【新着】エルサレム四重奏団のOp.20のNo.5、鳥、Op.76のNo.5
昨年のH. R. A. Awardの室内楽部門に輝いたエルサレム四重奏団のもう一枚のアルバムがHMV ONLINEから先日到着。当ブログを読んでこのアルバムを注文した方も絶賛するアルバム。maro_chroniconさん、湖国JHさんに遅れを取ってしまいましたが、当ブログも追いつきます(笑)

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TOWER RECORDS
エルサレム四重奏団(Jerusalem Quartet)の演奏によるハイドンの弦楽四重奏曲Op.20のNo.5、Op.33のNo.3「鳥」、Op.76のNo.5の3曲を収めたアルバム。2008年9月、ベルリンのテルデックススタジオ(Teldex Studio)でのセッション録音。レーベルはharmonia mundi。
2012/11/26 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : エルサレム四重奏団の「ひばり」、「五度」
エルサレム四重奏団については前の記事をご参照ください。わたしも前の記事のアルバムに出会ってその素晴らしさを知った口。最近聴いたハイドンの弦楽四重奏曲の中では抜きん出て素晴らしい演奏だといえるでしょう。前のアルバムが2003年の録音なのに対し、このアルバムは2008年と、ちょうど5年後の録音。以前はレギュラー盤としてリリースされていたようですが、harmonia mundiの常套策で、ちょっと値段を落としたシリーズとしてこの12月に再発売されたもの。ということで、当ブログで取りあげるアルバムとしては珍しく入手しやすいもの。
若手メンバーによる演奏ですが、素晴らしい前アルバムに対し、5年間でどれほどの成熟がみられたのかが、聴きどころでしょう。前振りは短めにして、早速レビューに入りましょう。
Hob.III:35 / String Quartet Op.20 No.5 [f] (1772)
Op.20のなかでも短調ではじまる独特の入りですがかなり軽目の入りから一気に盛り上がって、短調なのに色彩感豊かで流麗な入り。表情は穏やかでも音楽が溌剌とはずむのがわかります。5年の経過は余裕となって洗われています。キレのいいリズムと色彩感豊かな弦の響きは前アルバムそのままですが、演奏に一層の落ち着きが聴かれます。前アルバムできかれた緊張感はすこし薄れ、円熟味を増したというところ。
2楽章のメヌエットからフレージングのメリハリがはっきりとしてきて、第1ヴァイオリンのアレクサンダー・パヴロフスキーの絶妙な弓さばきによる美音が切々と語るようになります。やはり秀逸な弱音域のコントロール。
つづくアダージョに入ると各パートの自在さが際立つようになり、アンサンブルの面白さが一段上がります。ここにきて前アルバムの緊張感がつたわるように。温まって調子が上がってきましたでしょうか。非常にリラックスして互いの音をよく聴いた絶妙なアンサンブル。こちらもぐっと身を乗り出して聴き始めます。
フィナーレはフーガ。各楽器の良く響く美しい音色の織りなす綾の美しさとハイドンの書いた変奏の巧みさに耳を奪われます。クァルテットの表現のダイナミックレンジもぐっと上がり、楽器間の迫力あるせめぎ合いの面白さが際立ちます。1曲目だけに徐々に本領発揮といったところでしょう。
Hob.III:39 / String Quartet Op.33 No.3 "Vogelquartett" 「鳥」 [C] (1781)
Op.33らしい明るくクッキリとした旋律を鮮やかな弓さばきで軽々と奏でていきます。ヴァイオリンをはじめとする各楽器の非常に丁寧なデュナーミクのコントロールは流石。エルサレム四重奏団のキャラクターと曲が見事に一致。軽やかで鮮やか、そしてクッキリとしたメロディー。突き抜けるようなヴァイオリンの高音の美しさ。やはり4人の音楽性がピタリと一致して、一体となった素晴らしい音楽が流れます。このセンスというか音楽性がエルサレム四重奏団の凄いところでしょう。音が消え入るところのそろい方は鳥肌が立つような瞬間。
2楽章に入っても緊張感はそのまま。弱音の絶妙なコントロールによる入りから、鳥のさえずりのようなヴァイオリンの素晴らしいメロディを経て、再び絶妙な弱音。
