作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

アンドレ・プレヴィン/ピッツバーグ響の驚愕、ロンドン

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今日もLPです。そう、4月の特集とはLPを聴くということにしました。

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アンドレ・プレヴィン(André Previn)指揮のピッツバーグ交響楽団(Pittsburgh Symphony Orchestra)の演奏で、ハイドンの交響曲94番「驚愕」、104番「ロンドン」の2曲を収めたLP。収録はPマークが1979年とだけ記されています。レーベルは英EMI。

アンドレ・プレヴィンは最近N響に登場するようになってから、日本でも知名度が上がってきた人でしょう。ハイドンではウィーンフィルと何曲か交響曲をPHILIPSに録音していて、日本ではTOWER RECORDSが独自に復刻してリリースしたのは記憶に新しいところ。プレヴィンのハイドンは過去2回取りあげています。

2010/12/09 : ハイドン–交響曲 : アンドレ・プレヴィン/ロンドン交響楽団の87番ライヴ
2010/07/05 : ハイドン–交響曲 : プレヴィン/ウィーンフィルのオックスフォード

Wikipediaによると、アンドレ・プレヴィンは、1929年ベルリンのユダヤ系ロシア人の音楽家の家庭に生まれた人。ナチス政権を逃れるため、フランスに渡って教育を受けた後、1938年家族とともにアメリカに渡り、1943年には合衆国市民権をとったそうです。指揮はピエール・モントゥーに師事して学び、その後1967年からヒューストン交響楽団の音楽監督、ロンドン交響楽団(1968年〜1979年音楽監督、1992年〜桂冠指揮者)、このアルバムのオケであるピッツバーグ交響楽団(1976年〜1984年)、ロサンジェルス・フィルハーモニック(1985年〜1989年)、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団(1985年〜1987年音楽監督、1987年〜1992年首席指揮者)、オスロ・フィルハーモニー管弦楽団(2002年〜2006年)などで音楽監督、首席指揮者などのポストを歴任しました。まさに世界中の有名オケの音楽監督を務めた事になります。そして、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団との関係も深く、また2009年9月より3年間の予定で、NHK交響楽団の首席客演指揮者に就任しています。また、ジャズピアニストとしても有名なことは以前の記事でも触れました。

そのプレヴィンのピッツバーグ響の音楽監督時代のLPが今日取り上げるLPです。おそらくCD化はされていないだろうと踏んでLPを手に入れたんですが、今回調べたところ、奇跡を含めた3曲を収めたCDも出回っていたようですね。上のamazonのリンクをご覧下さい。

Hob.I:94 / Symphony No.94 "Mit dem Paukenschlag" 「驚愕」 [G] (1791)
序奏は艶やかな音色のオーケストラから始まりますが、厳かというよりは旋律をクッキリ浮かび上がらせるようにフレージング重視の演奏。序奏の主題の対比をあまりつけずにリズムを刻むうちに主題に入る感じで、音楽自体はひじょうにわかりやすい演奏。一貫したリズムの刻みを核に音楽が展開する感じ。もうすこし流麗でもいいように感じるほど、拍子を強調して徐々にたたみかけるようなちょっと固い演奏。プレヴィンのコントロールとしてはちょっと意外でした。驚愕の1楽章としては、かなり筋骨隆々でカッチリした演奏。
2楽章のビックリに入るとプレヴィンらしく箱庭的面白さを出そうとしているような、一貫したリズムのなかでのビックリ。小気味好い感じがする一方、スケール感はすこし抑えています。迫力方向ではなくメロディーの面白さを際立たせる狙いでしょう。これが本来のプレヴィン流の面白さでしょう。
つづくメヌエットもその延長。流れの良い音楽がだんだん心地よくなってきました。そしてフィナーレに非常につながりよく入ります。沸き上がる力感をコンパクトに表現したプレヴィンならではの粋な構成。終盤は力が抜けて滑らかになり、フィナーレのクライマックスの盛り上がりも見事。なんとなく1楽章の杓子定規さが気になる演奏でした。

Hob.I:104 / Symphony No.104 "London" 「ロンドン」 [D] (1795)
ロンドンの方は、ぐっとテンポを落とし、雄大さを感じさせる入り。前曲とは少しアプローチが異なります。音も少し遠めにオケが定位する感じで、ホール全体を鳴らすような録音。主題に入るともちろんテンポを上げますが、それでも少し遅目でしょうか。プレヴィンは実にオーソドックスなコントロール。ハイドン最後の交響曲を程よいキレと厚みのあるオケの響きでまとめますが、推進力がほどほどあって、実にまとまりの良い演奏。LPのダイレクトな響きもあって迫力も十分。終盤の突き抜けるような盛り上がりの表現も見事です。
つづくアンダンテではフレーズが展開するごとに、じつに上手く音楽をまとめていくプレヴィンならではのわかりやすい音楽が流れます。このプレヴィンのスタイルがハイドンの緩徐楽章を実に面白く聴かせます。音楽をトイカメラで撮ったような楽しさがありますね。迫力やキレ一辺倒ではなく、微笑ましいメロディーをコンパクトに描いていく力量は流石というところ。
メヌエットはかなり力を入れた演奏も多い中、プレヴィンはザクザクとした弦の力強さを聴き所におきながらも、途中のユーモラスな部分の演出にもかなり力を入れ、やはりまとまりのいい演出。
そしてロンドンのきどころのフィナーレ。改まって姿勢を正すようなキリッとした入りから、象徴的なメロディーがフーガとして押し寄せ、徐々に響きの塊に育っていきます。最後はやはり力が漲り、迫力が徐々に増していきますが、いったん抑えて仕切り直し、再びドライブをかけていき、終結部へ。それぞれパートが拮抗するようにせめぎ合い、最後は豪快なフィニッシュで終わります。

後年の交響曲録音は相手がウィーンフィルだけにより磨かれた演奏でしたが、プレヴィン40歳前のピッツバーグ響との演奏は、やはり若さが感じられる演奏でした。それでもプレヴィンらしい、フレージンングの面白さを浮き彫りにする手腕は見事です。惜しいのは驚愕の1楽章がかなり独特で、ちょっと力が入りすぎている感じがすること。2楽章以降の流れはいいので、アルバムの録音という緊張感からでしょうか。逆にロンドンのほうは力が抜けてプレヴィンの演出上手なところが上手く出たいい演奏だと思います。ということで評価は驚愕が[+++]、ロンドンは[++++]とします。

このところLPを良く聴いているのですが、ここ数日ターンテーブルの回転のたびに少し機械的なノイズが聴こえるようになり、気になっていました。今日ターンテーブルをはずして見てみると、ターンテーブルにかかっていたベルトがだいぶのびて滑っていたことが原因とわかりました。幸い交換用のベルトが手元にあったので変えてみてびっくり、長さが5センチ以上長くなっていたんですね。やはりベルトドライブのベルトは消耗品ということですね。

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