作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

バーンスタイン/ウィーンフィルの102番1971年ライヴ

2
0
交響曲が続きます。

Bernstein102.jpg

レナード・バーンスタイン(Leonard Bernstein)指揮のウィーンフィルの演奏による、ハイドンの交響曲102番、ラヴェルのピアノ協奏曲(ピアノはバーンスタイン自身!)の2曲を収めたアルバム。収録は1971年2月21日、ウィーンのムジークフェライン・ザールの大ホールでのライヴ。レーベルはDeutsche Grammophone。

このアルバムを見て懐かしいと思った方も多いのではないでしょうか。1992年にウィーンフィル創立150周年を記念してリリースされたDGのシリーズ。ウィーンフィルの創立は1842年です。モーツァルト没後200年の喧噪がさめやらぬ頃ですね。その中の1枚がこのアルバム。

実はこのアルバム、あんまりちゃんと聴いた覚えがありません。ご存知のとおり、私はバーンスタインのハイドン、特に後年のものはあまり好きなタイプの演奏ではないため、このアルバムも食わず嫌いだったのかもしれません。バーンスタインは調べてみると1969年のシーズンを最後にニューヨークフィルを離れて、活動の場をヨーロッパに移します。このアルバムの録音はそのニューヨークフィル最後のシーズンの翌シーズンの録音。ということで、バーンスタインの覇気がウィーンフィルに出会って、ヨーロッパの響きが加わったばかりの演奏でしょう。

そうこういっても、バーンスタインの演奏はこれまでに結構な数、取りあげています。当ブログとしては多い方でしょう。

2011/09/15 : ハイドン–声楽曲 : バーンスタイン/ロンドン交響楽団のテレジアミサ
2011/08/15 : ハイドン–声楽曲 : 【お盆特番5】バーンスタイン/ウィーンフィルのテレジアミサライヴ!
2011/05/08 : ハイドン–交響曲 : バーンスタイン/ウィーンフィルの88番、オックスフォード
2010/12/26 : ハイドン–交響曲 : 【新着】バーンスタイン/NYPの97番、98番DVD
2010/09/11 : ハイドン–オラトリオ : バーンスタインの天地創造DVD

なんとなくバーンスタインを取りあげた時はブログのアクセス数も伸びるような印象があります。カラヤンやショルティなどとならぶ巨匠の一人ということで、ファンの方も多いのでしょうね。

ウィーンフィルに客演し始めたころのバーンスタインが、名曲102番をどう料理するか、なぜか非常に新鮮な気分(笑)

Hob.I:102 / Symphony No.102 [B flat] (1794)
おどろおどろしい序奏。録音はあまり良くありません。会場ノイズが入るのは嫌いではありませんが、ちょっと高音にチリチリする雑音が入るのが今一。響きはムジークフェラインならではですが、高音が薄く饐えた感じ。コンディションはそれほど良くありません。しかし、問題はその演奏。バーンスタイン特有のじっくりと息の長いフレーズを奏でて進みますが、主題に入った途端、ムジークフェラインを吹き飛ばさんばかりの凄まじいエネルギーがホール充満。ゴトゴト音がするのはバーンスタインが飛び跳ねているからでしょうか。筋肉が浮かび上がるようにデヴォルメされたミケランジェロのダビデ像のような素晴らしい立体感。録音のハンディをものともしない素晴らしい充実した響き。一音一音に力が漲り、有機的に連なる音符が生き物のようにうねります。展開部ではちょっと音が飽和気味ですが、そんなことは気になりません。名手ぞろいのウィーンフィルが髪を振り乱して演奏しているような素晴らしい力感。バーンスタイン特有の表情の濃さは感じるものの、過度な感じはありません。
102番の白眉、2楽章のアダージョはウィーンフィルならではの豊かな響きに包まれます。じっくりこってりと音符を料理していきますが、間を上手く取っているので詩的な印象もあり、くどすぎることはありません。非常にロマンティックな演奏です。2楽章のこの盛り上がりはベートーヴェンを超えるような大山脈のような圧巻の迫力。
メヌエットもタクトがバックスイングを伴って振りおろされるようすを音にしたような、一音一音を慈しむような演奏。ただ迫力がある演奏とは異なり、音がホールに響き渡るようすを奏者が克明に聴きながら演奏しているよう。テンポは揺るぎなく、音塊が次々と飛んでくる感じ。ゆったりした部分の滑らかさはビロードのよう。それでいてウィーンらしい弦楽器の柔らかな響きが相俟って、まさに極上のひと時。
そしてフィナーレは嵐の予感。入りは意外と落ち着いたものでしたが、主題に入ると徐々にオケにエネルギーが満ち始め、爆発の時を待ちます。最後にウィーンフィルのヴァイオリンセクションが牙を剥きます。鬼気迫るフィニッシュ。もちろん会場から爆発のような拍手が降り注ぎます。

録音が悪いのが欠点ではありますが、おそらくこの演奏はバーンスタイン最上のハイドンの交響曲演奏の一つでしょう。後年のくどさはなく、またニューヨークフィルを自在に操っていたころの覇気があり、オケはウィーンフィルの極上の響き。言う事ありません。バーンスタインがこのコンサートに102番という傑作を選んだのも酔眼。評価はもちろん[+++++]とします。惜しむらくはこのアルバムが現役盤ではないこと。数は出たアルバムだと思いますので中古で丹念に探せば出会えるでしょう。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
関連記事

2 Comments

There are no comments yet.

ライムンド

No title

Daisyさん、こんばんは。バーンスタインについて、誰が、バーンスタインのどの時期の演奏に対して評したのかは覚えていませんが、「今世紀最高のハイドン指揮者ではないだろうか」と書かれてあったのが記憶にあって、妙に気がかりです。個人的にはバーンスタイン最晩年の録音は、作曲家を問わずどうもあまり集中できない気がしていました。しかし、この記事の演奏は好感が持てそうです。ちなみにウィーンフィル創立150周年のCDにはクレンペラー唯一のDG盤「運命と未完成」がありました。パッケージノデザインで思い出しました。

  • 2012/06/26 (Tue) 00:10
  • REPLY

Daisy

Re: No title

ライムンドさん、おはようございます。
バーンスタインというと日本ではウィーンフィルとのベートーヴェンの交響曲全集がとりわけ人気が高かった印象があります。もちろんマーラーも有名ですが、わたしはどちらもちょっと濃い演奏ゆえ、人気ほどには愛聴しておりません。(どちらも手に入れましたが)
ハイドンはどちらかと言うと古い演奏のほうが好みですね。この演奏はバーンスタインの演奏スタイルがハイドンにマッチしているベストの演奏だと思います。

  • 2012/06/26 (Tue) 06:29
  • REPLY