3楽章は流麗なアダージョ。4人それぞれが美しいメロディー弾きながら、その重なりが醸し出す面白さもつたわる絶品の楽章。つづくフィナーレ速いパッセージのキレ具合が尋常じゃありません。それでいて音楽がしっかりながれていて、決してテクニックの誇示に聴こえないところが流石。軽々とこなす余裕が素晴らしい。
Hob.III:79 / String Quartet Op.76 No.5 [D] (1797)
ハイドンの音楽の円熟を感じる素晴らしい入りからの展開。先の鳥も良かったんですが、このOp.76は神憑った演奏。キレのいいエルサレム四重奏団の各楽器が鳴りまくりながら、この曲の精妙な音楽を活き活きと描いていきます。1楽章は息をつく間もないほどの緊張感。
と思ったら2楽章のラルゴはさらに凄い演奏。弦楽四重奏の演奏でこれほどの深みを表現できるとは。チェロも素晴らしい安定感。フレーズのコントロールは流麗かつダイナミックかつ清浄。ハイドンの音楽がこれほどの高みに至っていたということををこの演奏によって気づかされたというほどの凄さ。スクロヴァチェフスキのブルックナーの荘厳なアダージョと深さでは負けていないほどのもの。圧倒的。
堂々と自在なメヌエットを経て、クライマックスのフィナーレ。鳥のフィナーレ同様、速いパッセージの鮮やかのキレをちりばめながらメロディーをやり取りして音楽を織っていきます。ヴァイオリンの高音のキレは絶品。超鮮明な録音も手伝って、ハイドンの機知の宝庫のフィナーレを畳み掛けるように奏でていきます。最後は余韻をたのしむようにちょっとリズムを練って終わります。
期待して手に入れたアルバムですが、期待以上の出来です。2曲目の鳥と3曲目のOp.76のNo.5が素晴らしいのですが、特に3曲目は圧倒的な素晴らしさ。エルサレム四重奏団、凄すぎます。たった4本の楽器の奏でる音楽ですが、その豊かさ、深さ、そして楽しさはハイドンの音楽の真髄をつくもの。この演奏はハイドンにも聴かせて上げたかったですね。ハイドンの生きていた時代にこれほどの洗練された演奏はなし得なかったでしょうから。1曲目も悪くはありませんが、特に前半はアルバムの前座なのでしょうね。それも許せてしまう後半2曲の圧倒的な出来です。評価は1曲目が[++++]、他はもちろん[+++++]です。ハイドンの弦楽四重奏曲のすばらしさを伝える真の名盤です。皆様手に入れましょう。

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エルサレム四重奏団(Jerusalem Quartet)の演奏によるハイドンの弦楽四重奏曲Op.20のNo.5、Op.33のNo.3「鳥」、Op.76のNo.5の3曲を収めたアルバム。2008年9月、ベルリンのテルデックススタジオ(Teldex Studio)でのセッション録音。レーベルはharmonia mundi。
2012/11/26 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : エルサレム四重奏団の「ひばり」、「五度」
エルサレム四重奏団については前の記事をご参照ください。わたしも前の記事のアルバムに出会ってその素晴らしさを知った口。最近聴いたハイドンの弦楽四重奏曲の中では抜きん出て素晴らしい演奏だといえるでしょう。前のアルバムが2003年の録音なのに対し、このアルバムは2008年と、ちょうど5年後の録音。以前はレギュラー盤としてリリースされていたようですが、harmonia mundiの常套策で、ちょっと値段を落としたシリーズとしてこの12月に再発売されたもの。ということで、当ブログで取りあげるアルバムとしては珍しく入手しやすいもの。
若手メンバーによる演奏ですが、素晴らしい前アルバムに対し、5年間でどれほどの成熟がみられたのかが、聴きどころでしょう。前振りは短めにして、早速レビューに入りましょう。
Hob.III:35 / String Quartet Op.20 No.5 [f] (1772)
Op.20のなかでも短調ではじまる独特の入りですがかなり軽目の入りから一気に盛り上がって、短調なのに色彩感豊かで流麗な入り。表情は穏やかでも音楽が溌剌とはずむのがわかります。5年の経過は余裕となって洗われています。キレのいいリズムと色彩感豊かな弦の響きは前アルバムそのままですが、演奏に一層の落ち着きが聴かれます。前アルバムできかれた緊張感はすこし薄れ、円熟味を増したというところ。
