作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ライナー・ギンゼル/ドレスデンフィルハーモニー室内管弦楽団のチェロ協奏曲2番

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今日はチェロ協奏曲を。ディスクユニオンで以前手に入れたものですが、廉価盤然としたつくりから未聴盤ボックスに入れておいたままになっていたもの。

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ライナー・ギンゼル(Reiner Ginzel)のチェロ、ドレスデン・フィルハーモニー室内管弦楽団(Philharmoniesches Kammerorchester Dresden)の演奏で、ボッケリーニのチェロ協奏曲とハイドンのチェロ協奏曲2番の2曲を収めたアルバム。収録は両者とも1993年で3月29日、30日、7月4日、5日、ドレスデンの聖ルカ教会でのセッション録音。レーベルはhänssler CLASSICの廉価盤シリーズMASTERPIECE collection。

ジャケットはまるでCD-Rのように紙一枚。裏面に演奏記録データが書いてあるだけで解説類は一切無し。Free download of the booklet at www.haensssler-classic.deとあり、ブックレットをサイトで探そうとしましたが、見つかりません(笑)。大手でもこのような軽い造りのアルバムをリリースしているんですね。

いつものように演奏者の情報をネットで調べてみました。
チェロのライナー・ギンゼルは、本人のサイトがありましたので紹介しておきましょう。

REINER GINZEL, Violincello(独文)

ライナー・ギンゼルはドイツ人のチェリスト。指揮者、作曲家、教育者でもあるそうです。生年などは見つかりませんでした。マイナー盤ショップなどの情報では、ドレスデン・フィル、南西ドイツ放送響の首席チェリストを務めていた人とのこと。教職では名門ミュンヘン音楽大学の教授であったよう。日本にも何度か来日してコンサートを開いているようですが詳細はわかりません。

このアルバム、取りあげたのはもちろん、演奏がいいからですが、実はチェロのみならず、オーケストラコントロールが秀逸なんですね。指揮者は表記されておらず、ギンゼルは指揮もするとのことですので弾き振りでしょう。

Hob.VIIb:2 / Cello Concerto No.2 [D] (1783)
非常にしっとりしたオーケストラの音色。遅めのテンポでじっくりとした入り。自然な立体感がいきなり素晴らしい感興を呼びます。チェロはかなり慎み深い入り。音量は抑えながらも糸を引くような引きずるフレージング。非常に抑えた入り。この曲の静かな感動を知った非常に冷静なアプローチでしょう。ゆったりと静かに曲を進めることで、曲の深遠な魅力をじわりと表現していくよう。チェロもオケも刺激的な音は一切出さず、ゆったりと曲の起伏を描いていきます。遠くまで見通せる晴天の日になだらか尾根を縦走するするような爽やかさ。見える景色は地味ながら自然の慈しみをかんじるような印象。おそらくテンポが徐々にゆったりしてきて、最晩年の老練なチェリストの演奏のような侘び寂びすら感じさせます。一方オケはところどころヴァイオリンのキレの良い音階を聴かせ、ただゆったりした演奏ではないことを主張するよう。秀逸なのは木管楽器群。聖ルカ教会の豊かな残響もありとろけるような美しい響きで彩りを加えます。カデンツァはギンゼルの自作でかなり長いもの。テクニックの表現というよりは美しいチェロの音色を主体としたもの。最後はオケが意図的に鮮度感をきっちり表現して引き締めます。
アダージョは、穏やかな序奏から入るりますが、主題に入ると予想よりはっきりクッキリした演奏。オケは旋律をかなりしっかり描き、チェロも良く鳴きながらゆったりとメロディーを奏でていきます。ギンゼルのチェロは良く鳴きます。力を抜いた高音の伸びが素晴らしいですね。やはりしっとりとした慈しみ深い音楽。
フィナーレは独特の回想シーンのような美しメロディーをどのように表現するかがポイントの曲。ここでもギンゼルはゆったりじっくりした表現スタイルを変えることなく落ち着いた入り。途中チェロのゴリッとした低音のエッジを立てた表現でアクセント付け、しっかりメリハリをつけた演奏。1楽章から一貫した表現スタイルを通して、楽章間のコントラストはそれほどつけませんが、音楽的には聴き所をしっかり変化させてくるあたり、懐の深さを感じさせます。最後はしっかりとしたフィニッシュで名曲を締めます。

ライナー・ギンゼルの弾くハイドンのチェロ協奏曲2番。叙情的で穏やかなチェロの表現と、叙情的でも色彩感豊かなオケの響きが絶妙にバランスした秀演でした。チェロは意欲が先走るようなことはなく、老練さを感じさせるもの。オケは同様の傾向はあるものの、華やかさと新鮮さも加わり、音楽を豊かにしています。チェリストとしての腕も、指揮者としての能力も素晴らしいものがあります。ハイドンのチェロ協奏曲2番という名曲には沢山の名演がありますが、このアルバムも名演盤の一角を占めるべき素晴らしいアルバムに間違いありません。評価は[+++++]とします。

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