作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

松崎 裕/山本 真/ジャパン・チェンバー・オーケストラの2つのホルンのための協奏曲

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今日は日本人奏者のアルバム。

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HMV ONLINEicon / TOWER RECORDS

松崎 裕(Hiroshi Matsuzaki)、山本 真(Makoto Yamamoto)のホルン、ジャパン・チェンバー・オーケストラの演奏でハイドンの作とされていた2つのホルンのための協奏曲(Hob.VIId:2)とベートーヴェンの交響曲第7番を収めたアルバム。収録はハイドンが2002年6月2日、東京の多摩センターにあるパルテノン多摩でのライヴ。ベートーヴェンも同じくパルテノン多摩での2003年10月18日のライヴ。レーベルははじめて手に入れるALM CLASSICS。

2つのホルンのための協奏曲は良くメールをいただく湖国JHさんの愛聴曲。独特の魅力のある曲です。

この2つのホルンのための協奏曲は、おそらくハイドンの作曲ではなく、弟ミヒャエル・ハイドンかアントニオ・ロゼッティの作曲によるものと言われています。専門家ではありませんので、ハイドンの作かどうかを語れる訳ではありませんが、この曲を聴くとおそらくヨゼフ・ハイドンの作ではないように感じます。モーツァルトがメロディーを作曲して誰かがオーケストラパートを書き加えたと言われる協奏交響曲K.297bとオケの響き、曲の展開が似ていることから、両曲とも同一人物が関与していると勝手ににらんでます。K.297bの方はモーツァルトっぽいメロディーラインを感じさせながらもモーツァルトらしい閃きはちょっと弱く、またオーケストレーションもちょっとモーツァルト風をねらってはいるものの、彼本来の天才的な展開が感じられないような印象があり、誰かがモーツァルトを真似て書いたような印象を感じます。ハイドンのこの2つのホルンのための協奏曲も、ハイドンのようでもあり、モーツァルト風でもある印象を与える曲想。ハイドンの特徴である機知に富んだ意外な展開と巧みな構成感ではなく、テーマとなるメロディーをベースに統一感がある構成(展開がシンプル)なのに加えて、やはりメロディー自体の美しさはハイドンのものとは差がついているように感じます。まあ、こうした個人的な印象以外に根拠はありませんので、あまり突っ込まないように願います(笑)

ホルンの2人は元N響のホルン奏者。松崎 裕さんは首席ホルン奏者だった人。N響の演奏の映像で良く見かけ多人です。日本のトップクラスのホルン奏者でしょう。オケのジャパン・チェンバー・オーケストラは東京で活動するオーケストラの若手奏者を中心に結成されたオケで、1999年から本拠地をパルテノン多摩としているそうです。指揮者なしでコンサートマスターもローテーションとのこと。近所で活動する団体なのに全く知りませんでした。

Hob.VIId:2 / Concerto per 2 cors et Orchestre [E flat] (1762) (Composed by Antonio Rosetti/Michael Haydn?)
木質系のやさしい音色の序奏から入ります。直接音の重視の録音で、実体感ある録音。ライヴですが条件は悪くなく、奥行き感もそこそこある聴きやすい録音。序奏はモーツァルト風という感じ。ホルン2台は微妙に音色が異なり面白いですね。同じフレーズをそのまま繰り返すところなどはちょい単調な印象はありますが、ホルンの音の重なりの妙が加わり、響きを楽しめます。ホルンによる主題の演奏のあとのオーケストレーションはやはりモーツァルト風。オーケストラが音量をおとしてそわさせるあたりはまさにK.297bと非常に近いものを感じます。ホルンの2人は日本人らしい几帳面、真面目な演奏。ヨーロッパの城の石積がよく見ると日本の城の石垣でできているよう。ヨーロッパのロマンティックな響きのイメージに対し、演奏の基調には日本ならではの清らかさがあるという感じです。テクニックは十分で2本のホルンの息もピタリと合っています。1楽章の後半は早いパッセージを掛け合いながら見事に吹き抜くホルンの聴かせどころ。オケもヴァイオリンを中心にキレのいいアンサンブルを聴かせます。
2楽章のアダージョはいきなりホルン2本の重なったメロディーから入ります。やはりメロディーラインはハイドンだったらもう少し機知に富んだ展開をするのではと思わせる部分があります。ホルンが描くメロディーとオケの関係がもう少し明確に役割をになって展開するように感じます。
フィナーレは「タラタッタッタッター」というメロディーがテーマ。ホルンは忠実にメロディーラインをたどっていきます。オケの方は逆に指揮者なしにもかかわらず、なかなかのキレを聴かせ見事なサポート。音楽的にはオケの立体感の魅力もいい感じです。最後は拍手も録られており、ライヴであることを思い出させます。

日本人奏者によるハイドンの曲と思われていた2つのホルンのための協奏曲という珍しい曲の演奏。ホルンの音色の微妙な違いを生かした掛け合いと生気溢れるオーケストラの几帳面な演奏。演奏全体に良い意味で和風な雰囲気があり、日本人ならではの誠実な演奏といえるでしょう。オケは指揮者なしでもかなりの統一感があり、このアルバムの魅力のひとつとなっています。次に収められたベートーヴェンの7番では鮮度は高いものの、音楽の統一感としては、やはり指揮者がいたほうがまとまると思わせる余韻を残しますので、この辺は曲やコンサートマスターによる違いなんだろうと思います。2つのホルンのための協奏曲の方の評価は[++++]としたいと思います。

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