マリナー/アカデミー室内管の86番

HMV ONLINE
サー・ネヴィル・マリナー(Sir Neville Marriner)指揮のアカデミー室内管弦楽団(Academy of St Martin in the Fields)の演奏で、ハイドンの交響曲82番から87番までの6曲、所謂パリセットを収めた2枚組のアルバム。今日はこの中から好きな交響曲86番を取りあげます。86番の収録は1981年3月、ロンドンとだけ記されています。レーベルは今は亡き蘭PHILIPS。
マリナーのハイドンはずいぶん取りあげていますが、意外と交響曲を取りあげるのははじめての事。
2011/08/10 : ハイドン–声楽曲 : 【お盆特番1】マリナー/ドレスデン・シュターツカペレのネルソンミサ
2011/04/24 : ハイドン–協奏曲 : バリー・タックウェル/マリナーのホルン協奏曲
2011/03/03 : ハイドン–協奏曲 : ハーデンベルガー、マリナー/ASMFのトランペット協奏曲
2011/02/27 : ハイドン–オラトリオ : フィッシャー=ディースカウフル登場、マリナー/ASMFの天地創造-2
2011/02/27 : ハイドン–オラトリオ : フィッシャー=ディースカウフル登場、マリナー/ASMFの天地創造
2010/12/06 : ハイドン–声楽曲 : マリナー/ドレスデン・シュターツカペレの戦時のミサ
2010/10/14 : ハイドン以外のレビュー : ホリガーのモーツァルトのオーボエ協奏曲
2010/10/03 : ハイドン–協奏曲 : リン・ハレルのチェロ協奏曲集
今日取り上げるアカデミー室内管とは協奏曲の伴奏などいい演奏が多いのですが、なんといっても素晴らしいのがドレスデン・シュターツカペレとのミサ曲。分厚いオケとコーラスが怒濤の迫力で攻めて来る素晴らしい演奏。このミサ曲でマリナーのハイドンの素晴らしさを知ったというのが正直なところ。
マリナーの交響曲は同じくPHILIPSから名前つき交響曲集がリリースされており、こちらもオススメのいいアルバムですが、10枚組と枚数が多いことから、なかなか取りあげるタイミングがなく、ここまで来てしまいました。その他にこのパリセットがありますが、この2枚組は廉価盤ながら、マリナーの良さがよく出ているオススメ盤です。
Hob.I:86 / Symphony No.86 [D] (1786)
このパリセットの特徴は速めのテンポによる現代楽器のオーソドックスな演奏である事。速めのテンポというだけでなく、小気味好い痛快さを伴うところがハイドンの真髄を捉えた見事な演奏です。
1楽章はまさに練る事もなく、序奏から速めのテンポでグイグイ行きます。主題に入ってからのテンポはまさに快速。リズムの躍動を音符にしたようなこの曲の、まさに真髄をつくような演奏。リズミカルはずむ低音弦とさりげなくキレの良いヴァイオリンの織りなす素晴らしい推進力。まさに快刀乱麻の勢い。必要十分なキレ。力が抜けてるのにキレまくった秀演。1楽章だけで感極まります。PHILIPSらしく空気感と実体感の両立した録音。
2楽章のラルゴは、一転してさりげなく、そしてしなやかさを追求した演奏。この柔らかさはなかなかなもの。なだらかな草原を散歩するような穏やかな気持ちになるラルゴ。
メヌエットは柔らかな表情のまま、少し力感が増して、肌合いが同じなのにすこし筋肉質になったような演奏。ポイントは非常にきめ細やかな肌合いの方でしょう。丹念なフレージングと絶妙の力加減から生まれる、コントロールされた力感。テンポ感は相変わらずキレのいいもの。重いメヌエットは好みませんので、まさに理想的なもの。
そしてフィナーレは、予想よりも少し落ち着いたもの。メヌエットのきめ細やかな肌合いの余韻の残る中、フルスロットルにはならずに、八分の力でキレよく進めます。ここまで磨きこまれたフィナーレも珍しいもの。それだけの余裕があります。流石マリナーと唸るばかり。最後まで余裕溢れるダンディズム。ブラヴォー。
久々に聴いたマリナーの交響曲。パリセットの小気味良い曲想を理想的に磨き込んだ秀演です。オケのテクニックと緻密なアンサンブルが非常に魅力的な演奏。一聴してオーソドックスな演奏ですが、良く聴くと非常に緻密さを感じる演奏。ただし緻密に表現された自然さという感じで、それが醸し出す余裕が演奏の質を物語ってます。レビューのために何度かかけ直したのですが、聴く度に魅力が増していくようでした。評価は[+++++]とします。以前より一つアップしました。
さて、以前から地道に登録してきた、Brilliant Classicsのスコットランド歌曲集、全18枚の所有盤リストへの登録が一応完了しました。実に地道な作業でしたが、ちょっと達成感もあります(笑)
- 関連記事
-
-
ハワード・シェリー/スイス・イタリア語放送管弦楽団の97番
2012/09/11
-
デレク・ソロモンス/レストロ・アルモニコの告別
2012/09/10
-
ホグウッド/AAMのアレルヤ、ホルン信号
2012/09/09
-
レイモン・レッパード/イギリス室内管のラメンタチオーネ
2012/08/27
-
マリナー/アカデミー室内管の86番
2012/08/21
-
ハルトムート・ヘンヒェン/C.P.E.バッハ室内管のラメンタチオーネ、受難、悲しみ
2012/08/05
-
クーベリック/バイエルン放送響の99番1982年9月7日ライヴ
2012/07/24
-
チェリビダッケ/ミュンヘンフィルの「ロンドン」1983年7月3日ライヴ
2012/07/23
-
ジェラード・シュワルツ/スコットランド室内管の「哲学者」
2012/07/19
-