作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

マーティン・ガリングのアンダンテと変奏曲

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ここ二日ばかり、激しく飲んでましたため、ブログの更新をお休みしてしまいました。今日取り上げるのは連休中、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンの帰りにディスクユニオンで仕入れたアルバム。

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マーティン・ガリング(Martin Galling)のピアノによる、ハイドンのアンダンテと変奏曲(Hob.XVII:6)とシューベルトのピアノソナタD960の2曲を収めたアルバム。収録は1993年9月6日から9日、ケルン大聖堂脇のヴァルラフ広場にあるWDR放送センターの第2スタジオでのセッション録音。レーベルは独aurophon。

マーティン・ガリングは1935年、ヘンデルの出生地として知られるドイツのハレ(ハレ・アン・デア・ザーレ)生まれのピアニスト、ハープシコード奏者。幼少の頃はチェロを習っていましたが次第にピアノに興味をもつようになり、マインツのペーター・コルネリウス音楽院でピアノを学ぶようになりました。マインツ大学に進み、対位法、室内楽、音楽学などを学び、また1956年にはハンス・レイグラフのマスタークラスに参加します。その後、ドイツ、西ヨーロッパ、アメリカ、イスラエル、日本などで多くのコンサートを開く等活躍しました。とりわけカール・ミュンヒンガーとシュツットガルト室内管やヘルムート・リリングらとの共演で知られているそうです。録音ではハープシコードによるバッハの鍵盤音楽全集(VOX)が有名ということです。1970年から2000年まで、ザール音楽学校で室内楽の教授をつとめるなど教育者としての立場でもあったようです。

ハイドンの録音もいくつかありますが、ちゃんと聴くのははじめての人です。地味なジャケットにちょっとピンと来て聴き始めましたが、予想通り燻し銀の演奏。しかも調べてみるとレイグラフに師事したということで、俄然興味がわいてレビューに取りあげた次第。

Hob.XVII:6 / Andante con Variazioni op.83 [f] (1793)
実にさりげない入り。構えることなくサラッと入るあたりの自然さはこの曲を相当弾きなれているよう。ハイドンのピアノのための音楽の中でも最もベートーヴェンに近い印象のあるこの曲ですが、仙人の演奏のような無欲の演奏。休符を長くとることなく、サラサラとすすめていきます。この達観ぶりは何でしょうか。比較的速めのテンポで何者にも引っかからず、時折高音の輝きにハッとさせられる演奏。
録音は鮮明、ピアノの磨き抜かれた音色の美しさが印象的なもの。比較的近めに軽やかに定位するピアノ。演奏もことさら強音を使わないため、ダイナミックと言うよりはクリアなピアノという印象。ペダルを踏む気配がしっかり収められていて、意外とリアルな録音です。
演奏も強弱よりメロディーの線の美しさに集中しているようで、淡々とした風情でどんどん曲が進んでいくため、川の流れを眺めているような心境になります。この曲はダイナミックな演奏が多いのでそうした印象を持ちがちですが、ガリングの演奏で聴くと印象がだいぶ異なります。聴いているうちにあっという間に終わってしまう儚さもある演奏でした。

シューベルトはあまり得意ではありませんが、ガリングの演奏でこのあとのシューベルトを聴いているとハイドン以上に実に趣き深いさらりとした音楽。この心境はなかな表現できるものではありませんね。ハイドンの演奏はこの曲としてはあっさりしすぎているのかもしれませんが、アンダンテと変奏曲というハイドンの傑作のまた異なる側面を知る事が出来たと言う意味では貴重な演奏と言えるでしょう。こうしたベテランの至芸はどこか心に残るものを持っています。評価は[++++]としておきましょう。

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