作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

マリナー/アカデミー室内管の86番

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今日は散々迷ったあげくに、大御所マリナー。

MarrinerParis.jpg
HMV ONLINEicon / amazon

サー・ネヴィル・マリナー(Sir Neville Marriner)指揮のアカデミー室内管弦楽団(Academy of St Martin in the Fields)の演奏で、ハイドンの交響曲82番から87番までの6曲、所謂パリセットを収めた2枚組のアルバム。今日はこの中から好きな交響曲86番を取りあげます。86番の収録は1981年3月、ロンドンとだけ記されています。レーベルは今は亡き蘭PHILIPS。

マリナーのハイドンはずいぶん取りあげていますが、意外と交響曲を取りあげるのははじめての事。

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2010/12/06 : ハイドン–声楽曲 : マリナー/ドレスデン・シュターツカペレの戦時のミサ
2010/10/14 : ハイドン以外のレビュー : ホリガーのモーツァルトのオーボエ協奏曲
2010/10/03 : ハイドン–協奏曲 : リン・ハレルのチェロ協奏曲集

今日取り上げるアカデミー室内管とは協奏曲の伴奏などいい演奏が多いのですが、なんといっても素晴らしいのがドレスデン・シュターツカペレとのミサ曲。分厚いオケとコーラスが怒濤の迫力で攻めて来る素晴らしい演奏。このミサ曲でマリナーのハイドンの素晴らしさを知ったというのが正直なところ。

マリナーの交響曲は同じくPHILIPSから名前つき交響曲集がリリースされており、こちらもオススメのいいアルバムですが、10枚組と枚数が多いことから、なかなか取りあげるタイミングがなく、ここまで来てしまいました。その他にこのパリセットがありますが、この2枚組は廉価盤ながら、マリナーの良さがよく出ているオススメ盤です。

Hob.I:86 / Symphony No.86 [D] (1786)
このパリセットの特徴は速めのテンポによる現代楽器のオーソドックスな演奏である事。速めのテンポというだけでなく、小気味好い痛快さを伴うところがハイドンの真髄を捉えた見事な演奏です。
1楽章はまさに練る事もなく、序奏から速めのテンポでグイグイ行きます。主題に入ってからのテンポはまさに快速。リズムの躍動を音符にしたようなこの曲の、まさに真髄をつくような演奏。リズミカルはずむ低音弦とさりげなくキレの良いヴァイオリンの織りなす素晴らしい推進力。まさに快刀乱麻の勢い。必要十分なキレ。力が抜けてるのにキレまくった秀演。1楽章だけで感極まります。PHILIPSらしく空気感と実体感の両立した録音。
2楽章のラルゴは、一転してさりげなく、そしてしなやかさを追求した演奏。この柔らかさはなかなかなもの。なだらかな草原を散歩するような穏やかな気持ちになるラルゴ。
メヌエットは柔らかな表情のまま、少し力感が増して、肌合いが同じなのにすこし筋肉質になったような演奏。ポイントは非常にきめ細やかな肌合いの方でしょう。丹念なフレージングと絶妙の力加減から生まれる、コントロールされた力感。テンポ感は相変わらずキレのいいもの。重いメヌエットは好みませんので、まさに理想的なもの。
そしてフィナーレは、予想よりも少し落ち着いたもの。メヌエットのきめ細やかな肌合いの余韻の残る中、フルスロットルにはならずに、八分の力でキレよく進めます。ここまで磨きこまれたフィナーレも珍しいもの。それだけの余裕があります。流石マリナーと唸るばかり。最後まで余裕溢れるダンディズム。ブラヴォー。

久々に聴いたマリナーの交響曲。パリセットの小気味良い曲想を理想的に磨き込んだ秀演です。オケのテクニックと緻密なアンサンブルが非常に魅力的な演奏。一聴してオーソドックスな演奏ですが、良く聴くと非常に緻密さを感じる演奏。ただし緻密に表現された自然さという感じで、それが醸し出す余裕が演奏の質を物語ってます。レビューのために何度かかけ直したのですが、聴く度に魅力が増していくようでした。評価は[+++++]とします。以前より一つアップしました。

さて、以前から地道に登録してきた、Brilliant Classicsのスコットランド歌曲集、全18枚の所有盤リストへの登録が一応完了しました。実に地道な作業でしたが、ちょっと達成感もあります(笑)

