作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

デレク・ソロモンス/レストロ・アルモニコの告別

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まだ取りあげた事のない演奏者のアルバム。古楽器による演奏としてはホグウッドよりもさらに前の録音。

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デレク・ソロモンス(Derek Solomons)指揮のレストロ・アルモニコ(L'Estro Armonico)の演奏でハイドンの交響曲6曲を収めたアルバム。アルバムにはVol.9と記載されていますが、たしか3巻しかリリースされなかったと思います。収録は1983年11月から12月にかけて、ロンドンの聖バルナバ教会でのセッション録音。レーベルはSONY CLASSICALではなくCBS MASTERWORKS。

今日はこのアルバムから名曲交響曲45番「告別」を取りあげましょう。

レストロ・アルモニコはヴァイオリニストのデレク・ソロモンスによって1973年に設立された古楽器オーケストラ。訳すと「調和の霊感」、アントニオ・ヴィヴァルディの作品名として知られています。メンバーは英国の室内楽演奏家の腕利き揃い。イングランド西部のバースという街で行われる音楽祭にヴィバルディの生誕300年の年であった1978年にに招かれたり、ハイドンの生誕250年の年である1982年にに再びバース音楽祭招かれる等、古楽器オーケストラとしては草分けとして活躍したオーケストラ。

メンバー表を見ると、昨日取りあげたホグウッド盤のアカデミー室内管弦楽団とヴァイオリンのクリストファー・ハイロンズとホルンのアンソニー・ホールステッドという主要メンバーが共通しています。ただし、オケとしての響きはかなり異なります。

今日取り上げる告別の所有盤リストをチェックすると、古楽器による演奏ではこのレストロ・アルモニコ盤が最も古い録音ということになり、まさに古楽器によるハイドンの交響曲演奏の草分け的存在である事がわかります。

Hob.I:45 / Symphony No.45 "Farewell" 「告別」 [f sharp] (1772)
ホグウッドとアカデミー室内管がクッキリとした響きを特徴としていたのに対し、こちらは音の塊のエネルギーに主眼をおいたような演奏。古楽器による演奏ですが、演奏のスタンスは現代楽器に近いもの。キビキビしたところはありますが、響きは塊となって、ホグウッドのコントロールのような洗練された響きを感じさせるものではなく、渾然一体となったもの。告別の1楽章は畳み掛けるような曲想の魅力がありますが、ちょっと浮き足立った感じもあって、十分な迫力まで至りません。カチャカチャとした印象が面白くもあります。若干深みに欠ける録音に起因するような気がしなくもありません。
弱音器をつけた弦楽器によるアダージョは、オーソドックスな展開。シュトルム・ウント・ドラング期特有の憂いに満ちた音楽を淡々と演奏していきます。1楽章よりも自然さが増しています。音量の変化はそれほど大きくなく表情の変化もそこそこ。淡々とした演奏でも溢れ出る情感。ハイドンの曲自体に情感が宿っているという事でしょう。ホルンの余韻と弦の響きが溶け合い、えも言われぬ雰囲気になっています。
メヌエットは鮮明さを取り戻し、クッキリした表情。確かに古楽器の音色なんですが、古楽器らしいとゆうより、純粋に溶け合う響きの美しさを楽しめと言われているよう。
フィナーレの前半に入り、ようやくオケの迫力に触れたよう。各楽器が畳み掛けるように攻め入る様はソロモンスの意図がようやくしっくり来た感じです。後半は有名な一人一人去っていく音楽。指揮者の実直さが伝わってくるような真面目な演奏。ここに来てホルンの安定感のある図太い低音の響きの魅力が際立つようになります。少しずつ楽器が減っていく様はどの演奏でもちょっと侘しい感じがしていいものです。

デレク・ソロモンス指揮のレストロ・アルモニコの演奏は、古楽器による演奏ということに媚びる事なく、実に自然な演奏。個性的な演奏ではありませんが、この演奏を好む方が多いのも頷けるところ。1楽章のちょっと浮き足立った印象が多少マイナスですが、曲がすすむにつれてじわりと魅力を引き出すあたり、ソロモンスの実力というところでしょう。評価は[++++]ということにします。以前より一段階アップです。

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