作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ザンデルリンク/読響の「熊」1990年サントリーホールライヴ

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昨夜は実に久しぶりにTOWER RECORDS新宿店に。いつものようにエスカレーターで9階に行きましたが、クラシック売り場がありません! もしやクラシック売り場がなくなってしまったのではと嫌な予感がよぎりましたが、店内表示を見ると10階がクラシック売り場とあり、一安心。あんまり久しぶりだったので、クラシック売り場が移動したのに気づいていませんでした。しかも10階に上がると、ちょうど9階にあった売り場とほぼ同じ構成で見やすいままでした。仕事が忙しくなかなかお店で買う機会がありませんでしたが、やはり見ながら買うのは楽しいですね。いろいろ仕入れました(笑)

今日はその中からの1枚。

SanderlingYNSO82.jpg
HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

クルト・ザンデルリンク(Kurt Sanderling)指揮の読売日本交響楽団の演奏で、ハイドンの交響曲82番「熊」とブラームスの交響曲1番の2曲を収めたアルバム。収録は1990年2月7日、サントリーホールでの読響「第283回名曲シリーズ」のライヴ。レーベルはクラシックアルバムの輸入を手がける東武トレーディングの読響アーカイブシリーズ。

読響のコンサートは割合気に入っていて、スクロヴァチェフスキやカンブルランの振る読響のコンサートにちょくちょく出かけて、当ブログでも何度か取りあげていることはご存知の通り。ただ、読響のコンサートに出かけるようになったのは最近のことで、このアルバムが収録された頃には読響のコンサートには通っていませんでしたので、この千載一遇の機会は知る由もなかった訳です。

このアルバムの解説によると、このコンサートで取りあげられた熊はザンデルリングのお気に入りだそうで、コンサートの前半に置かれることがしばしばあったとのこと。これまで取りあげたザンデルリンクの演奏でもここ一番、ベルリンフィルに客演した際にも熊とショスタコーヴィチという組み合わせでした。

ザンデルリンクの情報はリンク先の39番の記事をご参照ください。

2012/11/13 : ハイドン–交響曲 : クルト・ザンデルリンク/ベルリン交響楽団の王妃、86番
2012/06/30 : ハイドン–交響曲 : 【新着】ザンデルリンク/スウェーデン放送交響楽団の39番ライヴ
2010/11/04 : ハイドン–交響曲 : クルト・ザンデルリンク/ベルリン・フィルの熊ライヴ
2010/06/18 : ハイドン–交響曲 : クルト・ザンデルリンクの86番

ザンデルリンクが読響を初めて振ったのは1976年。その後1978年、1980年、そしてこの録音の1990年と4たび客演し、読響の名誉指揮者となっていましたが、2011年9月、ベルリンで98歳で亡くなっています。この録音はザンデルリンクの最後の来日の際の貴重な記録ということです。

Hob.I:82 / Symphony No.82 "L'Ours" 「熊」 [C] (1786)
ちょっと古びた音色のながら鮮明に録られ、少し遠めに定位するオーケストラ。残響は少し多めで、ホールに響きわたる響きの余韻まで楽しめます。入りは中庸なテンポで、キリッと引き締まった表情を聴かせながら、熊のユーモラスなメロディーをまるで教科書にとりあげるように、きっちり描いていきます。ヴァイオリンパートの響きの良さが印象的。テンポはかなり一貫してていて、この曲からアポロン的均衡を浮かび上がらせます。きっちりと隈取りをテンポ良く描いていくヴァイオリン。1楽章からハイドンの交響曲の均整とのとれた魅力にハマります。
つづくアレグレットも、一貫したテンポでのクッキリした表情が魅力の演奏。すこしザラッとした読響の弦楽器群がザンデルリンクの几帳面なフレージングにきちんとついていきます。途中からの盛り上がりでは、かなりの力感となりますが、少しも乱れる事なくキリッとした風情は保ちます。タイトにコントロールが行き届いています。
ちょっと予想と異なったのがメヌエット。かなりレガートを効かせたフレージング。リズムがキリッとしているのは変わらないのですが、非常に優雅と言うか典雅な演奏。奏者一人一人が楽しんで弾むような旋律を奏でていきます。木管楽器群が見事に歌っています。非常に優雅にダンスを踊っているようなメヌエット。
フィナーレも予想とはちょっと異なる演奏。入りはすこし遅めで、速度よりも演奏がスローモーションを見ているように感じられる面白い表現。なかなか粋な演出です。曲が進むにつれてテンポが少しずつ上がり、オケに力も宿ってきますが、メヌエットの余韻か、そこはかとない典雅さも感じさせます。展開部のメロディーが交錯するところに至って盛り上がりも頂点に達しますが、一杯飲んで楽しんでいるような余裕のある盛り上がり。最後はしっかり聴かせどころをつくって、サントリーホールの観客からブラヴォーが降り注ぎます。

クルト・ザンデルリンクが得意としていた熊の、読響との1990年という晩年の貴重なライヴ。なにより読響がザンデルリンクの指示に忠実に従って、非常によくコントロールされた演奏なのが素晴らしいですね。オケが一体となってザンデルリンクのキリッとしていながら非常に優雅なハイドンを表現しています。会場の興奮も伝わる臨場感のある録音も悪くありません。もちろん評価は[+++++]とします。
このあとに置かれたブラームスの1番もハイドン以上の名演です。濃密な音楽が観客の心を鷲掴みにしているようすが伝わる素晴らしいライヴですね。東武トレーディングさん、いい仕事です!

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