作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ボロディン四重奏団の十字架上のキリストの最後の七つの言葉

2
0
最近オークションで手に入れたアルバム。

Borodin93.jpg
amazon

ボロディン四重奏団(Borodin Quartet)の演奏によるハイドンの弦楽四重奏版「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」。収録は1993年10月、ベルリンのテルデック・スタジオでのセッション録音。レーベルはTELDEC。

ボロディン四重奏団のハイドンはこれまでいくつか取りあげています。ついでにボロディン三重奏団の演奏も。

2012/07/02 : ハイドン–室内楽曲 : ボロディン三重奏団のXV:27
2011/08/21 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : 【新着】ボロディン四重奏団のロシア四重奏曲
2011/08/06 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : ボロディン弦楽四重奏団の十字架上のキリストの最後の七つの言葉ライヴ

ボロディン四重奏団は終戦の年1945年にロシアで創設された弦楽四重奏団。メンバーは入れ替わっていますが、現在でも活躍しているクァルテット。十字架上のキリストの最後の七つの言葉は、1984年12月7日モスクワ音楽院の大ホールでのライヴ盤を取りあげています。これは鋼のような冷徹な演奏として記憶に残るもの。今日取り上げるのはそれから10年近く経ってからのセッション録音で、メンバーの変更はありません。

第1ヴァイオリン:ミハイル・コペルマン(Mikhail Kopelman)
第2ヴァイオリン:アンドレイ・アブラメンコフ(Andrei Abramenkov)
ヴィオラ:ディミトリー・シェバリーン(Dmitri Shebalin)
チェロ:ヴァレンティン・ベルリンスキー(Valentin Berlinsky)

ライヴの興奮とより円熟を深めたセッション録音のどちらに軍配があがるでしょうか。

Hob.III:50-56 / String Quartet Op.51 No.1-7 "Musica instrumentare sopra le 7 ultime parole del nostro Redentore in croce" 「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」 (1787)
ボロディン四重奏団のトレードマークである、鋼のようなタイトな音色は健在。テンポはかなり遅めで、じっくりというより黒沢映画の重厚な構成のようなただの遅いテンポとは異次元の構成感。録音は鋭角的なこのクァルテットの特徴を良くとらえたもの。非常にテンションの高い直接音重視の録音。時代なりの古さはありますが、弦楽四重奏でこれだけワイドレンジな音響、録音は滅多にありません。各楽器が独立してのびのびと弾いているような素晴らしい臨場感。アンサンブルは精緻。やはりコベルマンのヴァイオリンのクッキリと浮かび上がる旋律の姿は絶品。丁寧に描かれるメロディーラインは現在の演奏とは異次元の深みを感じさせます。古楽器の演奏が幅を利かせる現代にあってスタイルとしては伝統的なものですが、この深みは時空を超える普遍性を持っていると言わざるを得ません。セッション録音とは思えない抜群の集中力で、1曲1曲をじっくり進めていきます。硬質な各楽器の響きは変わらず、伸びの良いメロディーラインを丁寧に描いていきます。響きのベースをヴァレンティン・ベルリンスキーのチェロの凛々しい演奏が支えています。第1ソナタから第7ソナタまで、曲に応じた変化はなくただ、ただタイトな響きで攻め込む一方です。テンションは高いまま鎮まる気配は微塵もなく、部屋中にボロディン四重奏団のタイトな響きが響き渡ります。第5ソナタのピチカートの部分でもピチカート自体にテンションが宿り、メロディーラインはつんざくようなプレゼンスで心に迫ります。もはやボロディン四重奏団の術中に完全にハマった感じ。最後まで息つく暇もないほどのスタティックなハイテンション。最後の地震の場面は、剃刀の切れ味と鉈の力強さを併せ持った感じ。暴風が吹き抜けるような弩迫力の演奏でした。

ボロディン四重奏団によるハイドンの傑作「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」の弦楽四重奏版、定番曲のまさに定番クァルテットの演奏ですが、その迫力と説得力は異次元のものでした。以前聴いたライヴ盤も凄い演奏でしたが、こちらのセッション録音盤はそれを上回る素晴らしい演奏。この曲を聴くならボロディンをはずすことは出来ません。評価はもちろん[+++++]とします。残念ながら現役盤ではありませんが、amazonならまだ手に入ります。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
関連記事

2 Comments

There are no comments yet.

maro_chronicon

もちろん

我ながら50歳になったばかりとは思えぬ反射神経を発揮してアマゾンに寄ってきました。そして明日はタワレコに寄れると思うのですが、グリュミオーを買ってしまう気がします。

  • 2012/09/21 (Fri) 03:03
  • REPLY

Daisy

Re: もちろん

maro_chroniconさん、おはようございます。いつもコメントありがとうございます。
最近仕事が忙しく、帰宅は深夜になってます。ブログを書くどころか、タワレコやディスクユニオンなどにも寄る暇もありません。こうゆうときネットはやはり便利ですね。今週はオークションで手持ちのアルバムの隙間を埋めるようなアイテムをいくつか落札しております。やはり、未知なるアルバムを手に入れるというのはストレス発散になりますね(笑)
ボロディン四重奏団の険しい弦の響きにどうぞ打たれてください!

  • 2012/09/21 (Fri) 06:08
  • REPLY