アントン・シュテック/クリスティアン・グーセズによるヴァイオリンとヴィオラのためのソナタ集
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TOWER RECORDS
アントン・シュテック(Anton Steck)のヴァイオリン、クリスティアン・グーセズ(Christian Goosses)のヴィオラによるハイドンのヴァイオリンとヴィオラのためのソナタ6曲(Hob.VI:1、VI:2、VI:3、VI:4、VI:5、VI:6)を収めたアルバム。収録は2008年9月26日から28日、ベルリンのジーメンス・ヴィラでのセッション録音。レーベルはベルギーのACCENT。
ハイドンのヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲は以前に別のアルバムを取りあげています。
2012/06/05 : ハイドン–室内楽曲 : デーネシュ・コヴァーチュ/ゲーザ・ネーメトによるヴァイオリンとヴィオラのためのソナタ集
曲の説明は上の記事をご参照ください。
ヴァイオリンのアントン・シュテックは1965年生まれのドイツのヴァイオリニスト、指揮者。カールスルーエでヴァイオリン、ケルンでバロック・ヴァイオリンを学んだ後、ムジカ・アンティクア・ケルンのコンサートマスター、マルク・ミンコフスキのルーブル宮音楽隊のコンサートマスターを歴任。1996年にはシュパンツィヒ四重奏団を結成して弦楽四重奏も活動の場にしています。古楽器のヴァイオリンの第一人者の一人でしょう。彼のウェブサイトがありましたので紹介しておきましょう。
Anton Steck - Barockvioline
ヴィオラのクリスティアン・グーセズはシュテックとともにシュパンツィヒ四重奏団のメンバー。ドイツのフライブルクでヴィオラを学んだ後、古楽器に興味をもつようになり、アーノンクールのウィーン・コンツェントゥス・ムジクス、ムジカ・アンティクア・ケルン、コンチェルト・ケルンなどで活躍した人。
このアルバムは以前、デーネシュ・コヴァーチュ/ゲーザ・ネーメト盤を取りあげた際、湖国JHさんからのメールでその存在を知り、注文していたもの。良く聴くと素晴らしく充実したこのヴァイオリンとヴィオラのためのソナタ集ですが、この曲はデーネシュ・コヴァーチュ/ゲーザ・ネーメト盤ではじめて聴きました。ハイドンの最も充実した音楽のジャンルの一つが弦楽四重奏ですが、その純度をさらに高めたような純粋無垢な音楽。コヴァーチュ盤がその曲の魅力を表現する名盤だったのに対し、今日取り上げるアルバムは古楽器による最新録音。ハイドンの純粋無垢な世界が、古楽器の雅な音色でも蘇るでしょうか。今日は収録曲順に。
Hob.VI:6 Sonata for Violin and Viola No.6 [C] (c.1769)
曲順が変わると印象も変わりますね。古楽器ヴァイオリンとヴィオラらしい尖った音色と豊かな胴鳴りを鮮明に捉えた最新の録音。それほど広くないホールでの直接音重視の録音のように聴こえます。ヴァイオリンの高音の鋭さがクッキリした表情を作っています。テンポはかなり自由に動かして、ヴァイオリン特有の響きを楽しむような演奏。音符の純度を古楽器の音色で精一杯聴かせようと表現するような演奏。短調のアダージョは精妙な響きの織りなす明暗のコントラストがしっかりついて充実したもの。辛口の演奏。終楽章はメヌエット。ヴァイオリンも低音弦をメインにしてヴィオラとの掛け合いを楽しむよう。鮮明、正確な演奏によりこの曲の魅力をしっかり伝える名演奏と言えるでしょう。
Hob.VI:4 Sonata for Violin and Viola No.4 [D] (c.1769)
2曲目からは簡単に。ヴァイオリンの晴れやかなのびのびとしたメロディーが見事にクッキり浮かび上がります。良く聴くとヴィオラの伴奏もテンポのキレが良く落ち着いているのにスリリングな印象がある理由がわかります。
アダージョは前曲以上に精妙。響きの織りなす表情はトランス状態になってしまいかねない現代音楽のような精妙さ。メヌエットも引き続きキレの良い演奏。ヴァイオリンの変奏では抜群の音感でさらっと難しい音階をこなしていきます。アントン・シュテックは流石の技。
Hob.VI:3 Sonata for Violin and Viola No.3 [B flat] (c.1769)
