作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

テンシュテット/SWR交響楽団の「時の移ろい」

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久々のCD-R。

Tennstedt64.jpg

クラウス・テンシュテット(Claus Tennstedt)指揮のの音源を集めたCD-R。ハイドンはSWR交響楽団(SWR Symphony Orchestra)の演奏で交響曲64番「時の移ろい(Tempora Mutantur)」、他にブラームスの大学祝典序曲、ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」が収められています。ハイドンの収録は"Not Clear"、つまり不明です。会場ノイズがないので放送用録音でしょうか。レーベルはCD-Rでは良く見かけるEn Larmes。

テンシュテットは何気にハイドンを好んでいたようですね。これまでにもCD-Rを中心にいろいろな録音があり、当ブログでも何度か取りあげています。

2010/11/20 : ハイドン–交響曲 : テンシュテットの軍隊ライヴ、爆演!
2010/07/16 : ハイドン–交響曲 : テンシュテットの太鼓連打
2010/06/17 : ハイドン–交響曲 : テンシュテットの王妃
2010/06/13 : ハイドン–オラトリオ : テンシュテットの天地創造
2010/06/09 : ハイドン–交響曲 : テンシュテットの57番

テンシュテットのハイドンは、曲ごとにどうくるかわからないスリルがあります。基本的に穏やかな部分は非常に端正で時に叙情的な音楽をつくり、ここぞというときに爆発します。軍隊や太鼓連打では爆発の妙味が味わえます。また、今日取り上げるアルバムのような初期のマイナーな交響曲もコンサートで取りあげているようで、マーラー等大曲で有名になったテンシュテットの、意外にも古典的な曲への愛着が垣間見えるあたりが面白いですね。

今日取り上げる交響曲64番「時の移ろい」は番号は進んでいるものの作曲年代は古く、シュトルム・ウント・ドラング期の直後の1773年頃の作とされている曲で、穏やかな曲調で知られる曲。

Hob.I:64 / Symphony No.64 "Tempora mutantur" 「時の移ろい」 [A] (before 1778)
牙を剥かない時のテンシュテットの穏やかでしっとりとした演奏。録音は鮮明さはほどほどあり、ノイズもなく聴きやすいもの。ハイドンらしいきびきびとしたリズムと晴朗な表情。曲が進むにつれて、穏やかな表情の彫りが少しずつ深くなっていき、瑞々しさも加わり、ドラティの演奏を少し流麗にしたような理想的な音楽に。
流石だと唸らされるのはつづく2楽章のラルゴ。じつにゆったりとしたテンポをとりながら、深い陰りをもつ癒しの音楽が流れます。古典的でありながらロマンティック。知らず知らずのうちに音楽の波にのまれていきます。ハイドンの音楽がまるでマーラーのアダージョのような滔々とした流れを感じさせ、雄大な音楽に変わっていきます。
メヌエットも遅めのテンポで、テンシュテット流のじっくりした音楽。ハイドン初期の音楽が非常に雄大に感じられる、不思議なコントロール。
フィナーレにいたっても一貫して音楽をじっくりとらえるスタンスは変わらず、通常は溌剌と展開するところが、やはりしっとりと展開します。テンシュテット独特の解釈。表題の「時の移ろい」とは発見された楽譜への書き込みで明確な意味はわかっていないとのことですが、テンシュテットの演奏は、まさに「時の移ろい」という感情を音楽にしたようです。そこまで考えての解釈でしょうか。

久々に聴くテンシュテット。やはり只者ではありませんね。穏やかな部分の情感の濃さと、全体を見渡した巧みな設計、そして一貫してゆったりとした音楽とすることで雄大な造りを感じさせるあたりは閃きというか、テンシュテットならではの演出です。この「時の移ろい」の演奏はテンシュテットのハイドンの交響曲の演奏の中でも、もっともテンシュテットらしい演奏ということができるでしょう。この音楽の深さにはなかなか至れません。もちろん評価は[+++++]とします。

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