ベルンハルト・クレー/プラハ室内管の哲学者
クリスマスが近づきました。クリスマスになるとなぜか私は独特の癒しをもった「哲学者」が聴きたくなるんですね。

ベルンハルト・クレー(Bernhard Klee)指揮のプラハ室内管弦楽団(Prager Kammerorchester)によるハイドンの交響曲6番「朝」、7番「昼」、8番「晩」、22番「哲学者」の4曲を収めたアルバム。収録は1974年7月、プラハのDejvice Kolejniスタジオでのセッション録音。レーベルはメジャー系廉価盤シリーズの先駆け、Deutsche GrammophonのGALLERIA。
今日はこのアルバムから、「朝」、「昼」、「晩」に目もくれず「哲学者」を取りあげます。
プラハ室内管弦楽団は当ブログでもいくつかの演奏を取りあげていますが、指揮者のベルンハルト・クレーはもちろんはじめて。最近のアルバムでも「哲学者」は取りあげています。
2012/10/17 : ハイドン–協奏曲 : ミハル・カニュカ/プラハ室内管によるチェロ協奏曲、哲学者
2012/10/14 : ハイドン–交響曲 : ブラハ室内管弦楽団の「驚愕」
2012/05/21 : ハイドン–協奏曲 : ティルシャル兄弟/コシュラー/プラハ室内管の2つのホルンのための協奏曲
プラハ室内管と言えば指揮者なしの室内管弦楽団を標榜していることは、驚愕の記事、カニュカとのチェロ協奏曲の記事にも記した通りで、驚愕の演奏はまるで豪腕指揮者がコントロールしたような迫力溢れる演奏でした。またカニュカとのアルバムに収められた2003年から2004年の録音は逆にバランスの良い味わい深い演奏でした。
このアルバムは1974年と今から40年近く前の録音であり、ベルンハルト・クレーという指揮者をおいた演奏であり、指揮者なしを標榜するプラハ室内管がどのような演奏を聴かせるかがポイントでしょう。
ベルンハルト・クレーは1936年、ドイツのチェコ国境に近いシュライツ(Schleiz)生まれの指揮者。Wikipediaなどによれば、ライプツィヒの聖トーマス教会聖歌隊を経てケルン音楽大学で学んだ後、1957年にケルン歌劇場のコレペティトールとして腕を磨きました。1959年にはウォルフガング・サヴァリッシュのアシスタント、1962年からザルツブルク、オーバーハウゼン、ハノーファー、リューベックなどの歌劇場の音楽監督を歴任、1976年から1978年までハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者でした。1977年から1987年まではデュッセルドルフ交響楽団の首席指揮者、1985年から1989年まではBBC交響楽団の首席客演指揮者など様々なオケで活躍した人。その後はフリーで指揮活動を行っているとのことです。調べてみるとクレーが指揮したアルバムもちらほらリリースされていますが、日本ではあまり知られていない人だと思います。
こうゆう知らない人の指揮するアルバムを聴くのはマイナー盤好きの私には楽しみな事です(笑) 迫力溢れるプラハ室内管からどのような響きを聴かせるのでしょうか。
Hob.I:22 / Symphony No.22 "Philosopher" 「哲学者」 [E flat] (1764)
前に置かれた朝、昼、晩よりも、一段鮮明な録音。いきなりしなやかな癒しに満ちた哲学者の美しいメロディーラインに惹き付けられます。ホルンやイングリッシュホルンの独特の単調なメロディーに対して、弦楽器がかなりニュアンスに富んだデリケートな演奏。他の録音で聴くプラハ室内管の演奏にくらべて弦楽器のニュアンスが豊かであり、これはクレーのコントロールによるものでしょう。ある意味吹きっぱなしに聴こえる管楽器に対し非常に豊かな表情をもつ弦楽器の対比が見事。非常に豊かな音楽が流れます。1楽章から絶品です。
