ティルシャル兄弟による2つのホルンのための協奏曲(新盤)
今日はハイドンの作曲かどうか疑わしいとされる2つのホルンのための協奏曲を取りあげます。最近手に入れました。

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ズデニェク・ティルシャル(Zdeněk Tylšar)、ベドジフ・ティルシャル(Bedřich Tylšar)のホルン、ぺトル・アルトリフテル(Petr Altrichter)指揮のドヴォルザーク室内管弦楽団(Dvořák Chamber Orchestra)による、ハイドン作曲とされる2つのホルンのための協奏曲(Hob.VIId:2)などを収めた2枚組のアルバム。収録は1987年9月21日から29日、プラハのルドルフィヌムでのセッション録音。ルドルフィヌムはチェコフィルが本拠地としているホールのようです。レーベルはチェコのSUPRAPHON。
以前、このアルバムと同じホルン奏者であるティルシャル兄弟の2つのホルンのための協奏曲を取りあげています。その記事はこちら。
2012/05/21 : ハイドン–協奏曲 : ティルシャル兄弟/コシュラー/プラハ室内管の2つのホルンのための協奏曲
以前取りあげた方は1972年のPマークということで、今日取り上げる方は少なくてもその15年後の録音になります。指揮者とオケも異なり、時の経過とオケの違いがどのような違いにつながるかというところが聴き所でしょう。実はこのアルバム、よくメールを戴く湖国JHさんの愛聴盤ということで、手元の旧盤との違いが非常に気になっていたので取りあげた次第。奏者のティルシャル兄弟については、リンク先の前記事をご覧ください。
2つのホルンのための協奏曲については前出のティルシャル兄弟盤以外にも何度か取りあげています。
2012/07/26 : ハイドン–協奏曲 : 松崎 裕/山本 真/ジャパン・チェンバー・オーケストラの2つのホルンのための協奏曲
2011/10/05 : ハイドン–交響曲 : ヘルムート・ミュラー=ブリュール/ケルン室内管弦楽団の交響曲72番等
2010/10/16 : ハイドン–協奏曲 : ヘルマン・バウマンのホルン協奏曲集
この曲についての解説はバウマン盤をご覧ください。
指揮者のペトル・アルトリフテルは1951年、チェコ東部のオストラヴァの南の街、フレンシュタード・ポト・ラドシュチェム(Frenštát pod Radhoštěm)生まれの指揮者。オストラヴァ音楽院でホルンと指揮を学び、またヤナーチェク音楽・舞台芸術学校でも音楽を学びました。その後、チェコフィルでヴァーツラフ・ノイマンのアシスタントとして働き、プラハ交響楽団の首席客演指揮者を経て、1990年、首席指揮者に就任しました。ドイツでは1993年から2004年まで南西ドイツフィルハーモニーの音楽監督、イギリスでは1997年から2001年までロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を務め、2002年からはチェコのブルノフィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者となっています。このアルバムを録音したころはプラハ交響楽団の客演指揮者をしていた頃でしょうか。
Hob.VIId:2 / Concerto per 2 cors et Orchestre [E flat] (1762) (Composed by Antonio Rosetti/Michael Haydn?)
