作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

アンヌ・ケフェレック/アルマン・ジョルダンのピアノ協奏曲(XVIII:11)

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今日も湖国JHさんに貸していただいたアルバムから。

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アルバム自体は、先日取りあげたモーリス・アンドレとテオドール・グシュルバウアーのトランペット協奏曲を収めたアルバムなんですが、私の手元にあるBONSAI COLLECTIONではなく、ERATOのRésidenceというパッケージ。この中の1曲目がトランペット協奏曲、2曲目はフレデリク・ロデオンのチェロによるチェロ協奏曲2番(別のパッケージで所有)、3曲目が手元にない今日取り上げる曲です。

アンヌ・ケフェレック(Anne Queffelec)のピアノ、アルマン・ジョルダン(Armin Jordan)指揮のローザンヌ室内管弦楽団(Orchestre de Chambre de Lausanne)の演奏で、ハイドンのピアノ協奏曲(Hob.XVIII:11)。収録はPマークが1984年としか記載がありません。

アンヌ・ケフェレックは2001年に録音されたピアノソナタ集を以前に取りあげています。

2011/02/06 : ハイドン–ピアノソナタ : アンヌ・アンヌ・ケフェレックのピアノソナタ集

この時初めて聴いたケフェレックですが、女流の華麗なタッチと、ブレンデルばりの透き通った透徹した音色の美しさが印象的なピアノでした。1948年パリ生まれのということで、ソナタ集は53歳当時の録音、今日取り上げるアルバムはおそらく1984年直前の録音ということで36歳頃の録音ということになります。その後聴かせる事になる、美しい音色と成熟が芽生えているでしょうか。

Hob.XVIII:11 / Concerto per il clavicembalo(l'fortepiano) [D] (1784)
冒頭から推進力のあるオケがリズミカルに入ります。オケは名手ぞろいのローザンヌ室内管ですが、若干音が薄く、奥行きが浅く聴こえるので録音でちょっと損をしています。ジョルダンのコントロールは、キレは十分、溌剌とした感じを上手く出しています。ケフェレックのピアノは、華やいだ雰囲気もった女流らしく可憐な感じ。指は十分回ってるんですが、速いパッセージで引きずるような表情を見せたり、軽いアクセントをそこここにつけて変化をつけています。完全にケフェレックがリードする演奏。ジョルダンは几帳面に引き締まったサポートにまわり、ソロを引き立てます。雰囲気のある流れの良い演奏。ピアノからほのかな詩情が滲み出しますが、あっさりとしたオケの伴奏で素朴さもあり、派手さはないものの玄人好み味わいのある演奏ですね。カデンツァはケフェレックの師であるパウル・バドゥラ=スコダのシンプルなもの。控えめな表現がいいセンス。
一貫した流れの良さは2楽章に入っても変わらず。ケフェレックのピアノの美しいメロディーがきらめきを増してきます。1楽章のちょっと素っ気ない印象から、素朴ながらきらめきに溢れた輝きに変わります。オケも情感がまして、いいサポート。ピアノの響きは繊細でクリスタルのような美しさ。何気ない音階にもきらめきがあり、特に高音域の澄んだ音色は絶品。この楽章のカデンツァの美しさは冬の夜空の星のよう。
フィナーレになるとピアノとオケの呼吸もピタリと合って、素晴らしい一体感。曲がすすむにつれて、音楽のフォーカスが鮮明に合ってきました。ケフェレックの雰囲気あるピアノとキレのいいオケの掛け合いは信頼感に裏付けられたスリリングなもの。録音の軽さが逆に功を奏して音楽も軽やかに聴こえます。一聴すると録音でちょっと損をしているようでしたが、良く聴くとケフェレックの色彩感あるピアノとそれを引き立てるオケという協奏曲の面白さを十分に感じられる素晴らしい演奏でした。

やはりケフェレックのピアノはいいですね。フランス人らしい気品と華やいだ雰囲気、そしてきらめきに溢れた高音域。この演奏はケフェレックの若い時の表現意欲が良く出た演奏だと思います。サポートするアルマン・ジョルダンはソロをうまく引き立て、よくオケをまとめています。録音でやや損をしていますが、ケフェレックのピアノはそのマイナスを補ってあまりあるもの。聴いているうちに非常に気に入りました。評価は[+++++]をつけちゃいます。

残念ながらこの演奏は現役盤がない模様なので、中古を丹念に探すしかないでしょう。湖国JHさん、貴重なアルバムを貸していただきありがとうございます。

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4 Comments

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小鳥遊

また、マニアックなアルバムを(笑)

私は、この前、骨太なニコラーエワの演奏をレコードで聴いて、今のところ、それが決定盤に。

ケフェレックは、存在を初めて知りました。
一度は聴いてみたいですね。

あと、最近、逃したのがチモフェーエワ盤。
好きなピアニストでもないけど、逃した大魚状態です。

Daisy

Re: タイトルなし

小鳥遊さん、おはようございます。
ニコラーエワ盤は残念ながら未聴です。決定盤とおっしゃられると聴いてみたくなりますね。チモフェーエワは協奏曲の録音があるのでしょうか。通勤途上であんまり調べていないのですが、ソナタ全集の方はおとなしい無難な演奏だった印象です。デビュー当時はアイドル路線でしたね。

  • 2013/04/05 (Fri) 08:03
  • REPLY

小鳥遊

チモフェーエワのハイドン。今日、執念で見つけて来ました(笑)

1975年録音。来日記念盤の解説は、宇野功芳先生。

ピアノ・ソナタ全集は、何処か気まぐれで雑な印象だったので、早々に手放したのですが、コンチェルトは非常におっとりとした演奏。

ロマンチックともクラシックとも違う、ロココな雰囲気。

因みに、録音は酷いですね。

同じメロディアでも、ニコラーエワのは素晴らしい録音でしたが...

ついでに、以前、紹介されていたアンドレ・チャイコフスキーのソナタ集とオルベルツのソナタ全集のレコードも入手したので、近々聴いて見ます。

Daisy

Re: タイトルなし

小鳥遊さん、おはようございます。
その捕獲姿勢、参考になります(笑) 無性に聴きたくなることがありますが、その機を逃さず行動すべきでしょう。
>ロマンチックともクラシックとも違う、ロココな雰囲気。
気になる表現ですね。同じ楽譜でもいろいろな余韻をのこすものですね。

オルベルツの全集、楽しんでください。楽しみ甲斐がありますので。

  • 2013/04/06 (Sat) 09:17
  • REPLY