エルサレム四重奏団の「ひばり」、「五度」
番外がつづいたので、ここで一発、ハイドン好きの方の心を鷲掴みにする素晴らしいアルバムを紹介しておきましょう。

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TOWER RECORDS
エルサレム四重奏団(Jerusalem Quartet)の演奏による、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.64 No.5「ひばり」、Op.76 No.2「五度」、Op.77 No.1の3曲を収めたアルバム。収録は2003年4月、オランダ、ハールレムの統一メノナイト教会(Vereenigde Doopsgezinde Gemeente)でのセッション録音。この教会はいろいろな録音で登場する場所なのでよほど良い音響なのでしょう。レーベルは名門仏harmonia mundi。
エルサレム四重奏団は1993年にイスラエルの首都エルサレムで結成されたクァルテット。2004年の来日時の資料を見ると、このとき平均年齢が26歳との事で、設立時は10代ということになります。メンバーのうち2人がウクライナ出身、他のメンバーはイスラエル出身です。1997年、オーストリアのグラーツで開かれた「シューベルトならびに20世紀音楽コンクール」で第1位と20世紀音楽最優秀解釈賞を受賞、また1999年から3年間BBCの「ニュー・ジェネレーション・アーティスト計画」に選ばれ、イギリスでも定期的に演奏をおこなっていたとのこと。メンバーは下記のとおり。
第1ヴァイオリン:アレクサンダー・パヴロフスキー(Alexander Pavlovsky)
第2ヴァイオリン:セルゲイ・ブレスラー(Sergei Bresler)
ヴィオラ:アミハイ・グロス(Amichai Grosz)
チェロ:キリル・ズロトニコフ(Kyril Zlotnikov)
いつものようにウェブサイトへのリンクを紹介しておきましょう。
Jerusalem Quartet - HOME
日本ではあまり知られた存在ではないかも知れませんが、HMV ONLINEには12枚のアルバムが並び、ショスタコーヴィチやシューベルトなどに並んでハイドンもこれ以外に1枚録音があるようです。わたしは初めて聴くクァルテットですが、アルバムを聴く限り相当な腕の持ち主と見受けました。
Hob.III:63 / String Quartet Op.64 No.5 "Lerchenquartetett" 「ひばり」 [D] (1790)
おなじみのひばりは小気味好いリズムが心地よい入り。この曲に求められる爽やかさと、ハイドンの四重奏らしいメロディーラインがくっきりと浮かび上がる様子に冒頭から耳が釘付けになります。いきなりただならぬ完成度です。ヴァイオリンが伸び伸びと歌うフレーズの美しさも素晴らしいものがあります。若手らしく溌剌とした音楽。若干溜める表現も見受けられますが適度な範囲で、また抑えた部分の謙虚さも冴え冴えとして、そのバランス感覚が非常によろしい。ひばりが野原を飛び回るような可憐さがうまく表現できています。1トラック目でいきなりエルサレム四重奏の強烈な印象が残ります。
アダージョも悪かろうはずはありません。良く聴くとやはり抑えた部分の緊張感が素晴らしく、非常に緻密なのに爽やかな音楽となっています。磨き抜かれた自然さ。
メヌエットに入ってもスタンスは変わらず、楽章間の対比というよりは一貫して音楽が流れる感じ。そしてフィナーレは速めのテンポで弓使いの鮮やかさが際立つようなクリアな音階によりクライマックスを築きます。非常に鮮明な録音も相俟って1曲目から素晴らしい出来。
Hob.III:76 / String Quartet Op.76 No.2 "Quintenquartetett" 「五度」 [d] (1797)
続いてこちらも名曲五度。演奏の質はかわらず、速めのテンポによるめくるめくような流麗な入り。やはり抜群のセンスの良さ。音楽が自然に淀みなく流れます。ハイドンの曲の面白さを非常に良くとらえて、実に楽しげな音楽に。険しい音楽でもあるこの曲を磨き抜かれた美音で親しみやすく仕立てていきます。ハイドンの名曲をピニン・ファリーナが再構成したような流麗さ。ライヴのような緊張感もあり、磨き抜く事でスタティックな印象をあたえることもありません。彼ら本来の音楽をしっかり持っているからでしょう。
アンダンテはぐっとリラックスして表現を自在にコントロールするところも見せつけます。すべての音に理由があるようにフレーズごとにじっくりとした表情をつけていきます。音楽の美しさが際立ちます。
メヌエットは曲に楔を打ち込むように独特の曲調を強調しますが、やはり音量を落とす部分が緊張感を保ち、力任せな印象や単調な印象は皆無。この辺がこのクァルテットの素晴らしいところでしょう。
フィナーレは前曲同様、抜群のテクニックを聴かせますが、本当にテクニックがあるのでしょう、自然さが際立ち、爽やかな音楽の余韻が心地よい終わり方。いやいや、素晴らしい演奏です。
Hob.III:81 / String Quartet Op.77 No.1 [G] (1799)
時間切れで詳しいレビューは書きませんが、前曲同様素晴らしい演奏。
初めて聴くエルサレム四重奏団のハイドンは、まさに理想的な演奏とはこのような演奏のことを言うものというような演奏。ハイドンの弦楽四重奏曲くっきりとした構成感とメロディーの美しさを素直に表現したもの。むずかしいことなしにハイドンの弦楽四重奏曲の入門者向けの録音としてもお薦めできます。あまりの素晴らしさにビックリしたほど。もちろん評価は全曲[+++++]とします。
こうなると、未聴のもう一枚も早急に手に入れなくてはなりませんね。いいアルバムに出会いました。

