ハワード・シェリー/スイス・イタリア語放送管弦楽団の97番

少し涼しくなってきたので、さっぱり地味目の交響曲の演奏を。前記事のレストロ・アルモニコの演奏を聴いて、穏やかな交響曲の演奏をもう少し聴いてみたくなった次第。

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ハワード・シェリー(Howard Shelley)指揮のスイス・イタリア語放送管弦楽団(Orchestra della Svizzera Italiana)の演奏でハイドンのザロモンセットを収めた4枚組のアルバム。今日はこの中から交響曲97番を取りあげます。97番の収録は2008年5月、スイス、ルガーノにあるステリオ・モーロ・オーディトリウムでのセッション録音。レーベルは英hyperion。

このアルバムがリリースされたのは2009年と比較的最近のことでハイドン没後200年に合わせて発売されたものだと思います。もちろん発売直後に手に入れましたが、オーソドックスな演奏という印象だけで、特段記憶に残るものではありませんでした。ただ、ハイドンのザロモンセットをいきなりセットでリリースするということは、よほどの自信があってのことでしょう。もう少しちゃんと聴かなくてはと思っていたアルバムです。

指揮のハワード・シェリーは1950年ロンドン生まれのイギリス人ピアニスト、指揮者。ロンドンの王立音楽大学で学び、1971年、ピアニストとしてウィグモア・ホールでデビューしました。同年マイケル・ティルソン・トーマス指揮のロンドン交響楽団とも共演し、以降世界的に活躍するようになり、またレコーディングも数多くこなすようになりました。1985年には指揮者として活動するようになり、ロンドン・フィルやロンドン交響楽団、ロイヤル・フィルなどのイギリスのオケをはじめとして、ヨーロッパやオーストラリアのオケ等を指揮、ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズの首席客演指揮者として20年以上にわたって緊密な関係を保っています。他にスウェーデンのウプサラ室内管弦楽団やカメラータ・ザルツブルクなどとも演奏を重ねています。

この実力派のシェリーのアルバムのなかから何曲か聴いて、相性の良さそうな97番を取り上げた次第。

Hob.I:97 / Symphony No.97 [C] (1792)
序奏からバランスの良いタイトな響き。さっぱりと爽快感のある響きの序奏ですが、主題に入ると、小規模ながらキレのいい推進力のあるメロディーを聴かせます。小気味好くエネルギーを感じさせ、畳み掛けるような演奏。オーソドックスなテイストながら、ハイドンの面白さのツボを押さえた演奏。現代楽器による演奏ですが、古楽器風のさっぱり感。ノリントンのようにことさらノンヴィブラートを強調するのではなく、自然さを基調としたもの。要は癖のない演奏という印象です。97番の1楽章ように適度なアタック感のある曲としてはなかなかの感興。前におかれた奇跡では此処ぞというところでかなり派手にスローダウンしますが、この曲では平静を保って、逆にいい感じ。
2楽章は教科書的なオーソドックスさで入りますが、中盤の強奏から宿るエネルギーで目が覚めます。シェリーの音楽は誠実そのもので、いい意味でも悪い意味でも遊びがなく、穏やかな理想のイメージの演奏に追い込んでいくようなアプローチが特徴。音楽の幅を広げるのにはもう一歩の踏み込みが欲しい反面、このオーソドックスさが貴重と思える部分もあります。
メヌエットも同様のスタンス。楽章間で変化をつけるよりは、流れの一貫性を旨としているよう。様々な演奏がリリースされているこの実直さは逆に貴重でしょう。メヌエットの中間部に至って少し華やいだ感じを強めるのが新鮮。
フィナーレでは流石に鮮明さを上げ、クッキリした表情と沸き上がる音楽の魅力を放ちます。それでも八分の力で余裕を残した感じ。金管の隈取りが効果的に決まり、オケの響きに彩りが加わり、徐々にメリハリがついてきた感じをうまく表現しています。最後はキリッと引き締めて終わります。

ハワード・シェリーの97番は、ハイドンの交響曲を聴き込んできたベテランの方にオススメしたい、ノンヴィブラート気味の透明感をベースにした小気味好いオーソドックスな演奏。伝統的な演奏とは確かに違いを感じますが、全体を貫く一貫したオーソドックスさはハイドンの交響曲としては定番のアプローチ。違いのわかる人には、じつに慈しみ深く聴こえるかもしれません。逆に一聴して地味な演奏でもあります。97番と言う小気味好い演奏が似合う曲と相性の良い演奏でしょう。評価は[++++]とします。

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tag : 交響曲97番

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