今度は力をぬいて美しいメロディをスイスイ弾いていき、さりげなさが聴き所。千変万化する聴き所。脳に刺激の多い演奏ですね。曲想に応じて表現スタイルを微妙に調整してくるところに懐の深さを感じます。良く切れる刀のように光のみで相手を威圧するような切れ味があり、その切れ味を見せながら力を抜いた居合いを見せられるよう。アダージョもこんどはしなやかな表情。メヌエットは別世界のような完成度。たった2本の楽器がこれほど豊かな響きを引き出すとは信じられないような豊かな音楽。
Hob.VI:5 Sonata for Violin and Viola No.5 [E flat] (c.1769)
完全にシュテックとグーゼスの術中にハマったよう。力が抜けた演奏ながらここぞというときの力感は流石。ヴァイオリンのエネルギーに打たれっぱなしです。
Hob.VI:2 Sonata for Violin and Viola No.2 [A] (c.1769)
再びギャラントなヴァイオリンの響きの魅力が炸裂。この曲は突き抜ける明るさを持っていて、シュテックのヴァイオリンがその曲想の真髄をとらえた素晴らしい張りの演奏を展開。
Hob.VI:1 Sonata for Violin and Viola No.1 [F] (c.1769)
聴き慣れた1番が最後に登場。素晴らしく充実した響きが、この曲の古典的な旋律を、曲の器以上に飾っている感じ。ヴァイオリンはもはや自在に駆け回り、キレも張りも最高。これほどの演奏には滅多にお目にかかれないと思わせる充実した響きでした。
古楽器の名手アントン・シュテックとクリスティアン・グーセズによるヴァイオリンとヴィオラのためのソナタ集は、ハイドンの書いたちょっと地味な存在ではありますが、良く聴くと素晴らしく充実した弦楽器2本のための曲集の現代に置ける代表的な名演奏として完成させました。古楽器のアンサンブルは精妙かつ自由闊達でキレも張りも十分。このアルバムから聴こえるハイドンは古びた時代がかったものではなく、今でも色あせる事のない、純粋無垢な音楽です。評価はもちろん全曲[+++++]としました。

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アントン・シュテック(Anton Steck)のヴァイオリン、クリスティアン・グーセズ(Christian Goosses)のヴィオラによるハイドンのヴァイオリンとヴィオラのためのソナタ6曲(Hob.VI:1、VI:2、VI:3、VI:4、VI:5、VI:6)を収めたアルバム。収録は2008年9月26日から28日、ベルリンのジーメンス・ヴィラでのセッション録音。レーベルはベルギーのACCENT。
ハイドンのヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲は以前に別のアルバムを取りあげています。
2012/06/05 : ハイドン–室内楽曲 : デーネシュ・コヴァーチュ/ゲーザ・ネーメトによるヴァイオリンとヴィオラのためのソナタ集
曲の説明は上の記事をご参照ください。
ヴァイオリンのアントン・シュテックは1965年生まれのドイツのヴァイオリニスト、指揮者。カールスルーエでヴァイオリン、ケルンでバロック・ヴァイオリンを学んだ後、ムジカ・アンティクア・ケルンのコンサートマスター、マルク・ミンコフスキのルーブル宮音楽隊のコンサートマスターを歴任。1996年にはシュパンツィヒ四重奏団を結成して弦楽四重奏も活動の場にしています。古楽器のヴァイオリンの第一人者の一人でしょう。彼のウェブサイトがありましたので紹介しておきましょう。
Anton Steck - Barockvioline
ヴィオラのクリスティアン・グーセズはシュテックとともにシュパンツィヒ四重奏団のメンバー。ドイツのフライブルクでヴィオラを学んだ後、古楽器に興味をもつようになり、アーノンクールのウィーン・コンツェントゥス・ムジクス、ムジカ・アンティクア・ケルン、コンチェルト・ケルンなどで活躍した人。
