作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

モーリス・アンドレ/ミュンヘン室内管のトランペット協奏曲

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未入手のアルバムがHMV ONLINEから届きました。

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HMV ONLINEicon

モーリス・アンドレ(Maurice André)のトランペット、ハンス・シュタットルマイアー(Hans Stadlmair)指揮のミュンヘン室内管弦楽団の演奏でハイドンのトランペット協奏曲を収めたアルバム。このアルバムはハイドンの他にテレマン、ヘンデルなどのトランペット協奏曲などモーリス・アンドレのDGへの録音を2枚にまとめたもの。詳しい収録曲目はHMV ONLINEのリンクをご覧ください。ハイドンの収録は1966年11月、ミュンヘンのヘラクレス・ザールでのセッション録音。

モーリス・アンドレは今年2月に亡くなりました。トランペットの巨人。これまでハイドンのトランペット協奏曲を2種取りあげています。

2012/02/28 : ハイドン–協奏曲 : 【追悼】モーリス・アンドレ/パイヤールのトランペット協奏曲
2010/11/05 : ハイドン–協奏曲 : モーリス・アンドレのトランペット協奏曲

パイヤールとの1960年代の録音、ムーティとの1984年の録音ともにアンドレの柔らかいトランペットの魅力は健在です。とくにムーティ盤では、若手指揮者に華をもたせるように自由に振らせて、自身はオケの演奏を聴いて楽しむがごとくゆったり落ち着いてソロらしくもない非常に抑えた演奏。巨匠ならではの至芸でした。

今日取り上げる録音は、最近、michaelさんのコメントでこのアルバムの存在を知り、HMV ONLINEに注文していたもの。1966年の録音で、パイヤール盤の録音が1960年代とだけしかわからないですが、ほぼ同年代の録音でありアンドレ33歳と覇気溢れる年代の録音です。同年代に異なるレーベルから同じ曲を録音するというのは、あまりないことと思いますので、当時のアンドレの人気を物語るものなのでしょうか。

指揮のハンス・シュタットルマイアーは、1929年、オーストリアのリンツ南部の街、ノイホーフェン・アン・デア・クレムスの生まれの作曲家、指揮者。ウィーン音楽アカデミーでクレメンス・クラウスなどに学び、このアルバムのオケであるウィーン室内管弦楽団の指揮を40年近く担当した人。まだご健在のようです。

Hob.VIIe:1 / Concerto per il clarino [E flat] (1796)
オーソドックスでキレのある弦楽器と木管楽器の響きの美しさが印象的な入り。華やかなオケ。録音も時代を考えると十分鮮明なもの。アンドレのトランペットは柔らかな音色で、テンポ感良く、最初は推進力あるオケに乗って律儀な演奏。徐々に音色の美しさと高音の伸びを感じさせるようになってきます。どちらかと言うと速めのテンポで小気味好い演奏。この曲独特の至福感と祝祭感を上手く表現して完璧な演奏。ロマン的な盛り上がりよりは古典の規律、爽快感に主眼がおかれています。このまま進むかと思いきや、カデンツァでアンドレの魅力炸裂。何というまろやか音色、そして天に昇るかのような上昇感、音階のキレ。絶品です。鳥肌もののカデンツァ。これを圧倒的な存在感と言うのでしょう。
そしてアダージョは、柔らかな響きのオーケストラが十分にテンポを落として、ゆったりとした序奏から入ります。アンドレのトランペットはとろけそうなまろやかさ。至福。オケも1楽章との対比が見事。シュタットルマイアーも万全のサポートでアンドレを引き立てます。コンチェルトでのオケの出来も重要な要素だけに、このアルバムの魅力のひとつとなっています。
フィナーレは再び、キレと推進力ある入り。鮮やかなギアチェンジ。こうゆうさりげないところが実にいい。アンドレの最初の音を待ちわびる感じ。もはやアンドレの独壇場。オケとの掛け合いも非常にキレが良く素晴らしいアンサンブル。

これで、モーリス・アンドレのトランペット協奏曲を3種取りあげましたが、ベスト盤は間違いなくこのアルバム。アンドレのまろやかなのに輝かしいトランペットの魅力が溢れており、加えてハンス・シュタットルマイアーとミュンヘン室内管のサポートも万全。オケだけでも魅力的な演奏です。今までアンドレの真髄に迫れずに来ていた事になります。評価はもちろん[+++++]です。

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