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8 Comments

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michael

No title

こんばんは michaelです。
マリナー盤のパリ・セットは聴き逃していましたね、いつでも買えると思っていたら「入荷待ち」だそうで、入手できればぜひ聴きたいです。
マリナーは演奏史に新しい方向をつけ、ハイドンの真価を最初に聴かせてくれた人だと思います。「太鼓連打」ってこんなに心地よい曲なのか、と刷り込まれたものです。
しかし、86番って不思議にも飽きることがないですね^^

Daisy

Re: No title

michaelさん、こんばんは。
マリナー盤、久しぶりに取り出して聴いてみたら、この素晴らしさ。マリナーは侮れません。太鼓連打の方はあまり記憶にありませんので、聴いてみなくてはなりませんね。私自身古楽器の演奏は嫌いではありませんが、このマリナーの演奏を聴くと、現代楽器による表現力の素晴らしさにあらためて感じ入った次第。ヒュー・ウルフやペシェクなどの名演もあり、現代楽器の演奏にも興味は尽きません。
86番はシューリヒトの演奏で親しんでから偏愛する交響曲。飽きるなんてとんでもないことです(笑)

  • 2012/08/22 (Wed) 21:32
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ライムンド

No title

おはようございます。マリナー指揮のモーツアルト・交響曲が国内廉価盤で復刻されているのを見て(見ただけです)、そう言えばハイドンもあったはずだと思っていました。ピリオド全盛の現代にあって、アカデミー室内管弦楽団の演奏はどうなんだろうと思っていたところ、記事を読んだところでは、モーツアルトよりも良さそうですね。

  • 2012/08/22 (Wed) 21:37
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Daisy

Re: No title

ライムンドさん、こんばんは。拍手コメントをこちらに移させていただきました。
確かにPHILIPSのモーツァルト全集の交響曲はマリナーが担当でしたね。これは未入手ですが、やはりハイドンはいいです。ただ、名前つき交響曲集も手に入れたのがかなり前で、しかも演奏の記憶も薄いため、聴き直さなくてはと思ってます。

  • 2012/08/22 (Wed) 21:41
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だまてら

No title

マリナーは「20ネームシンフォニーズ」というシリーズを録音していて、単売では各ジャケットがユーモラスなイラストでした。私は日和って10枚組箱物で購入しましたが、イラスト欲しさでまた集めなおそうかと思っています。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1235357047
私のパリセットは、ベタですがやはりザンデルリンク/ベルリンSOです。仏像など古美術にも造詣の深かった西村弘治さんの解説も熱が籠っています。

  • 2012/08/25 (Sat) 09:21
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Haydn2009

No title

マリナーのハイドン交響曲集は、アナログ盤の10枚組と、その後単売された、(6番、7番、8番)、(53番、69番)、(60番、63番)をアナログ盤持っていまして、いずれもすばらしい演奏で愛聴盤です。ただ、パリセットは、10枚組収録の82番、83番、85番以外は聴いた事がなく、その後29 Name SymphonyとしてCD10枚組で1990年代に発売されたセットのうちの2曲(26番と47番)も聴いた事がないので、それらも合わせてぜひ聴いてみたいものです。残念ながら29 Name Symphonyの10枚組CDは、長らく廃盤のままで、2009年のHaydn Yearでの廉価復活を望んでいたのですが、それはかなわず。ぜひ、廉価復活を果たしていただきたいものです。

  • 2012/08/25 (Sat) 11:25
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Daisy

Re: No title

だまてらさん、おはようございます。
確かにLP時代にありましたね。記憶の片隅にうっすら残ってますが、LP時代にマリナーのハイドンは聴いていませんでした。手元の29曲もののほう、少しずつ聴き直してみたいと思います。
パリセットですが、ザンデルリンク盤は名演ですね。実はこちらも取りあげていませんので、そのうち取りあげた色思っています。

  • 2012/08/26 (Sun) 08:22
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Daisy

Re: No title

Haydn2009さん、おはようございます。
マリナーのハイドンの交響曲は人気があったようですね。ご指摘の26番と47番は10枚組のCDに収められていますが、指揮はマリナーではなくレイモン・レッパードで演奏もイギリス室内管が担当しています。何らかの事情で、マリナーが録音できなかったものと推察されます。CDの10枚組はamazonなどで販売されていますが、高いですね。中古を丹念に探せば手に入るのではないかと思ってます。

  • 2012/08/26 (Sun) 08:38
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