【新着】レティーツィア四重奏団の「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」
今日は先日TOWER RECORDS新宿店にて仕入れたアルバムから。

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TOWER RECORDS
レティーツィア四重奏団(Laetitia-Quartett)の演奏によるハイドンの弦楽四重奏版「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」。収録は2011年9月にライプツィヒとだけ記載されています。レーベルは初めて手に入れる独TALANTON。
レティーツィア四重奏団ははじめて聴くクァルテット。ライナーノーツによると1996年にライプツィヒで設立された弦楽四重奏団で、メンバーはゲヴァントハウス管弦楽団とMDR交響楽団で経験を積んだ人たち。長年にわたるオケでの交響曲やオペラの演奏に加えて室内楽やバロックオペラ、教会でのカンタータの演奏などによって、緊密さを磨き、現代楽器による独特の演奏スタイルを確立していったということです。独特の演奏スタイルとは、すでに広い歴史的な視野から様々な演奏スタイルがあるなか、バロック期、古典期の作品を楽器を時代に合わせて古楽器で演奏するのではなく、演奏方法を時代に合わせて、楽器は現代楽器のままというもの。実際の演奏は良く鳴る現代楽器でのノンヴィブラートの精妙さが際立つ演奏です。メンバーは下記のとおり。
第1ヴァイオリン:カトリン・ペンツィアー(Kathrin Pantzier)
第2ヴァイオリン:ルドルフ・コンラード(Rudolf Conrad)
ヴィオラ:ディートリヒ・ハーゲル(Dietrich Hagel)
チェロ:ギュンター・クラウセ(Günter Krause)
彼らのサイトがありましたので紹介しておきましょう。
LAETITIA-Quartett
Hob.III:50-56 / String Quartet Op.51 No.1-7 "Musica instrumentare sopra le 7 ultime parole del nostro Redentore in croce" 「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」 (1787)
序章
最新の録音らしくカミソリのような鮮明な切れ味の録音。教会での録音のような響きがともないますが、かなりオンマイクなので超鮮明。ノンヴィブラートの各楽器が精度高く重なっていきます。テンポは遅めですが、ゆったりという印象ではなく、日本刀の居合いをみるような凛とした緊張感がともないます。響きだけ聴くと現代音楽のようですね。
第1ソナタ
ソナタに入っても鋭さは変わらず、特に第1ヴァイオリンのペンツィアーの伸びのある音色に耳を奪われます。ノンヴィブラートの遅めの進行から、ちょっと平板な印象に聴こえるのではないかと危惧したのですが、精妙な音色で、適度な表情づけで淡々とすすむと、かえってメロディーに集中できて、悪くありません。確かに独特の演奏スタイルと言えるでしょう。
第2ソナタ
曲ごとに表情を変えてくる演奏ではなく、一貫したスタイル。ここに来て現代楽器だからこそ響きが良く通ることが活きているように感じてきました。弦楽器の美しい響き自体の存在感が際立ちます。その美しさを知っているからこそできる、淡々とした演奏という事でしょう。遅い楽章が続くこの曲ならではのアプローチ。そういえば、上で紹介した彼らのサイトのコンサートスケジュールにも、この十字架上のキリストの最後の七つの言葉があり、得意としていることが窺えますね。
第3ソナタ
音符が減って研ぎすまされた緊張感が増していきます。信号のようなチェロの音にのってヴァイオリンを中心としたメロディーが孤高の演奏。凝縮された美しさ。引きずるように絡むフレーズの魅力も乗っていきます。響きの余韻が録音会場の中にさっと広がるようすが見事。
第4ソナタ
前楽章の研ぎすまされた美しさから、和音の重なりの見事さに聴き所が移ります。波頭が次々と襲ってくるようすが克明に表現されています。相変わらず遅めの展開ですが、奏者にはまだまだ美音を奏でられる元気さがあります。ゆったりしているのに緊張感が保たれています。
