ライプツィヒ放送響ホルン四重奏団によるホルン三重奏曲など(ハイドン)

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ライプツィヒ放送響ホルン四重奏団(Hornquartett des Rundfunk-Sinfonie-Orchester Leipzig)の演奏によるホルン四重奏などのための曲を集めた2枚組。この中にハイドンのホルン三重奏曲(ホルン、ヴァイオリン、チェロのためのディヴェルティメントHob.IV:5)とホルン四重奏曲(2台のホルンと2台のクラリネットのためのディヴェルティメントHob.II:14を4台のホルンのためにEdward Brownが編曲したもの)の2曲が収められています。収録は最初の曲が1965年から1978年にかけてライプツィヒのDDRの放送スタジオ、後の曲が1995年10月15日から17日、1986年9月22日から26日、おなじくライプツィヒのポール・ゲルハルト教会での録音です。レーベルは旧東欧のBERLIN Classics。
この2曲はハイドンの曲のなかでも非常にマイナーなものでしょう。このアルバムだけではありませんが、手元にはそれぞれ何枚かのアルバムがあるだけです。このアルバムはたまたまオークションで見かけて手に入れたもの。ハイドンはホルンの使い方に絶妙な才があり、ホルン協奏曲やホルン信号、交響曲72番などホルンの音色を生かした見事な曲があります。
Hob.IV:5 / Divertimento à tre [flat] (1767)
8分少々の小曲。1767年とシュトルム・ウント・ドラング期初期にあたる時期の曲。1766年にハイドンは楽長ヴェルナーの師によってエステルハージ家の楽長に昇進しています。ホルンとヴァイオリン、チェロの3声のための曲。演奏者は以下のとおり。
ホルン:ギュンター・オピッツ(Günther Opitz)
ヴァイオリン:ジェルジ・ガライ(György Garay)
チェロ:ウォルフガング・ウェバー(Wolfgang Weber)
2楽章構成で最初はモデラート・アッサイ。ホルンとヴァイオリン、チェロのシンプルなアンサンブルによる簡単なテーマの提示につづいて、その変奏がつづきます。ホルンが主導するシンプルな楽曲ですが、このメロディをホルンに担当させたということに天才を感じます。ホルン独特のふくらみのある音色だからこそと思われるメロディーをヴァイオリンとチェロがかなりシンプルに続き、メロディーラインの美しさは完全にホルンに語らせます。ヴァイオリンとチェロは完全に脇役。オピッツのホルンは安定感抜群。朗々とメロディーラインを吹き抜きます。途中から主客逆転でホルンが伴奏に回ります。3台の楽器のみによる演奏ですが、録音はホルンの音色の美しさを万全に捉えています。少し古さを感じるものの3台の楽器が鮮明に定位して、適度な余韻をともなった実体感ある音響。ホルンの圧倒的な存在感がポイントですね。
続いてフィナーレ。やはりホルンが圧倒的な存在感でメロディーラインを主導。テンポが速くなってメロディーラインも複雑になりますがホルンの安定感は流石。ホルンならではの抜けの良さをうまく表現しています。カデンツァのような部分もあってオピッツが低音から高音まで抜群のテクニックで吹き抜きます。
ハイドンの曲がCD1のトラック10ですが、続くトラック11はロッシーニの4台のホルンのためのファンファーレ。ホルンの音色の魅力をよく表し、4台のホルンが遠近感たっぷり吹分けられた興味深い曲。4台のホルンの魅力がたっぷり収められています。
Hob.II:14 / Divertimento [C] (1761)
こんどはハイドンによるホルン四重奏曲。こちらは前曲よりも少し前の1761年の作曲。もともとホルン2台とクラリネット2台のための曲をホルン4台のためにエドワルド・ブラウンという人が編曲したもの。原曲はハ長調ですが変ホ長調に変更されています。アレグロ-メヌエット-アダージョ-メヌエット-フィナーレ(プレスト)という5楽章構成。演奏メンバーは以下のとおり。
ホルン1:ギュンター・オピッツ(Günther Opitz)
ホルン2:ディター・ラインハルト(Dieter Reinhardt)
ホルン3:ジークフリート・ギツキ(Siegfried Gizyki)
ホルン4:ワルドマー・マルクス(Waldmar Markus)
ホルン4台のアンサンブルはとろけそうになるようなえも言われぬ響きを構成しています。曲調はシンプルながら、ホルンの音の重なりが醸し出す音響はトランス状態のような不思議な恍惚感をともなったもの。1楽章は狩りのファンファーレのような曲。ホルンの響きの美しさが際立ちます。中間におかれた2つのメヌエットが曲を引き締め、3楽章のアダージョが聴き所といったところでしょう。アダージョはホルンの朗々とした図太い響きのアンサンブルの妙を楽しめます。生で聴いたら圧倒的な存在感がさぞかし素晴らしいことでしょう。ハイドンの天才を感じるところです。フィナーレも小気味好い旋律によってホルンの音色の魅力を良く表しています。
ハイドンによるホルンのための小品2曲を収めたアルバム。ライプツィヒ放送交響楽団のメンバーによる演奏の安定感は抜群。とくに踏み込んだところもないですが、欠点らしきところもなく、純粋にホルンの優しい響きに集中できる素晴らしいアルバム。こうしたアルバムこそハイドンの曲の魅力を伝える貴重な仕事でしょう。曲の構成はシンプルなものなのでコアなハイドンファンの人のためのアルバムでしょう。評価は貴重な曲の貴重な演奏でかつ素晴らしい安定感に敬意を表して[+++++]を進呈します。
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