一聴して典雅なオケの序奏に耳を奪われます。旧盤のコシュラーとプラハ室内管が情感に訴える演奏だったのに対し、アルトリフテルの指揮するドヴォルザーク室内管はリズムの折り目をきりっとつけて、テンポもゆったり目。録音は旧盤も悪くなかったのですが、新盤の方が地に脚がついた感じで、オケに対して2本のホルンが浮かび上がり、ホルンの位置関係もはっきりわかる理想的なもの。鮮明と言うほどではありませんが、鑑賞上は新盤はかなりいい線いってます。ティルシャル兄弟のホルンの演奏は新旧両盤とも完璧といっていいほどですが、新盤のゆったりとしたテンポで、控えめなオケの伴奏に乗って朗々と吹き抜く感じの方がいいですね。眼前で2人が交互に掛け合う感じは絶妙。新盤はまさにホルンに鮮明にスポットライトが当たった演奏ですね。カデンツァはまさにホルンを完璧にコントロールした2人の息がピタリと合った神業が聴き取れます。ホルン好きの方にはたまらないものでしょう。
1楽章のキリッとした表情のオケに対して、2楽章ではぐっとテンポを落とすと同時に、表現もぐぐっと深くなり、ゆったり濃密な音楽になります。ティルシャル兄弟のホルンはそうした伴奏にのって素晴らしく彫りの深い孤高のソロ。2本のホルンの絶妙な重なり具合。
フィナーレも落ち着いたテンポで、爽快感もありながらしっとりとした表情も保っていきます。ホルンの安定感は揺らぐ事もなく、またオケの典雅な印象も一貫していて、この演奏の完成度の高さが窺えます。ホルンもオケも、体にしみこんだ音楽を奏でているような自然な佇まいが素晴らしいですね。
旧盤も素晴らしかったんですが、この新盤はそれを上回る素晴らしさ。この珍しい曲を2度も録音する意味がしっかりありました。ティルシャル兄弟の素晴らしいホルンのソロを浮かび上がらせるように控えめながら、じつに味わい深い演奏で支えるアルトリフテルとドヴォルザーク室内管の素晴らしいサポート、そしてしっとりとした美しい響きの録音と完璧なプロダクションに仕上がっています。おそらくハイドン自身が書いたものではないだろうというのが最近の評価のようですが、曲の真贋議論とは関係なく、この演奏で聴くこの曲は実に素晴らしいものです。ホルンという演奏が難しい楽器を、2本ソロにしたこの曲に仕込まれた創意が一番よくわかるアルバムです。ホルンの美しい響きを含めて、是非実演で聴いてみたいものです。評価は[+++++]とします。
※旧盤のアルバムのHMV ONLINE、TOWER RECORDSのリンク先は今日とりあげた新盤でしたので削除致しました。

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ズデニェク・ティルシャル(Zdeněk Tylšar)、ベドジフ・ティルシャル(Bedřich Tylšar)のホルン、ぺトル・アルトリフテル(Petr Altrichter)指揮のドヴォルザーク室内管弦楽団(Dvořák Chamber Orchestra)による、ハイドン作曲とされる2つのホルンのための協奏曲(Hob.VIId:2)などを収めた2枚組のアルバム。収録は1987年9月21日から29日、プラハのルドルフィヌムでのセッション録音。ルドルフィヌムはチェコフィルが本拠地としているホールのようです。レーベルはチェコのSUPRAPHON。
以前、このアルバムと同じホルン奏者であるティルシャル兄弟の2つのホルンのための協奏曲を取りあげています。その記事はこちら。
2012/05/21 : ハイドン–協奏曲 : ティルシャル兄弟/コシュラー/プラハ室内管の2つのホルンのための協奏曲
以前取りあげた方は1972年のPマークということで、今日取り上げる方は少なくてもその15年後の録音になります。指揮者とオケも異なり、時の経過とオケの違いがどのような違いにつながるかというところが聴き所でしょう。実はこのアルバム、よくメールを戴く湖国JHさんの愛聴盤ということで、手元の旧盤との違いが非常に気になっていたので取りあげた次第。奏者のティルシャル兄弟については、リンク先の前記事をご覧ください。
2つのホルンのための協奏曲については前出のティルシャル兄弟盤以外にも何度か取りあげています。
2012/07/26 : ハイドン–協奏曲 : 松崎 裕/山本 真/ジャパン・チェンバー・オーケストラの2つのホルンのための協奏曲
2011/10/05 : ハイドン–交響曲 : ヘルムート・ミュラー=ブリュール/ケルン室内管弦楽団の交響曲72番等
2010/10/16 : ハイドン–協奏曲 : ヘルマン・バウマンのホルン協奏曲集
この曲についての解説はバウマン盤をご覧ください。
指揮者のペトル・アルトリフテルは1951年、チェコ東部のオストラヴァの南の街、フレンシュタード・ポト・ラドシュチェム(Frenštát pod Radhoštěm)生まれの指揮者。オストラヴァ音楽院でホルンと指揮を学び、またヤナーチェク音楽・舞台芸術学校でも音楽を学びました。その後、チェコフィルでヴァーツラフ・ノイマンのアシスタントとして働き、プラハ交響楽団の首席客演指揮者を経て、1990年、首席指揮者に就任しました。ドイツでは1993年から2004年まで南西ドイツフィルハーモニーの音楽監督、イギリスでは1997年から2001年までロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を務め、2002年からはチェコのブルノフィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者となっています。このアルバムを録音したころはプラハ交響楽団の客演指揮者をしていた頃でしょうか。
Hob.VIId:2 / Concerto per 2 cors et Orchestre [E flat] (1762) (Composed by Antonio Rosetti/Michael Haydn?)
