作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ベルリン・フィルハーモニー・ソロイスツの「誕生日」(ハイドン)

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今日もマイナー盤。最近お店に仕入れに行く時間が取れないので、オークションなどで未入手盤を集めています。

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ベルリン・フィルハーモニー・ソロイスツ(Philharmonische Solisten Berlin)の演奏による、ハイドンのディヴェルティメント(Hob.II:11)「誕生日」などを収めたアルバム。収録は1982年とだけ記載されています。レーベルはDeutsche Grammophonの廉価盤であるeloquenceシリーズ。

このアルバム、ハイドンの他にカール・シュターミツ、フランツ・ダンツィ、アントン・ライヒャ、モーツァルトの管楽器のための室内楽曲を集めたアルバム。奏者はベルリン・フィルの奏者を中心としたもの。

ハイドンの演奏を担当するベルリン・フィルハーモニー・ソロイスツのメンバーは以下のとおり。

フルート:カールハインツ・ツェラー(Karlheinz Zoeller)
オーボエ:ローター・コッホ(Lother Koch)
ヴァイオリン:ライナー・ゾンネ(Rainer Sonne)
ヴァイオリン:ハンス=ヨアヒム・ヴェストファル(Hans-Joachim Westphal)
チェロ:ヨルグ・バウマン(Jörg Baumann)
コントラバス:クラウス・シュトル(Klaus Stoll)
チェンバロ:ワルデマール・デリング(Waldemar Döling)

1982年といえばカラヤンがベルリンフィルを振ってた時代ゆえ、そのころのベルリンフィルの腕利き奏者が集まったアンサンブルという事でしょう。ローター・コッホは皆さんご存知の名オーボエ奏者。いちおう名前で検索してみましたが他のメンバーもベルリンフィルの奏者です。

今日取り上げる曲はハイドンの作品群のなかでも、おそらく最もマイナーなジャンルであるディヴェルティメントです。ここで、あらためてディヴェルティメントとはどのような音楽かということを、Wikipediaから引用しておきましょう。

ディヴェルティメント(伊: divertimento)は、18世紀中頃に現れた器楽組曲である。語源はイタリア語の「divertire(楽しい、面白い、気晴らし)」に持ち、明るく軽妙で楽しく、深刻さや暗い雰囲気は避けた曲風である。フランス語ではディヴェルティスマン(divertissement)。日本語では嬉遊曲(喜遊曲、きゆうきょく)とも訳される。
貴族の食卓・娯楽・社交・祝賀などの場で演奏され、楽器編成は特に指定はなく、三重奏、四重奏、弦楽合奏、管楽合奏、小規模のオーケストラなど様々である。また形式・楽章数ともに自由である。演奏の目的を同じとするセレナーデと似ているが、セレナーデが屋外での演奏用であるのに対し、ディヴェルティメントは室内での演奏用だとされる。
18世紀にハイドンやモーツァルトらによって多くの作品が書かれ、19世紀にはいったん廃れたが、20世紀に復活し、バルトークらによって作品が残されている。


また、この曲の成り立ちを手元のマンフレート・フスのアルバムのライナーノーツから紹介しておきましょう。

ハイドンのこの曲は1763年ごろの作曲とされ4楽章構成で6声部のディヴェルティメント。既に1765年頃には多くの楽譜が出版され、広く知られた曲となっていたようです。このディヴェルティメントには「誕生日」というニックネームがついていますが、2楽章では2丁のヴァイオリンがオクターブはなれて、まるで夫婦のように寄り添って誕生日を祝うようすが描かれているとの事。この2楽章は「夫婦」とも呼ばれています。これはハイドン自身によって仕込まれたユーモアだと思われており、こうした特徴によって曲が有名になったものと思われています。まさにディヴェルティメントが楽しむものだということの真髄を突く曲と言っていいでしょう。

ベルリンフィルの名手たちはこのディヴェルティメントに仕込まれたウィットをどう料理するでしょうか。

Hob.II:11 / Divertimento "Der Geburtstag" 「誕生日」(6 Qurtette fur Flote, Violine, Viola und Violincello Op.5 Nr.6) [C] (c.1763)
録音はちょっと古さを感じさせます。デッドな空間に6本の楽器とチェンバロが並びますが、空気感、定位感が今ひとつなので、オンマイクによる収録でしょう。もう少しライヴ感というか祝祭感があったほうが曲に合っているような気がします。
1楽章のプレストは華やかな曲想。2分少々の曲ですが、2本のヴァイオリンとフルート、オーボエ、チェロ、コントラバスが活き活きと躍動する感じ。最近感じるベルリンフィルのソリストたちの華やかな表現力と比べると地味というか生真面目な印象。
2楽章の「夫婦」のモチーフは、非常にシンプルなもの。敢えて単調さを前面に出すような意図を感じる演奏。素朴な音楽。チェンバロも抑えた音色で合わせます。
3楽章はメヌエットで、この曲でもっともしっくり来る演奏。ハイドンのメヌエットだと安心して聴けるメロディー。中盤はヴァイオリンのピチカートによる美しいメロディーが挟まり、ふたたび前半部の繰り返し。
この曲の聴き所は4楽章の7つの変奏曲。ベルリンフィルの名手たちが次々とメロディーを引き継いでいきます。これはまさに演奏者自身が楽しむような音楽です。楽譜が広く行き渡るのが頷ける面白さ。やはりオーボエのローター・コッホは一段プレゼンスが違う見事な演奏。変奏がすすむにつれ楽器の絡み合いが増え、音楽も饒舌に。最後の変奏は期待通り全楽器が重なり、大団円になります。

ベルリンフィルの名手たちによるハイドンのユーモアに富んだディヴェルティメントの演奏。今更ですが、この曲のことを調べた上でこの演奏を聴いてディヴェルティメントの魅力がなんとなく今までよりわかった気がします。このような音楽を自分たちで演奏して楽しむとか、身近な人たちに演奏してもらって楽しむというのが、ディヴェルティメントのあるべき姿でしょう。演奏自体は今から30年前のカラヤン時代のベルリンフィルの重厚さ、真面目さの余韻を感じるもの。コッホのオーボエを中心とした名手の演奏を楽しめるものです。評価は[++++]としたいと思います。

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