アウリン四重奏団のOp.77
弦楽四重奏続きでアウリン四重奏団の新着盤。

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TOWER RECORDS
アウリン四重奏団(Auryn Quartet)の演奏によるハイドンの弦楽四重奏曲Op.77のNo.1、No.2、Op.103、Op.42の4曲を収めたアルバム。収録は2010年、ドイツ、ケルンの東20kmほどにある街ホンラートにあるホンラート教会でのセッション録音。レーベルはドイツのTACET。
アウリン四重奏団の演奏は以前に1度取りあげています。クァルテットの情報やメンバー、サイトへのリンクは下の記事をご覧ください。
2012/01/07 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : アウリン四重奏団のOp.74
前記事でレビューするまではなじみのなかったアウリン四重奏団ですが、クラウディオ・アバドの指導を受け、音楽もその影響を受けているとの情報通り、緻密かつ軽やかさも備えた音楽を演奏します。このアウリンの演奏で聴くハイドン最晩年の弦楽四重奏曲は如何なるものでしょう。今日はOp.77の2曲のみ取りあげます。
Hob.III:81 / String Quartet Op.77 No.1 [G] (1799)
各楽器がリズミカルに入り、艶やかにメロディーラインを奏でます。フレージングは様子を窺うように鋭敏な感覚を張り巡らせながらアンサンブルを合わせていきます。メロディーラインの伸びやかさがこのクァルテットの信条でしょう。メリハリはかなりクッキリとつけて、このハイドン最晩年の曲を澄み切った青空に浮かぶ純白の雲のような晴朗な音楽として演奏していきます。各楽器がクリアな音像で並ぶ透明感の高い録音。ことさらヴァイオリンの突き抜けるような張りのある音色が美しいですね。
アダージョはアウリンらしい、クッキリとしたニュアンスを保ちながら、チェロを含めた迫力あるアンサンブル。たっぷりと墨を含んだ筆をゆったりと運ぶ行書の達筆を見るよう。意外と細かいニュアンスにはあまり拘らず、音楽の骨格をきちんと出す事に集中しているよう。4本の楽器の重なり合うアンサンブルの妙。やはりヴァイオリンのマティアス・リンゲンフェルダーの突き抜けるような浸透力のある音色も素晴らしいですね。
メヌエットは磨き抜かれたタイトなアンサンブルで、張りのある鋭い響きの波が次々と襲ってきます。小綺麗な演奏ではなく真剣による居合いのような緊張感溢れる演奏。しかもアクセントの迫力は殺気を感じるほど。
フィナーレはメヌエット迫力をそのままに、速いテンポで恍惚とした表情さえ垣間見せる素晴らしいエネルギーの放出。クリアな音響、タイトなアンサンブルでこのエネルギーは見事。シャープなキレのよさとこの構成感、ちょっと楽天的ですらある明るさはアバドの演奏にも似て、ハイドンの真髄に迫る演奏。
Hob.III:82 / String Quartet Op.77 No.2 [F] (1799)
続いてNo.2。ハイドンの弦楽四重奏曲の最高峰と言われる曲。曲想がしなやかになった分、響きも柔らかに感じますが、時折聴かせる強音のタイトなアンサンブルはアウリン四重奏団そのもの。牙がちらほら見え始めてきます。この曲では弱音部のコントロールも聴かせどころの一つ。間を生かして落ち着いた進行。余裕を感じます。
2楽章はメヌエットですが、流れの良さ重視の速めのテンポでの入り。チェロのかなり踏み込んだアクセントが印象的。流れを止める間の取り方も効果的。緩急自在の演奏。
3楽章のアンダンテ。ハイドンのアンダンテの最高峰と言っていいでしょう。ハイドンならではのほのぼのとした朴訥なメロディーから入りますが、次々と変奏が加わり、冒頭のメロディーに情感が加わっていきます。この美しさは筆舌に尽くし難いもの。アウリン四重奏団の演奏はそよかぜのような入りから展開の頂点で見せるタイトな響き、そしてその後は無風の草原の穏やかさを表すような癒し。絶品ですね。
フィナーレは今までにない推進力。前曲より明らかに余裕があり、自在さも一段上。全員がアンサンブルを軽々とこなして純粋に演奏を楽しんでいるように感じられる至福の音楽。複雑に絡み合う音符を完全に掌握して、すべての音符に魂がこもっているような素晴らしい充実ぶり。やはりアウリン四重奏団は違います。最後の分厚い響きも惚れ惚れとするよう。
久々に聴いたアウリン四重奏団ですが、その素晴らしさは期待通り。ハイドン最晩年の傑作四重奏曲をクッキリと描ききっています。No.1の方は荒々しさすら感じさせるテンションの高い演奏。一方No.2の方は、余裕たっぷりに演奏を楽しむような演奏。演奏のタイプは少し異なるものの、どちらもその素晴らしさに変わりはありません。評価はもちろん両曲とも[+++++]とします。
残ったOp.103とOp.42はまたの機会に。

