作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

モニク・ド・ラ・ブルショリュリのピアノソナタXVI:35

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前記事のリステンパルトの演奏で、一昔前の香り立つような演奏に酔いしれました。もう一枚香り立つ演奏いきます。

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HMV ONLINEicon / TOWER RECORDS

モニク・ド・ラ・ブルショリュリのピアノによるハイドンのピアノソナタHob.XVI:35他、モーツァルト、ショパン、ディティユー、サンサーンス、シューベルトなどのピアノ曲を収めたアルバム。ハイドンの収録は1962年3月、パリのシャンゼリゼ劇場でのライヴ。レーベルは仏INA mémoire vive。

エッフェル塔ををバックにしたブルショリュリの写真とセンスのいいタイポグラフィが配された粋なジャケット。ピアニストのモニク・ド・ラ・ブルショリュリは私はこのアルバムで初めて聴いた人。いつものようにWikipediaなどの情報から略歴を調べておきましょう。

ブルショリュリは1915年パリ生まれのフランスのピアニスト。音楽一家に生まれ、母はイヴ・ナットを教えた人。母に手ほどきを受けたのち、7歳の若でパリ音楽院に入り、両親の親友でもあったピアニストのイシドール・フィリップに師事、1928年に13歳の若さで音楽院を首席で卒業。その後はパリでアルフレッド・コルトー、ウィーンでエミール・フォン・ザウアー、ベルリンでラウル・コチャルスキに師事。1932年に18歳の若さでシャルル・ミュンシュの指揮で協奏曲を演奏してデビューしました。1936年から1938年まで数々のコンクールで入賞し、1937年にワルシャワのショパン国際コンクールに入選。戦後はアメリカやポーランドなどを皮切りに国際的に活躍するようになり、ヨッフム、アンセルメ、カラヤン、チェリビダッケらの著名な指揮者と共演しました。1966年、ルーマニアで自動車事故にあい左手の機能を失ったため引退。晩年は教育活動に献身し、1973年に亡くなっています。

このアルバムの演奏はブルショリュリ47歳頃の演奏。まさに香り立つようなピアノに酔いしれます。

Hob.XVI:35 / Piano Sonata No.48 [C] (c.1780)
速めのテンポによる、非常にあっさりとしたタッチによる入り。ただ良く聴くとあっさりとしたというよりはさらさらと自在にテンポを揺らしながらそよ風のように弾き進めていきます。録音は低域が薄めですが鮮明さは十分。1962年という録音年代にしてはかなりの質の高い録音です。シャンゼリゼ劇場特有のカッチリした音です。
さらっとしたまま2楽章に入ります。ただ、徐々に立ちのぼる色香。テンポが徐々に落ちて、詩情が満ちあふれるようになります。このピアノの濃いニュアンスはフランス人ピアニストならではでしょう。自然ながら独特の雰囲気がすばらしいですね。情に流される事なくさらっとした詩情。
間を置く事なく、これまたあっさりとフィナーレに入ります。一貫して軽いタッチ、ピアノを鳴らしてはいるのですが、この軽さと詩情は見事。高音の転がるような音階にブルショリュリの才能が光ります。最後は間をおかず拍手が降り注ぎます。

つづくモーツァルトのファンタジアK.475も軽さと詩情が溢れる名演。コンサート会場にいた人が酔いしれる様子が想像できます。

モニク・ド・ラ・ブルショリュリのピアノによるシャンゼリゼ劇場のライヴ。この時代のこの瞬間を切り取ったような極上の演奏。ハイドンの演奏はこの曲のスタンダードという訳ではありませんが、ブルショリュリにしか弾けないハイドンであることは間違いありません。日本ではあまり有名な存在ではないでしょうが、演奏はハスキルやリパッティを彷彿とさせる、非常に雰囲気のある演奏。このアルバムは貴重な瞬間の記録と言う意味でも素晴らしいもの。ハイドンのピアノが好きな方にはオススメの演奏です。評価は以前より上げて、[+++++]とします。

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