2楽章のメヌエットからフレージングのメリハリがはっきりとしてきて、第1ヴァイオリンのアレクサンダー・パヴロフスキーの絶妙な弓さばきによる美音が切々と語るようになります。やはり秀逸な弱音域のコントロール。
つづくアダージョに入ると各パートの自在さが際立つようになり、アンサンブルの面白さが一段上がります。ここにきて前アルバムの緊張感がつたわるように。温まって調子が上がってきましたでしょうか。非常にリラックスして互いの音をよく聴いた絶妙なアンサンブル。こちらもぐっと身を乗り出して聴き始めます。
フィナーレはフーガ。各楽器の良く響く美しい音色の織りなす綾の美しさとハイドンの書いた変奏の巧みさに耳を奪われます。クァルテットの表現のダイナミックレンジもぐっと上がり、楽器間の迫力あるせめぎ合いの面白さが際立ちます。1曲目だけに徐々に本領発揮といったところでしょう。
Hob.III:39 / String Quartet Op.33 No.3 "Vogelquartett" 「鳥」 [C] (1781)
Op.33らしい明るくクッキリとした旋律を鮮やかな弓さばきで軽々と奏でていきます。ヴァイオリンをはじめとする各楽器の非常に丁寧なデュナーミクのコントロールは流石。エルサレム四重奏団のキャラクターと曲が見事に一致。軽やかで鮮やか、そしてクッキリとしたメロディー。突き抜けるようなヴァイオリンの高音の美しさ。やはり4人の音楽性がピタリと一致して、一体となった素晴らしい音楽が流れます。このセンスというか音楽性がエルサレム四重奏団の凄いところでしょう。音が消え入るところのそろい方は鳥肌が立つような瞬間。
2楽章に入っても緊張感はそのまま。弱音の絶妙なコントロールによる入りから、鳥のさえずりのようなヴァイオリンの素晴らしいメロディを経て、再び絶妙な弱音。
3楽章は流麗なアダージョ。4人それぞれが美しいメロディー弾きながら、その重なりが醸し出す面白さもつたわる絶品の楽章。つづくフィナーレ速いパッセージのキレ具合が尋常じゃありません。それでいて音楽がしっかりながれていて、決してテクニックの誇示に聴こえないところが流石。軽々とこなす余裕が素晴らしい。
Hob.III:79 / String Quartet Op.76 No.5 [D] (1797)
ハイドンの音楽の円熟を感じる素晴らしい入りからの展開。先の鳥も良かったんですが、このOp.76は神憑った演奏。キレのいいエルサレム四重奏団の各楽器が鳴りまくりながら、この曲の精妙な音楽を活き活きと描いていきます。1楽章は息をつく間もないほどの緊張感。
と思ったら2楽章のラルゴはさらに凄い演奏。弦楽四重奏の演奏でこれほどの深みを表現できるとは。チェロも素晴らしい安定感。フレーズのコントロールは流麗かつダイナミックかつ清浄。ハイドンの音楽がこれほどの高みに至っていたということををこの演奏によって気づかされたというほどの凄さ。スクロヴァチェフスキのブルックナーの荘厳なアダージョと深さでは負けていないほどのもの。圧倒的。
堂々と自在なメヌエットを経て、クライマックスのフィナーレ。鳥のフィナーレ同様、速いパッセージの鮮やかのキレをちりばめながらメロディーをやり取りして音楽を織っていきます。ヴァイオリンの高音のキレは絶品。超鮮明な録音も手伝って、ハイドンの機知の宝庫のフィナーレを畳み掛けるように奏でていきます。最後は余韻をたのしむようにちょっとリズムを練って終わります。
期待して手に入れたアルバムですが、期待以上の出来です。2曲目の鳥と3曲目のOp.76のNo.5が素晴らしいのですが、特に3曲目は圧倒的な素晴らしさ。エルサレム四重奏団、凄すぎます。たった4本の楽器の奏でる音楽ですが、その豊かさ、深さ、そして楽しさはハイドンの音楽の真髄をつくもの。この演奏はハイドンにも聴かせて上げたかったですね。ハイドンの生きていた時代にこれほどの洗練された演奏はなし得なかったでしょうから。1曲目も悪くはありませんが、特に前半はアルバムの前座なのでしょうね。それも許せてしまう後半2曲の圧倒的な出来です。評価は1曲目が[++++]、他はもちろん[+++++]です。ハイドンの弦楽四重奏曲のすばらしさを伝える真の名盤です。皆様手に入れましょう。
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