第5ソナタ
有名なピチカート主体の楽章。さらにテンポが落ちて、ピチカート自体もスローモーションを見るような克明かつ正確な刻み。中間部は大胆なヴァイオリンのフレーズに寄り添うようにまわりの楽器が続きます。鮮明なヴァイオリンの音色の魅力、迫力が圧倒的な音像として迫ってきます。有無をも言わせぬ迫真の演奏。再びピチカートが戻りますが、音楽の起伏が大河のごとく壮大になって、もはやクァルテットの枠におさまらないほど。
第6ソナタ
峻厳さが増して、音楽は類いまれな険しさに。険しい音色の合間から垣間見える明るさと険しさの織りなす鮮明な綾。一人一人の奏者の隙のない音楽。作為のない直裁な音の迫力に打たれます。ここに来て、弦楽四重奏、しかもノンヴィブラートの浸透力ある音色の四重奏に圧倒されます。風もないのに風圧に圧倒される感じ。鋭さが心に刺さります。これまで聴いたことのない純粋で険しい音楽。最後に射す一筋の光のような明るさ意味が引き立ちます。
第7ソナタ
予想外に太い弦楽器の音色から入ります。全員の無垢な心境がそのまま音楽になったような、これまでの音楽の向こう側のような澄み渡った景色が広がります。それぞれの奏者の音色が克明に聴き分けられるような鮮明な録音。音楽は孤高の領域に一歩ずつ進み、聴くものを追い払うような、神聖な輝きを帯びてきます。神々しいとはこのこと。今更ながらこの曲の素晴らしさを思い知る瞬間です。
終章
激しさが極まるかと思いきや、激しさをスローモションで見るような澄みきった心境の吐露のような演奏。地震ではなく地震の映像のような美化された激しさ。現実ではなく象徴的な表現なのでしょう。
聴き始めは単調さをはらむのではないかと予想した、レティーツィア四重奏団の現代楽器によるノンヴィブラートの演奏。聴き進むうちに、表面的な表現ではなく、音楽の核心にせまる険しさと、表現意図と言うレベルではない迫力に圧倒される名演奏だと気づきました。歴史の長いクァルテットではありませんが、それぞれの奏者の意図が重なり合って素晴らしい緊張感を保った、まさに4人の息がピタリと合った見事なアンサンブル。これは素晴らしい演奏。難曲であるこの曲の新たな魅力を浮かび上がらせた秀演でした。もちろん評価は[+++++]とします。

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レティーツィア四重奏団(Laetitia-Quartett)の演奏によるハイドンの弦楽四重奏版「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」。収録は2011年9月にライプツィヒとだけ記載されています。レーベルは初めて手に入れる独TALANTON。
レティーツィア四重奏団ははじめて聴くクァルテット。ライナーノーツによると1996年にライプツィヒで設立された弦楽四重奏団で、メンバーはゲヴァントハウス管弦楽団とMDR交響楽団で経験を積んだ人たち。長年にわたるオケでの交響曲やオペラの演奏に加えて室内楽やバロックオペラ、教会でのカンタータの演奏などによって、緊密さを磨き、現代楽器による独特の演奏スタイルを確立していったということです。独特の演奏スタイルとは、すでに広い歴史的な視野から様々な演奏スタイルがあるなか、バロック期、古典期の作品を楽器を時代に合わせて古楽器で演奏するのではなく、演奏方法を時代に合わせて、楽器は現代楽器のままというもの。実際の演奏は良く鳴る現代楽器でのノンヴィブラートの精妙さが際立つ演奏です。メンバーは下記のとおり。
第1ヴァイオリン:カトリン・ペンツィアー(Kathrin Pantzier)
第2ヴァイオリン:ルドルフ・コンラード(Rudolf Conrad)
ヴィオラ:ディートリヒ・ハーゲル(Dietrich Hagel)
チェロ:ギュンター・クラウセ(Günter Krause)
彼らのサイトがありましたので紹介しておきましょう。
LAETITIA-Quartett
Hob.III:50-56 / String Quartet Op.51 No.1-7 "Musica instrumentare sopra le 7 ultime parole del nostro Redentore in croce" 「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」 (1787)