一聴して典雅なオケの序奏に耳を奪われます。旧盤のコシュラーとプラハ室内管が情感に訴える演奏だったのに対し、アルトリフテルの指揮するドヴォルザーク室内管はリズムの折り目をきりっとつけて、テンポもゆったり目。録音は旧盤も悪くなかったのですが、新盤の方が地に脚がついた感じで、オケに対して2本のホルンが浮かび上がり、ホルンの位置関係もはっきりわかる理想的なもの。鮮明と言うほどではありませんが、鑑賞上は新盤はかなりいい線いってます。ティルシャル兄弟のホルンの演奏は新旧両盤とも完璧といっていいほどですが、新盤のゆったりとしたテンポで、控えめなオケの伴奏に乗って朗々と吹き抜く感じの方がいいですね。眼前で2人が交互に掛け合う感じは絶妙。新盤はまさにホルンに鮮明にスポットライトが当たった演奏ですね。カデンツァはまさにホルンを完璧にコントロールした2人の息がピタリと合った神業が聴き取れます。ホルン好きの方にはたまらないものでしょう。
1楽章のキリッとした表情のオケに対して、2楽章ではぐっとテンポを落とすと同時に、表現もぐぐっと深くなり、ゆったり濃密な音楽になります。ティルシャル兄弟のホルンはそうした伴奏にのって素晴らしく彫りの深い孤高のソロ。2本のホルンの絶妙な重なり具合。
フィナーレも落ち着いたテンポで、爽快感もありながらしっとりとした表情も保っていきます。ホルンの安定感は揺らぐ事もなく、またオケの典雅な印象も一貫していて、この演奏の完成度の高さが窺えます。ホルンもオケも、体にしみこんだ音楽を奏でているような自然な佇まいが素晴らしいですね。
旧盤も素晴らしかったんですが、この新盤はそれを上回る素晴らしさ。この珍しい曲を2度も録音する意味がしっかりありました。ティルシャル兄弟の素晴らしいホルンのソロを浮かび上がらせるように控えめながら、じつに味わい深い演奏で支えるアルトリフテルとドヴォルザーク室内管の素晴らしいサポート、そしてしっとりとした美しい響きの録音と完璧なプロダクションに仕上がっています。おそらくハイドン自身が書いたものではないだろうというのが最近の評価のようですが、曲の真贋議論とは関係なく、この演奏で聴くこの曲は実に素晴らしいものです。ホルンという演奏が難しい楽器を、2本ソロにしたこの曲に仕込まれた創意が一番よくわかるアルバムです。ホルンの美しい響きを含めて、是非実演で聴いてみたいものです。評価は[+++++]とします。
※旧盤のアルバムのHMV ONLINE、TOWER RECORDSのリンク先は今日とりあげた新盤でしたので削除致しました。
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