作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ブリュッヘン/エイジ・オブ・エンライトメント管の42番

0
0
今日はブリュッヘン。

BruggenGreen.jpg
amazon

フランス・ブリュッヘン(Frans Brüggen)指揮のエイジ・オブ・エンライトメント管弦楽団の演奏で、ハイドンのシュトルム・ウント・ドラング期の交響曲19曲を収めた5枚組のアルバム。今日はその中から交響曲42番を取りあげます。42番の収録は1997年3月、ロンドンのブラック・ヘルス・コンサートホールでのセッション録音。レーベルはもちろん在りし日のPHILIPS。

久しぶりに取り出したアルバムです。ブリュッヘンの演奏はこれまで何度が取りあげていますが、初期交響曲を収めたこのアルバムははじめて取りあげるもの。

2011/04/29 : ハイドン–交響曲 : ブリュッヘン/モーツァルテウムのリラ・オルガニザータ協奏曲、84番
2011/03/01 : ハイドン–交響曲 : ブリュッヘンの90番、91番、オックスフォード
2010/11/01 : ハイドン–交響曲 : ブリュッヘンの88番、89番、協奏交響曲
2010/10/20 : ハイドン–管弦楽曲 : ブリュッヘンの十字架上のキリストの最後の七つの言葉
2010/04/04 : ハイドン–交響曲 : ブリュッヘンのザロモンセット

これまで取りあげてきたように、ブリュッヘンの演奏は、当たった時には素晴らしいエネルギー感に満ちた演奏ですが、ちょっとムラがあり、曲によっては鈍重に感じる演奏もあり、なかなか一筋縄では行きません。今日は好きな「悲しみ」を聴きたくてCD3をかけてみたんですが、今ひとつしゃきっとしません。その前に置かれた「マリア・テレジア」も同様。ただCD3の3曲目に置かれた42番は違いました。ということで、今日は42番を取りあげます。

Hob.I:42 / Symphony No.42 [D] (1771)
冒頭から推進力溢れる響き。入りは落ち着いた表情を見せながらもすぐにキレの良さが耳に届きます。前の「マリア・テレジア」と「悲しみ」とは異なりリズムが弾み、音楽が活き活きとしてきます。シュトルム・ウント・ドラング期特有の憂いを含んだ美しいメロディーが古楽器なのにざらついた迫力を聴かせるブリュッへンのコントロールで描かれます。迫力、厚み、活力、そして古楽器のクッキリとした透明感が高次にバランスした音楽。ヴァイオリンの荒々しいのに雅な感じもあるフレージングと、強音になると威力を発揮するオーケストラの吹き上がりが痛快です。
2楽章はアンダンティーノ・カンタービレ。突然石積みの古いバシリカに迷い込んだような静謐な音楽。まさにシュトルム・ウント・ドラング期ならではの闇を感じさせるもの。ブリュッヘンは、深さはほどほどで、淡々としたリズムの刻みのテンポ感を保つように抑制したコントロール。音楽が自然に流れ、曲の魅力が浮き彫りになります。
メヌエットはいい時のブリュッヘンの余裕が感じられます。冒頭の強音のキレ、中間部の力を抜いたコミカルな部分の抑えた演出、そして再び立体感溢れるキレを聴かせます。このメヌエットはキリッとした緊張感に溢れ、完璧な演奏。
つづくフィナーレもメヌエットの緊張感をたもち、抑えたメロディーのデュナーミクのコントロールが実に緻密。全神経がメロディーラインに集中します。フレーズごとの対比も見事。力感や迫力ではないブリュッヘンの新たな魅力を発見したようです。

42番を聴いてから、もう一度「悲しみ」に戻ってみると、やはりフレーズのキレがだいぶ違います。新鮮な牡蠣のフライを食べたあとに冷凍のカキフライを食べたような感じ。あるいは優勝が決まったあとのシーズンの消化試合のよう(笑)。ブリュッヘンはやはりムラが大きいです。「悲しみ」は名曲だけに、逆にキレの悪さが目立ってしまいます。ということで、今日はいい方の42番を取りあげましたが、ブリュッヘンが集中した時の良さは健在でした。特に後半2楽章の、力が抜けているのに緻密な音楽は素晴らしいものです。42番は[+++++]とします。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
関連記事

0 Comments

There are no comments yet.