このアルバムは以前、デーネシュ・コヴァーチュ/ゲーザ・ネーメト盤を取りあげた際、湖国JHさんからのメールでその存在を知り、注文していたもの。良く聴くと素晴らしく充実したこのヴァイオリンとヴィオラのためのソナタ集ですが、この曲はデーネシュ・コヴァーチュ/ゲーザ・ネーメト盤ではじめて聴きました。ハイドンの最も充実した音楽のジャンルの一つが弦楽四重奏ですが、その純度をさらに高めたような純粋無垢な音楽。コヴァーチュ盤がその曲の魅力を表現する名盤だったのに対し、今日取り上げるアルバムは古楽器による最新録音。ハイドンの純粋無垢な世界が、古楽器の雅な音色でも蘇るでしょうか。今日は収録曲順に。
Hob.VI:6 Sonata for Violin and Viola No.6 [C] (c.1769)
曲順が変わると印象も変わりますね。古楽器ヴァイオリンとヴィオラらしい尖った音色と豊かな胴鳴りを鮮明に捉えた最新の録音。それほど広くないホールでの直接音重視の録音のように聴こえます。ヴァイオリンの高音の鋭さがクッキリした表情を作っています。テンポはかなり自由に動かして、ヴァイオリン特有の響きを楽しむような演奏。音符の純度を古楽器の音色で精一杯聴かせようと表現するような演奏。短調のアダージョは精妙な響きの織りなす明暗のコントラストがしっかりついて充実したもの。辛口の演奏。終楽章はメヌエット。ヴァイオリンも低音弦をメインにしてヴィオラとの掛け合いを楽しむよう。鮮明、正確な演奏によりこの曲の魅力をしっかり伝える名演奏と言えるでしょう。
Hob.VI:4 Sonata for Violin and Viola No.4 [D] (c.1769)
2曲目からは簡単に。ヴァイオリンの晴れやかなのびのびとしたメロディーが見事にクッキり浮かび上がります。良く聴くとヴィオラの伴奏もテンポのキレが良く落ち着いているのにスリリングな印象がある理由がわかります。
アダージョは前曲以上に精妙。響きの織りなす表情はトランス状態になってしまいかねない現代音楽のような精妙さ。メヌエットも引き続きキレの良い演奏。ヴァイオリンの変奏では抜群の音感でさらっと難しい音階をこなしていきます。アントン・シュテックは流石の技。
Hob.VI:3 Sonata for Violin and Viola No.3 [B flat] (c.1769)
今度は力をぬいて美しいメロディをスイスイ弾いていき、さりげなさが聴き所。千変万化する聴き所。脳に刺激の多い演奏ですね。曲想に応じて表現スタイルを微妙に調整してくるところに懐の深さを感じます。良く切れる刀のように光のみで相手を威圧するような切れ味があり、その切れ味を見せながら力を抜いた居合いを見せられるよう。アダージョもこんどはしなやかな表情。メヌエットは別世界のような完成度。たった2本の楽器がこれほど豊かな響きを引き出すとは信じられないような豊かな音楽。
Hob.VI:5 Sonata for Violin and Viola No.5 [E flat] (c.1769)
完全にシュテックとグーゼスの術中にハマったよう。力が抜けた演奏ながらここぞというときの力感は流石。ヴァイオリンのエネルギーに打たれっぱなしです。
Hob.VI:2 Sonata for Violin and Viola No.2 [A] (c.1769)
再びギャラントなヴァイオリンの響きの魅力が炸裂。この曲は突き抜ける明るさを持っていて、シュテックのヴァイオリンがその曲想の真髄をとらえた素晴らしい張りの演奏を展開。
Hob.VI:1 Sonata for Violin and Viola No.1 [F] (c.1769)
聴き慣れた1番が最後に登場。素晴らしく充実した響きが、この曲の古典的な旋律を、曲の器以上に飾っている感じ。ヴァイオリンはもはや自在に駆け回り、キレも張りも最高。これほどの演奏には滅多にお目にかかれないと思わせる充実した響きでした。
古楽器の名手アントン・シュテックとクリスティアン・グーセズによるヴァイオリンとヴィオラのためのソナタ集は、ハイドンの書いたちょっと地味な存在ではありますが、良く聴くと素晴らしく充実した弦楽器2本のための曲集の現代に置ける代表的な名演奏として完成させました。古楽器のアンサンブルは精妙かつ自由闊達でキレも張りも十分。このアルバムから聴こえるハイドンは古びた時代がかったものではなく、今でも色あせる事のない、純粋無垢な音楽です。評価はもちろん全曲[+++++]としました。
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