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エルサレム四重奏団(Jerusalem Quartet)の演奏による、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.64 No.5「ひばり」、Op.76 No.2「五度」、Op.77 No.1の3曲を収めたアルバム。収録は2003年4月、オランダ、ハールレムの統一メノナイト教会(Vereenigde Doopsgezinde Gemeente)でのセッション録音。この教会はいろいろな録音で登場する場所なのでよほど良い音響なのでしょう。レーベルは名門仏harmonia mundi。
エルサレム四重奏団は1993年にイスラエルの首都エルサレムで結成されたクァルテット。2004年の来日時の資料を見ると、このとき平均年齢が26歳との事で、設立時は10代ということになります。メンバーのうち2人がウクライナ出身、他のメンバーはイスラエル出身です。1997年、オーストリアのグラーツで開かれた「シューベルトならびに20世紀音楽コンクール」で第1位と20世紀音楽最優秀解釈賞を受賞、また1999年から3年間BBCの「ニュー・ジェネレーション・アーティスト計画」に選ばれ、イギリスでも定期的に演奏をおこなっていたとのこと。メンバーは下記のとおり。
第1ヴァイオリン:アレクサンダー・パヴロフスキー(Alexander Pavlovsky)
第2ヴァイオリン:セルゲイ・ブレスラー(Sergei Bresler)
ヴィオラ:アミハイ・グロス(Amichai Grosz)
チェロ:キリル・ズロトニコフ(Kyril Zlotnikov)
いつものようにウェブサイトへのリンクを紹介しておきましょう。
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日本ではあまり知られた存在ではないかも知れませんが、HMV ONLINEには12枚のアルバムが並び、ショスタコーヴィチやシューベルトなどに並んでハイドンもこれ以外に1枚録音があるようです。わたしは初めて聴くクァルテットですが、アルバムを聴く限り相当な腕の持ち主と見受けました。
Hob.III:63 / String Quartet Op.64 No.5 "Lerchenquartetett" 「ひばり」 [D] (1790)
おなじみのひばりは小気味好いリズムが心地よい入り。この曲に求められる爽やかさと、ハイドンの四重奏らしいメロディーラインがくっきりと浮かび上がる様子に冒頭から耳が釘付けになります。いきなりただならぬ完成度です。ヴァイオリンが伸び伸びと歌うフレーズの美しさも素晴らしいものがあります。若手らしく溌剌とした音楽。若干溜める表現も見受けられますが適度な範囲で、また抑えた部分の謙虚さも冴え冴えとして、そのバランス感覚が非常によろしい。ひばりが野原を飛び回るような可憐さがうまく表現できています。1トラック目でいきなりエルサレム四重奏の強烈な印象が残ります。
アダージョも悪かろうはずはありません。良く聴くとやはり抑えた部分の緊張感が素晴らしく、非常に緻密なのに爽やかな音楽となっています。磨き抜かれた自然さ。
メヌエットに入ってもスタンスは変わらず、楽章間の対比というよりは一貫して音楽が流れる感じ。そしてフィナーレは速めのテンポで弓使いの鮮やかさが際立つようなクリアな音階によりクライマックスを築きます。非常に鮮明な録音も相俟って1曲目から素晴らしい出来。
Hob.III:76 / String Quartet Op.76 No.2 "Quintenquartetett" 「五度」 [d] (1797)
続いてこちらも名曲五度。演奏の質はかわらず、速めのテンポによるめくるめくような流麗な入り。やはり抜群のセンスの良さ。音楽が自然に淀みなく流れます。ハイドンの曲の面白さを非常に良くとらえて、実に楽しげな音楽に。険しい音楽でもあるこの曲を磨き抜かれた美音で親しみやすく仕立てていきます。ハイドンの名曲をピニン・ファリーナが再構成したような流麗さ。ライヴのような緊張感もあり、磨き抜く事でスタティックな印象をあたえることもありません。彼ら本来の音楽をしっかり持っているからでしょう。
アンダンテはぐっとリラックスして表現を自在にコントロールするところも見せつけます。すべての音に理由があるようにフレーズごとにじっくりとした表情をつけていきます。音楽の美しさが際立ちます。
メヌエットは曲に楔を打ち込むように独特の曲調を強調しますが、やはり音量を落とす部分が緊張感を保ち、力任せな印象や単調な印象は皆無。この辺がこのクァルテットの素晴らしいところでしょう。
フィナーレは前曲同様、抜群のテクニックを聴かせますが、本当にテクニックがあるのでしょう、自然さが際立ち、爽やかな音楽の余韻が心地よい終わり方。いやいや、素晴らしい演奏です。
Hob.III:81 / String Quartet Op.77 No.1 [G] (1799)
時間切れで詳しいレビューは書きませんが、前曲同様素晴らしい演奏。
初めて聴くエルサレム四重奏団のハイドンは、まさに理想的な演奏とはこのような演奏のことを言うものというような演奏。ハイドンの弦楽四重奏曲くっきりとした構成感とメロディーの美しさを素直に表現したもの。むずかしいことなしにハイドンの弦楽四重奏曲の入門者向けの録音としてもお薦めできます。あまりの素晴らしさにビックリしたほど。もちろん評価は全曲[+++++]とします。
こうなると、未聴のもう一枚も早急に手に入れなくてはなりませんね。いいアルバムに出会いました。
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