序章
最新の録音らしくカミソリのような鮮明な切れ味の録音。教会での録音のような響きがともないますが、かなりオンマイクなので超鮮明。ノンヴィブラートの各楽器が精度高く重なっていきます。テンポは遅めですが、ゆったりという印象ではなく、日本刀の居合いをみるような凛とした緊張感がともないます。響きだけ聴くと現代音楽のようですね。
第1ソナタ
ソナタに入っても鋭さは変わらず、特に第1ヴァイオリンのペンツィアーの伸びのある音色に耳を奪われます。ノンヴィブラートの遅めの進行から、ちょっと平板な印象に聴こえるのではないかと危惧したのですが、精妙な音色で、適度な表情づけで淡々とすすむと、かえってメロディーに集中できて、悪くありません。確かに独特の演奏スタイルと言えるでしょう。
第2ソナタ
曲ごとに表情を変えてくる演奏ではなく、一貫したスタイル。ここに来て現代楽器だからこそ響きが良く通ることが活きているように感じてきました。弦楽器の美しい響き自体の存在感が際立ちます。その美しさを知っているからこそできる、淡々とした演奏という事でしょう。遅い楽章が続くこの曲ならではのアプローチ。そういえば、上で紹介した彼らのサイトのコンサートスケジュールにも、この十字架上のキリストの最後の七つの言葉があり、得意としていることが窺えますね。
第3ソナタ
音符が減って研ぎすまされた緊張感が増していきます。信号のようなチェロの音にのってヴァイオリンを中心としたメロディーが孤高の演奏。凝縮された美しさ。引きずるように絡むフレーズの魅力も乗っていきます。響きの余韻が録音会場の中にさっと広がるようすが見事。
第4ソナタ
前楽章の研ぎすまされた美しさから、和音の重なりの見事さに聴き所が移ります。波頭が次々と襲ってくるようすが克明に表現されています。相変わらず遅めの展開ですが、奏者にはまだまだ美音を奏でられる元気さがあります。ゆったりしているのに緊張感が保たれています。
第5ソナタ
有名なピチカート主体の楽章。さらにテンポが落ちて、ピチカート自体もスローモーションを見るような克明かつ正確な刻み。中間部は大胆なヴァイオリンのフレーズに寄り添うようにまわりの楽器が続きます。鮮明なヴァイオリンの音色の魅力、迫力が圧倒的な音像として迫ってきます。有無をも言わせぬ迫真の演奏。再びピチカートが戻りますが、音楽の起伏が大河のごとく壮大になって、もはやクァルテットの枠におさまらないほど。
第6ソナタ
峻厳さが増して、音楽は類いまれな険しさに。険しい音色の合間から垣間見える明るさと険しさの織りなす鮮明な綾。一人一人の奏者の隙のない音楽。作為のない直裁な音の迫力に打たれます。ここに来て、弦楽四重奏、しかもノンヴィブラートの浸透力ある音色の四重奏に圧倒されます。風もないのに風圧に圧倒される感じ。鋭さが心に刺さります。これまで聴いたことのない純粋で険しい音楽。最後に射す一筋の光のような明るさ意味が引き立ちます。
第7ソナタ
予想外に太い弦楽器の音色から入ります。全員の無垢な心境がそのまま音楽になったような、これまでの音楽の向こう側のような澄み渡った景色が広がります。それぞれの奏者の音色が克明に聴き分けられるような鮮明な録音。音楽は孤高の領域に一歩ずつ進み、聴くものを追い払うような、神聖な輝きを帯びてきます。神々しいとはこのこと。今更ながらこの曲の素晴らしさを思い知る瞬間です。
終章
激しさが極まるかと思いきや、激しさをスローモションで見るような澄みきった心境の吐露のような演奏。地震ではなく地震の映像のような美化された激しさ。現実ではなく象徴的な表現なのでしょう。
聴き始めは単調さをはらむのではないかと予想した、レティーツィア四重奏団の現代楽器によるノンヴィブラートの演奏。聴き進むうちに、表面的な表現ではなく、音楽の核心にせまる険しさと、表現意図と言うレベルではない迫力に圧倒される名演奏だと気づきました。歴史の長いクァルテットではありませんが、それぞれの奏者の意図が重なり合って素晴らしい緊張感を保った、まさに4人の息がピタリと合った見事なアンサンブル。これは素晴らしい演奏。難曲であるこの曲の新たな魅力を浮かび上がらせた秀演でした。もちろん評価は[+++++]とします。
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