作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ウォルフガング・エマニュエル・シュミットのチェロ協奏曲1番ライヴ

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今日は珍しい、今は亡きKOCH SCHWANNレーベルのアルバム。

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ウォルフガング・エマニュエル・シュミット(Wolfgang Emanuel Schmidt)のチェロ、ウォルフガング・ゲネンヴァイン(Wolfgang Gönnenwein)指揮のルートヴィッヒスブルク祝祭管弦楽団(Orchester der Ludwigsburger Festspiele)の演奏で、ハイドンのチェロ協奏曲1番、モーツァルトの2つのピアノのための協奏曲、同じくモーツァルトの「イドメネオ」からの音楽を収めたアルバム。ハイドンの収録は1997年7月、ドイツのシュツットガルトの北にある街ルートヴィッヒスブルクにある城郭公園フォーラムでのライヴ。レーベルはマンフレート・フスの名演奏シリーズでハイドン演奏史に名を残した今は亡きKOCH SCHWANN。

このアルバムは先日、ディスクユニオンの店頭で見つけたもの。大好きなKOCH SCHWANNのアルバム故、即ゲットです。チェリストは知らない人でしたが、チェロ協奏曲1番でライヴということで、言うことなし。

チェリストのウォルフガング・エマニュエル・シュミットは1971年ドイツ、フライブルクの生まれ。ドイツ北部のリューベック音楽学校でダヴィド・ゲリンガスにチェロを学び,1996年からはニューヨークのジュリアード音楽院に移ってハインリッヒ・シフやミシャ・マイスキーのマスタースクールで腕を磨きました。1994年にはパリのロストロポーヴィチ国際チェロコンクールで2等と現代音楽演奏賞を受賞し、以来ロストロポーヴィチと活動するようになったとのこと。それ以降数々のコンクールに入賞し、各国のオケと共演を続けています。使っている楽器はバーデン=ヴュルッテンベルク州が所有する1710年作のマテオ・ゴフリラー。

指揮者のウォルフガング・ゲネンヴァインは、ハイドンでは天地創造や四季の録音を残している、知る人ぞ知る指揮者。あらためて調べてみると、1933年生まれのドイツの指揮者。ハイデルベルク大学、テュービンゲン大学などで学び、1959年にシュツットガルトの南ドイツマドリガル合唱団の指揮者、1969年から73年までケルン・バッハ協会合唱団の指揮を担当しました。1972年からはルートヴィッヒスブルク音楽祭の芸術監督となり、このアルバムの録音や同じオケによる天地創造、四季などの録音につながったということでしょう。天地創造も四季も廉価盤として絶えずリリースされ続けている演奏故、気になる存在ですが、まだあんまり聴き込んでいません。

演奏者の紹介からは燻し銀の演奏と推察されますが、果たしてどのようなものでしょう。

Hob.VIIb:1 / Cello Concerto No.1 [C] (1765-7)
速めのテンポでライヴらしい華やかさがあるオケの入り。ディティールを緻密に表現しようと意図は感じず、音楽の流れを重視したベテランらしいオケのコントロール。チェロのシュミットは確かにゴフリラーと言えばそう聴こえるなかなかいい音色のチェロの響き。あっさりとしたボウイングで速めのオケに上手く乗っかり1楽章は力も抜けたなかなかいい演奏。ライヴの入りがこれだけ安定しているというか、手慣れた感があるのはコンサート慣れしている感じがします。気負いなし。徐々に高音の鳴きの美しさを聴かせ始めます。自分の出すいい音をよくわきまえてちらちら見せる感じ。ただし鳴きよりはリズムの表現を重視しているようで、チェロのテンポ感の良さが特徴と言えるでしょう。速いパッセージの音階がちょっともたつく感じがするのはご愛嬌。カデンツァも美しい音色をちらちら聴かせながらキリッとした仕上がり。やはり手慣れた感じの演奏という印象が強い仕上がりです。
アダージョは1楽章とはスタンスを変え、さばさばゆっくりの入り。チェロの独奏もかなり落ち着いた演奏。1番のアダージョにしてはずいぶん枯れた表現。表面的な感情表現は抑えているものの、大きな波に乗って、深い呼吸で名旋律を表現。ストイックにも感じる深さ。1楽章の手慣れた感じとは対極にあるような峻厳さ。
フィナーレは再びすこしばらけた響きのオーケストラが抜群の推進力で入ります。オケのコントロールは勢い重視で細かい線のそろいよりは生命力に重点が置かれているよう。チェロとの相性もよく1楽章で聴かれたチェロの速いパッセージのもたつきは消え、速いフレーズを素晴らしいスピードで演奏しきります。単調な演奏に陥る事もなく素晴らしい覇気を感じさせます。最後は一呼吸おいてから万来の拍手が降り注ぎ、会場の興奮を伝えます。

この後におかれた、好きなモーツァルトの2つのピアノのための協奏曲もオーソドックスないい演奏。この曲はハスキルとアンダの名演が刷り込み盤ですが、2台のピアノのきらめき感がなかなかいいですね。こちらもオススメです。

珍しいKOCH SCHWANNレーベルのハイドンのチェロ協奏曲1番のライヴ盤ですが、ルートヴィッヒスブルク音楽祭の芸術監督を務めたウォルフガング・ゲネンヴァインの職人指揮者として矜持を感じるような演奏。特段テクニックに秀でた演奏ではありませんが、聴かせどころを押さえたなかなか味わいのあるいいサポート。チェロのウォルフガング・エマニュエル・シュミットもゴフリラーから美音を時折聴かせるなかなかいい演奏。こうゆう特別ではない演奏の味わい深さが貴重ですね。万人向けにオススメと言うわけにはいきませんが、ハイドンの音楽が好きな方には、このじわりとした良さもまたいいものと思っていただけると思います。評価は[++++]とします。

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