作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

【新着】アイヴァー・ボルトンの102番、太鼓連打(ハイドン)

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久しぶりの新着アルバムの紹介。HMV ONLINEに他のアルバムと一緒に注文してあった物が今日着きました。

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HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

アイヴァー・ボルトン(Ivor Bolton)指揮のザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団の演奏による、ハイドンの交響曲102番、103番「太鼓連打」の2曲を収めたアルバム。収録は2011年5月17日から19日、ザルツブルクの文化フォーラム、ドロテア・ポルシェ・ホールでのセッション録音。レーベルはOEHMS CLASSICS。

アイヴァー・ボルトンのハイドンはこれまで、3回取りあげています。おそらくこれがボルトンのハイドンの全録音。ボルトンの紹介は天地創造の記事をご覧ください。

2011/05/14 : ハイドン–オラトリオ : アイヴァー・ボルトンの天地創造
2011/05/09 : ハイドン–交響曲 : アイヴァー・ボルトンの奇跡、88番、迂闊者
2010/12/13 : ハイドン–オラトリオ : アイヴァー・ボルトン/モーツァルテウム管弦楽団の四季ライヴ

ボルトンの交響曲がこれが2枚目。記事を読んでいただければわかるとおり、奇跡、88番、迂闊者を収めたアルバムは極上の演奏でした。現代楽器に金管や打楽器は古楽器というザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団との演奏はトーマス・ファイほどエキセントリックではないものの、ハイドンの交響曲の響きの変化とキレを見事に表現して、ハイドンマニアを唸らせる演奏でした。四季も同様、非常に充実したライヴでしたが、天地創造が録音が少し災いしてちょっと評価を下げています。

ボルトンがハイドンの交響曲の2枚目にザロモン・セットのなかでは地味ながら音楽的に充実した102番と太鼓連打を選んでいるところがボルトンのハイドンに対する造詣の深さを物語っています。

Hob.I:102 / Symphony No.102 [B flat] (1794)
最新の録音らしく鮮明な音像。ヴィブラートの少ない現代風の演奏ながらフレージングに滑らかさ、デリケートさもあり、しかも迫力もあるという理想的な演奏。102番の曲想を踏まえた物でしょうか。テンポは中庸。ことさらキレに走らない落ち着いた音楽がボルトンらしいところでしょう。ただ、ここぞという時にもあらぶる事なく響きのバランスに集中しているように感じるところは、多少踏み込み不足感を残してしまいます。
美しい旋律が有名なアダージョは現代風のあっさりとしたフレージングですが、大きなうねりの表現は緻密で、分厚い弦楽器の音響に打たれる演奏。
メヌエットもオケが良くそろって、躍動感もありますが、ボルトンは響きとフレージングのバランスに神経が集中しているようで、冷静に盛り上げてくる感じ。ハイドンのメヌエットの面白さを知的に処理している感じ。音響的には完璧な仕上がり。響きの変化やノリの良さを感じさせるミンコフスキよりも理性的に聴こえます。
フィナーレは予想通り、抑えた部分のに神経が張り巡らされた良くコントロールされた演奏。一貫したリズムのなかでダイナミクスのコントロールに変化をつけて小気味好い感じを上手く出し、振り切れる事はないのですが、迫力も緻密に演出。フィナーレも完璧な演奏。完璧すぎてちょっと没入しきれないという余韻も残します。

Hob.I:103 / Symphony No.103 "Mit dem Paukenwirbel" 「太鼓連打」 [E flat] (1795)
大相撲の櫓太鼓を思わせる太鼓連打。ティンパニ、なかなかいいです。前曲同様、ボルトンの緻密なコントロールに耳を奪われます。ただなぜか前曲よりもすこしノリがよくなり、フレージングにも勢いを感じます。ヴォリューム感の表現が秀逸で、タイトながら迫力ある響きの波が次々と襲ってきます。最後の太鼓連打はドラムソロのような自在な表現で曲を引き締めます。気づいてみると金管の響きがかなり抑えられた録音故、塊のようなオケの一体感ある響きにつながっているようです。
2楽章のアンダンテはあっさりしながらもヴァイオリンの表情が前曲より豊かに聴こえます。奏者の音楽性を優先させたのでしょうか。リズムが弾み、メロディーも活き活きしています。やはり抑えた部分の表情のコントロールは上手い。中間部の図太い響きと木管楽器の軽やかの旋律の掛け合いよくコントロールされて、一貫したボルトンの音楽になっています。
壮麗典雅なメヌエットの入り。速めのテンポによって華やかさが増し、オケは相変わらず良く引き締まった響きを奏でます。中間部は音量をかなり抑えて、繊細な印象で両端部との対比を鮮明にします。終盤は惰性に流される印象をもつ演奏が多い中、緊張感を保ち続けます。
フィナーレは流麗な入りから響きのカオスのような盛り上がりに突入し、オケのエネルギーも高まります。力任せではなく、やはり緩急降りまぜた手綱捌きによって非常に引き締まった演奏になります。終盤ギアがトップに入り、このアルバム一番の盛り上がりを聴かせて終了します。ティンパニが腹にきくような迫力。

アイヴァー・ボルトンとザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団による最新録音のこのアルバム。ボルトンらしい現代風のコントロールの行き届いた完璧な演奏でした。太鼓連打の方はボルトンもオケも演奏を楽しんでいるような印象だったのに対し、102番の方は響きのコントロールに神経が集中しているようで、もう一段の生気を求めたいところです。両曲とも質の高いいい演奏であるのは書いた通り。ボルトンはおそらくライヴをアルバムにした方がいいような印象を持ちました。ということで評価は102番が[++++]、太鼓連打は[+++++]とします。

今日から年末のお休み。音楽を聴く環境も引越し後調整等特にしていませんでしたが、時間が出来たので少し調整しました。引越し前はスピーカーとアンプが少し離れていたので、スピーカーケーブルは長かったのですが、引越し後もそまま長めに使っていました。今日は一念発起して、新しい部屋に合わせてケーブルを切り縮めたところ響きと定位感が一段鮮明になりました。どうやら余った長さを巻いていたのが良くなかったようです。こうしたちょっとした事の積み重ねで、少しずつ音がなじんでいくんですね。鮮明な音響となって、ボルトン盤の鮮明な響きの魅力がいっそう高まりました。

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