作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

チェリビダッケ/ミュンヘンフィルの「ロンドン」1983年7月3日ライヴ

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今日は久々のCD-Rのライヴもの。しかも巨匠チェリビダッケです。

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セルジュ・チェリビダッケ(Sergiu Celibidache)指揮のミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で、モーツァルトの交響曲35番「ハフナー」とハイドンの交響曲104番「ロンドン」の2曲を収めたCD-R。収録はモーツァルトが1991年6月21日、ハイドンが1983年7月とだけの表記ですが、チェリビダッケの演奏を詳細にリスト化したCeLISTを参照すると、ハイドンの演奏は1983年7月3日、ミュンヘンのヘラクレス・ザールでの録音のようです。レーベルはCD-Rでは良く目にするFkm。

ついでにCeLISTを紹介しておきましょう。

Celibidache - CeLIST - Hippo.'s web site

このアルバム、最近ディスクユニオンで見かけて手に入れたもの。手元には同じ演奏者による2日違いの録音7月5日の録音が同じくCD-Rでありますが、聴き比べたところ、こちらは録音がちょっとボンついて、テンポもかなり遅めなので、Fkm盤を取りあげた次第。

チェリビダッケの演奏する交響曲については過去に2度ほど記事にしています。

2010/11/11 : ハイドン–交響曲 : チェリビダッケ、RAIナポリの102番、ロンドンライヴ
2010/05/04 : ハイドン–交響曲 : 磨き抜かれた逸品、チェリのロンドン

チェリビダッケの演奏は晩年は非常に遅いテンポの演奏になりましたが、壮年期はやはり実力者らしく覇気溢れる演奏が聴かれました。今回取りあげる演奏は1983年のライヴということではありますが、聴いたところ、かなり耽美的な美しさを持った演奏。ロンドンから迫力ではなくちょっと艶やかな響きを引き出したということで、気になる演奏です。

Hob.I:104 / Symphony No.104 "London" 「ロンドン」 [D] (1795)
響き自体は鮮明な録音に聴こえますが、時折テープのコンディションが悪いのか、ちょっと音が揺れるところがあります。まあ、それほど気になるレベルではありません。序奏はチェリビダッケらしく、高音がクッキリとしたオーケストラが実に厳かにテンポを落として堂々と奏でたもの。主題に入るとテンポは上げずにテンションはしっかり主題らしくなります。主題のメロディーはまさにチェリビダッケ節で荘重、鮮明、ワイドレンジなもの。アクセントはあまりつけずにフレーズの流麗さに焦点を合わせた演奏。ヴァイオリンの高音は天にも昇りそうな伸び。構築感も素晴らしいですが、大理石の大神殿というよりはガラスでできた光輝く荘厳な神殿と言う趣。
2楽章のアンダンテは少し溜めを効かせてしっかりリズムを刻みながら入ります。ここでも弦楽器のバランスは高音の伸びやかさにポイントを置き、やはり耽美的な余韻を聴かせます。磨き抜かれた響きの切々としたメロディーラインが続き、本当にガラスのような輝きに満ちた演奏。息の長いフレーズの盛り上がりもチェリビダッケならでは。アンダンテとしては壮大な盛り上がりを聴かせて、器の違いを見せつけます。チェリの美学といったところでしょう。カラヤンの演奏とは異なり、不自然な感じは伴いません。
この演奏の聴き所はメヌエット。メヌエットでさえもチェリビダッケは磨き尽くして、まさにクリスタルの輝き。ハイドンの曲なのにヴァイオリンのこの輝かしく、艶かしい響きはなんでしょうか。チェリビダッケの魔法にかかってしまったよう。
フィナーレはこれまでの流れから期待される通りの演奏。ことさら弦楽セクションの絶妙なバランスの響きが主体となって、ロンドンのフィナーレ独特の郷愁溢れるメロディーを全奏者が完璧なアンサンブルとバランスで畳み掛けます。輝く黄金の波が次から次へと迫ってくるよう。最後は絶妙な力の抜きを見せて終了。観客が待ちきれずに拍手を降り注ぎます。

チェリビダッケと手兵ミュンヘンフィルによる1983年7月のライヴ。これまで聴いたチェリビダッケのどの演奏よりも響きを磨き込んだ、ハイドンとは思えないような艶かしい輝きを放つロンドン。CD-R故録音には多くは望めませんが、この美しい演奏は録音のあらも気にならないほどの完成度。他の指揮者とは目指す完成度の高さが確かに違います。前におかれたハフナーも怪しい迫力をもつ名演ゆえチェリビダッケファンの方は必聴のアルバムでしょう。評価は[+++++]とします。

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