オーフラ・ハノーイのチェロ協奏曲集

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オーフラ・ハノーイ(Ofra Harnoy)のチェロ、ポール・ロビンソン(Paul Robinson)指揮のトロント室内管弦楽団(Toronto Chamber Orchestra)の演奏でハイドンのチェロ協奏曲1番と2番を収めたアルバム。収録は1983年、カナダ、トロントのマッセイ・ホールでのセッション録音。レーベルはRCA GOLD SEAL。
※収録年が当初1993年と誤った表記となっておりました。
オーフラ・ハノーイは一時美人チェリストとして人気のあった人。日本でもおなじみの人は多いかもしれませんが、私は実ははじめて聴く人。いつものように略歴を紹介しておきましょう。
1965年、イスラエルのハデラ(Hadera)生まれのチェリスト。1971年家族とともにイスラエルからカナダ、トロントに移住。父親からチェロを習うようになり、ピエール・フルニエ、ジャクリーヌ・デュ・プレ、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチなど錚々たるチェリストに師事した。オーケストラとの共演したデビューは早くも10歳のときで、1982年にはニューヨークのカーネギーホールでリサイタルを開く等、若くして才能が開花しました。
一方、1983年にはオッフェンバックのチェロ協奏曲の初演および初録音、翌1984年にはイギリスの作曲家アーサー・ブリスのチェロ協奏曲を北米初演、そしてヴィヴァルディのいくつかのチェロ協奏曲の世界初演を果たす等アカデミックな側面も持っています。1987年以降RCA Victorの看板チェリストとして多くの有名曲の録音を残しました。日本でもずいぶん露出されていたように記憶しています。
またクラシック以外のジャンルにも積極的に取り組み、スティングやカナダのケルティック・ハープ奏者、ロリーナ・マッケニット(Loreena McKennitt)などとも共演しているそうです。
本人のサイトがありましたので、紹介しておきましょう。
OfraHarnoy.com
HMV ONLINEなどをみると現役盤もあまりないことから、最近活動しているのかどうかわかりません。ハノーイのハイドンはどのような音楽を聴かせてくれるでしょうか?
Hob.VIIb:1 / Cello Concerto No.1 [C] (1765-7)
オケは堅実、ゆったり気味のテンポですが、エッジはキリッと立てて、マナーのいい伴奏。ハノーイのチェロもクッキリとエッジがたったものですが、女性奏者らしく高音の鳴きが印象的。聴き進めていくと、フレージングは耽美的ですらあるように変化していきます。オケもそれに合わせて流麗に変化。要所のアクセントによってメリハリも保ちながら、チェロ本来の高音の美しさをうまく表現した演奏。カデンツァはかなり力の入った意欲的なもの。。オケの落ち着いたサポートにのってオーフラ・ハノーイのチェロが心地よく演奏している感じ。
アダージョは一気にロマンティックに変化。さらにゆったりとしたテンポで、ハイドンの美しい旋律を入念に練り上げていきます。ハノーイのチェロはヴィブラートをたっぷりかけて、流麗至極。くどくなるかと思いきや、それほどでもなく、ハノーイ節をたっぷりと楽しむ事ができます。デュプレのような渾身の演奏というより、どこか落ち着いた流麗さという面もあって、朝焼けを眺めるような爽やかさも感じます。
フィナーレはオケの上手さが際立ちます。非常によく訓練され、リズムとテンポのキレがよく、絢爛豪華な感じがよく出ています。ハノーイのチェロも歯切れのよい伴奏に乗って、チェロも立体的に浮かび上がるような鮮烈な演奏。1番の朗らかさを上手く表現した演奏です。
Hob.VIIb:2 / Cello Concerto No.2 [D] (1783)
2番の入りはこの曲の円熟を示すように、非常に味わい深い伴奏から。指揮のポール・ロビンソン、かなりの腕前とみました。ハノーイのチェロも老成を感じるような落ち着き。大きな構えでテンポが落ち着いているので、演奏がしっかりと地に足をつけている感じに聴こえるのがいい印象につながっています。良く鳴く演奏ですが情緒に流されている感は微塵もなく、しっかりとした骨格設計があるように聴こえます。耽美的なのに落ち着いて聴けるなかなかの演奏ですね。2番のカデンツァは女性らしいタッチの軽さで深い淵を覗き込むような表現の陰影をつけていく秀逸なもの。表現を凝らしているのに不自然さが皆無なところはやはり才能だと言えるでしょう。長大な2番の1楽章をきっちりまとめあげます。
2楽章のアダージョはまさにそよ風のような演奏。美しい高音、完璧なオケとの掛け合い、そして以外にデュナーミクの幅も大きいハノーイのチェロ。音の軽さがいい方向に働いて華麗さにつながっています。
そして回想シーンのようなフィナーレも基本的に冷静さを保ちながらの耽美的な演奏。オケとの一体感も抜群で不揃いなところは皆無。非常にまとまりの良い演奏でした。
美人チェリスト、オーフラ・ハノーイによるハイドンのチェロ協奏曲集。ハノーイ28歳頃の録音で、もうすこし若々しい演奏を想像していましたが、むしろ老成した耽美的な演奏。女性らしい演奏ではありますが、音色の軽さから来る爽やかさと確かな技術に裏付けられた安定感が相俟ったチェロ。当時の人気に恥じない演奏ということが出来るでしょう。このアルバムではポール・ロビンソンの指揮によるトロント室内管弦楽団がキリッと引き締まった伴奏で好サポート。オケの響きの良さも聴き所です。評価は両曲とも[++++]とします。
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