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アウリン四重奏団(Auryn Quartet)の演奏によるハイドンの弦楽四重奏曲Op.77のNo.1、No.2、Op.103、Op.42の4曲を収めたアルバム。収録は2010年、ドイツ、ケルンの東20kmほどにある街ホンラートにあるホンラート教会でのセッション録音。レーベルはドイツのTACET。
アウリン四重奏団の演奏は以前に1度取りあげています。クァルテットの情報やメンバー、サイトへのリンクは下の記事をご覧ください。
2012/01/07 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : アウリン四重奏団のOp.74
前記事でレビューするまではなじみのなかったアウリン四重奏団ですが、クラウディオ・アバドの指導を受け、音楽もその影響を受けているとの情報通り、緻密かつ軽やかさも備えた音楽を演奏します。このアウリンの演奏で聴くハイドン最晩年の弦楽四重奏曲は如何なるものでしょう。今日はOp.77の2曲のみ取りあげます。
Hob.III:81 / String Quartet Op.77 No.1 [G] (1799)
各楽器がリズミカルに入り、艶やかにメロディーラインを奏でます。フレージングは様子を窺うように鋭敏な感覚を張り巡らせながらアンサンブルを合わせていきます。メロディーラインの伸びやかさがこのクァルテットの信条でしょう。メリハリはかなりクッキリとつけて、このハイドン最晩年の曲を澄み切った青空に浮かぶ純白の雲のような晴朗な音楽として演奏していきます。各楽器がクリアな音像で並ぶ透明感の高い録音。ことさらヴァイオリンの突き抜けるような張りのある音色が美しいですね。
アダージョはアウリンらしい、クッキリとしたニュアンスを保ちながら、チェロを含めた迫力あるアンサンブル。たっぷりと墨を含んだ筆をゆったりと運ぶ行書の達筆を見るよう。意外と細かいニュアンスにはあまり拘らず、音楽の骨格をきちんと出す事に集中しているよう。4本の楽器の重なり合うアンサンブルの妙。やはりヴァイオリンのマティアス・リンゲンフェルダーの突き抜けるような浸透力のある音色も素晴らしいですね。
メヌエットは磨き抜かれたタイトなアンサンブルで、張りのある鋭い響きの波が次々と襲ってきます。小綺麗な演奏ではなく真剣による居合いのような緊張感溢れる演奏。しかもアクセントの迫力は殺気を感じるほど。
フィナーレはメヌエット迫力をそのままに、速いテンポで恍惚とした表情さえ垣間見せる素晴らしいエネルギーの放出。クリアな音響、タイトなアンサンブルでこのエネルギーは見事。シャープなキレのよさとこの構成感、ちょっと楽天的ですらある明るさはアバドの演奏にも似て、ハイドンの真髄に迫る演奏。
Hob.III:82 / String Quartet Op.77 No.2 [F] (1799)
続いてNo.2。ハイドンの弦楽四重奏曲の最高峰と言われる曲。曲想がしなやかになった分、響きも柔らかに感じますが、時折聴かせる強音のタイトなアンサンブルはアウリン四重奏団そのもの。牙がちらほら見え始めてきます。この曲では弱音部のコントロールも聴かせどころの一つ。間を生かして落ち着いた進行。余裕を感じます。
2楽章はメヌエットですが、流れの良さ重視の速めのテンポでの入り。チェロのかなり踏み込んだアクセントが印象的。流れを止める間の取り方も効果的。緩急自在の演奏。
3楽章のアンダンテ。ハイドンのアンダンテの最高峰と言っていいでしょう。ハイドンならではのほのぼのとした朴訥なメロディーから入りますが、次々と変奏が加わり、冒頭のメロディーに情感が加わっていきます。この美しさは筆舌に尽くし難いもの。アウリン四重奏団の演奏はそよかぜのような入りから展開の頂点で見せるタイトな響き、そしてその後は無風の草原の穏やかさを表すような癒し。絶品ですね。
フィナーレは今までにない推進力。前曲より明らかに余裕があり、自在さも一段上。全員がアンサンブルを軽々とこなして純粋に演奏を楽しんでいるように感じられる至福の音楽。複雑に絡み合う音符を完全に掌握して、すべての音符に魂がこもっているような素晴らしい充実ぶり。やはりアウリン四重奏団は違います。最後の分厚い響きも惚れ惚れとするよう。
久々に聴いたアウリン四重奏団ですが、その素晴らしさは期待通り。ハイドン最晩年の傑作四重奏曲をクッキリと描ききっています。No.1の方は荒々しさすら感じさせるテンションの高い演奏。一方No.2の方は、余裕たっぷりに演奏を楽しむような演奏。演奏のタイプは少し異なるものの、どちらもその素晴らしさに変わりはありません。評価はもちろん両曲とも[+++++]とします。
残ったOp.103とOp.42はまたの機会に。
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