続くプレストは予想より遅いテンポで、じっくりメロディーを描くことに主眼をおいているよう。やはり弦楽器の表情の豊かさが根底にあり、ごく自然な演奏の味わいを深めています。ザクザク切れ込むプラハ室内管は影を潜め、穏やかな表情が素晴らしいですね。
メヌエットも自然なのに味わい深いデュナーミクの変化が素晴らしい演奏。ひとつひとつのフレーズが穏やかながら活き活きとしていて、非常に豊か。
そしてオケの腕の見せ所のフィナーレ。導入はこれからはじまる音楽のざわめきを予感させる気配のようなものが非常に上手く表現され、ゾクゾクするような緊張感。主題に入るとテンポはあまり上げず、やはりメロディーラインをしっかりしなやかに描くことに手中しているよう。この曲のメロディーの美しさを余すところなく表現した演奏でした。
プラハ室内管の演奏の先入観を持って聴くと、あまりにしなやかで、じっくり落ち着いた演奏なことに驚きますが、やはりこれはベルンハルト・クレーのコントロールによるものでしょう。哲学者という癒しに満ちた曲の真髄を突く非常にしなやかな演奏。本当に癒しに満ちた音楽が流れました。前に置かれた朝、昼、晩よりも一段良い出来ゆえ、この曲を取りあげましたが、哲学者の演奏として広くお薦めできる演奏です。ただし、いつも紹介しているHMV ONLINEにもamazonにもTOWER RECORDSにも登録がないところを見ると、現在は流通していないようですね。中古で見かけたら入手すべき演奏だと思います。もちろん評価は[+++++]とします。

ベルンハルト・クレー(Bernhard Klee)指揮のプラハ室内管弦楽団(Prager Kammerorchester)によるハイドンの交響曲6番「朝」、7番「昼」、8番「晩」、22番「哲学者」の4曲を収めたアルバム。収録は1974年7月、プラハのDejvice Kolejniスタジオでのセッション録音。レーベルはメジャー系廉価盤シリーズの先駆け、Deutsche GrammophonのGALLERIA。
今日はこのアルバムから、「朝」、「昼」、「晩」に目もくれず「哲学者」を取りあげます。
プラハ室内管弦楽団は当ブログでもいくつかの演奏を取りあげていますが、指揮者のベルンハルト・クレーはもちろんはじめて。最近のアルバムでも「哲学者」は取りあげています。
2012/10/17 : ハイドン–協奏曲 : ミハル・カニュカ/プラハ室内管によるチェロ協奏曲、哲学者
2012/10/14 : ハイドン–交響曲 : ブラハ室内管弦楽団の「驚愕」
2012/05/21 : ハイドン–協奏曲 : ティルシャル兄弟/コシュラー/プラハ室内管の2つのホルンのための協奏曲
プラハ室内管と言えば指揮者なしの室内管弦楽団を標榜していることは、驚愕の記事、カニュカとのチェロ協奏曲の記事にも記した通りで、驚愕の演奏はまるで豪腕指揮者がコントロールしたような迫力溢れる演奏でした。またカニュカとのアルバムに収められた2003年から2004年の録音は逆にバランスの良い味わい深い演奏でした。
このアルバムは1974年と今から40年近く前の録音であり、ベルンハルト・クレーという指揮者をおいた演奏であり、指揮者なしを標榜するプラハ室内管がどのような演奏を聴かせるかがポイントでしょう。
ベルンハルト・クレーは1936年、ドイツのチェコ国境に近いシュライツ(Schleiz)生まれの指揮者。Wikipediaなどによれば、ライプツィヒの聖トーマス教会聖歌隊を経てケルン音楽大学で学んだ後、1957年にケルン歌劇場のコレペティトールとして腕を磨きました。1959年にはウォルフガング・サヴァリッシュのアシスタント、1962年からザルツブルク、オーバーハウゼン、ハノーファー、リューベックなどの歌劇場の音楽監督を歴任、1976年から1978年までハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者でした。1977年から1987年まではデュッセルドルフ交響楽団の首席指揮者、1985年から1989年まではBBC交響楽団の首席客演指揮者など様々なオケで活躍した人。その後はフリーで指揮活動を行っているとのことです。調べてみるとクレーが指揮したアルバムもちらほらリリースされていますが、日本ではあまり知られていない人だと思います。
