま、新島のムロアジのくさやなど珍しいものを買って帰りました。

5月はあと1回、第三部もチケットをとってあります。それはまたの機会に。

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2 Comments

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トトラ

No title

ご無沙汰です。古い日記にコメで恐縮ですが、私も第二部行きました。藤十郎の政岡は名人芸でしたね。仁左衛門のコミカルな縁起も笑いました。玉三郎は美しかったですね。無言の高麗屋を観見れるし、なんというか贅沢極みの第二部でしたね(笑)

  • 2013/05/31 (Fri) 11:36
  • REPLY

Daisy

Re: No title

トトラさん、コメントありがとうございます。
歌舞伎、お好きなんですね。まさに贅沢の極みとはこのことです。言葉なしで観客にインパクトを残すのは役者としての存在感そのものだけがたよりです。高麗屋さんの至芸ですね。
これからもたまには歌舞伎の話題を書いていきたいと思いますが、ハイドンと歌舞伎が好きなニッチ度の高い読者の方いると言う事がわかりましたので、ちょっと安堵いたしました(笑)
今後ともよろしくお願いいたします。

  • 2013/06/01 (Sat) 08:40
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