こうゆう知らない人の指揮するアルバムを聴くのはマイナー盤好きの私には楽しみな事です(笑) 迫力溢れるプラハ室内管からどのような響きを聴かせるのでしょうか。
Hob.I:22 / Symphony No.22 "Philosopher" 「哲学者」 [E flat] (1764)
前に置かれた朝、昼、晩よりも、一段鮮明な録音。いきなりしなやかな癒しに満ちた哲学者の美しいメロディーラインに惹き付けられます。ホルンやイングリッシュホルンの独特の単調なメロディーに対して、弦楽器がかなりニュアンスに富んだデリケートな演奏。他の録音で聴くプラハ室内管の演奏にくらべて弦楽器のニュアンスが豊かであり、これはクレーのコントロールによるものでしょう。ある意味吹きっぱなしに聴こえる管楽器に対し非常に豊かな表情をもつ弦楽器の対比が見事。非常に豊かな音楽が流れます。1楽章から絶品です。
続くプレストは予想より遅いテンポで、じっくりメロディーを描くことに主眼をおいているよう。やはり弦楽器の表情の豊かさが根底にあり、ごく自然な演奏の味わいを深めています。ザクザク切れ込むプラハ室内管は影を潜め、穏やかな表情が素晴らしいですね。
メヌエットも自然なのに味わい深いデュナーミクの変化が素晴らしい演奏。ひとつひとつのフレーズが穏やかながら活き活きとしていて、非常に豊か。
そしてオケの腕の見せ所のフィナーレ。導入はこれからはじまる音楽のざわめきを予感させる気配のようなものが非常に上手く表現され、ゾクゾクするような緊張感。主題に入るとテンポはあまり上げず、やはりメロディーラインをしっかりしなやかに描くことに手中しているよう。この曲のメロディーの美しさを余すところなく表現した演奏でした。
プラハ室内管の演奏の先入観を持って聴くと、あまりにしなやかで、じっくり落ち着いた演奏なことに驚きますが、やはりこれはベルンハルト・クレーのコントロールによるものでしょう。哲学者という癒しに満ちた曲の真髄を突く非常にしなやかな演奏。本当に癒しに満ちた音楽が流れました。前に置かれた朝、昼、晩よりも一段良い出来ゆえ、この曲を取りあげましたが、哲学者の演奏として広くお薦めできる演奏です。ただし、いつも紹介しているHMV ONLINEにもamazonにもTOWER RECORDSにも登録がないところを見ると、現在は流通していないようですね。中古で見かけたら入手すべき演奏だと思います。もちろん評価は[+++++]とします。
- 関連記事
-
-
ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルの88番、ロンドン
2013/01/17
-
カール・リステンパルトの驚愕、軍隊、時計(ハイドン)
2013/01/07
-
【新着】アイヴァー・ボルトンの102番、太鼓連打(ハイドン)
2012/12/28
-
アダム・フィッシャー/オーストリア・ハンガリー・ハイドン管弦楽団の哲学者、24番
2012/12/26
-
ベルンハルト・クレー/プラハ室内管の哲学者
2012/12/23
-
ミヒャエル・ギーレン/バーデンバーデン・フライブルクSWR交響楽団の太鼓連打
2012/12/19
-
デュトワ/モントリオール・シンフォニエッタの87番
2012/12/17
-
クルト・マズア/イスラエル・フィルの88番ライヴ
2012/12/16
-
ウィレム・ファン・オッテルロー/ハーグフィルのオックスフォード
2012/11/29
-