作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

レーヴェングート四重奏団の「五度」

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今日は古めの弦楽四重奏曲。ハイドンの弦楽四重奏曲の魅力にはいろいろあると感心させられる演奏。

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HMV ONLINEicon / amazon

レーヴェングート四重奏団(Quatuor Loewenguth)の演奏によるハイドンの弦楽四重奏曲Op.76のNo.2「五度」、Op.74のNo.3「騎士」の2曲を収めたアルバム。収録は1960年9月27日から29日まで、ドイツ、シュツットガルト北部の街ルートヴィヒスブルクでのセッション録音。原盤はAriola-Eurodiscで、このアルバムはDENON製。

レーヴェングート四重奏団は年配の方ならなじみがあるのでしょうか。私自身は今回はじめて聴くクァルテット。フランス人のヴァイオリニスト、アルフレッド・レーヴェングートを中心にしたクァルテット。1930年代から70年代に活躍した団体。レパートリーはベートーヴェン、モーツァルト、ハイドンなど古典派あたり。途中メンバーが入れ替わっているようですが、この演奏を録音した1960年頃は下記のとおり。

第1ヴァイオリン:アルフレッド・レーヴェングート(Alfred Loewenguth)
第2ヴァイオリン:ジャック・ゴトコフスキ(Jacques Gotkovsky)
ヴィオラ:ロジェ・ローシュ(Roger Roche)
チェロ:ロジェ・レーヴェングート(Roger Loewenguth)

チェロのロジェ・レーヴェングートはヴァイオリンのアルフレッドの兄弟のようです。

Hob.III:76 / String Quartet Op.76 No.2 "Quintenquartetett" 「五度」 [d] (1797)
ヒストリカルな録音ですが、ステレオで鮮明さはかなりのもの。音質としてはWestminster盤のウィーン・コンツェルトハウス四重奏団のモノに近い、高域が若干メタリックな印象のあるもの。カッチリとした硬質の音が特徴です。演奏はテンポは中庸、剃刀のような切れ味の各楽器がしのぎを削るような緊張感溢れるもの。中でも第1ヴァイオリンのアルフレッド・レーヴェングートの輝かしく伸びのあるヴァイオリンの存在感が一段目立っている感じです。テンポのゆらしはあまり目立ったりすることはなく、デュナーミク勝負というところ。終始ハイテンションでザクザク来る感じ。1楽章は演奏が進むにつれてテンションが漲り、耳に刺さるような迫力ある響き。
2楽章はかなり鮮明なピチカートに乗ってヴァイオリンがじっくりメロディーラインを歌います。変わらずヴァイオリンは伸びのある素晴らしい響き。ゆったりとした雰囲気を強調する演奏もあるなか、この演奏は孤高の険しさを感じさせるような辛口の演奏。辛口の語り口がハイドンの曲の魅力を別の角度から照らし出しているよう。
予想していたよりさらに険しい響きのメヌエット、耳に刺さるような緊張感。展開部からは楽器が重なり、険しさも重なってなぜか豪華な響き。このような印象をもつとは想いも寄らぬ発見。それにしても鮮明な録音。すこし低音域のノイズが気にならなくはありませんが、全体の印象は変わりません。
フィナーレは、予想よりも大人しく、メヌエットの華やぎからすると、しっとりした感触すら感じさせます。もちろん曲調は速いテンポで次々と現れるメロディーの重なりの妙を楽しむべきものですが、前楽章との対比では、表現を少し抑えてメロディーラインの美しさを聴かせる意図なんでしょう。最後はすこし音程が落ち着かないというか、荒々しさを出したような表現で終了。

今日は時間の都合で「五度」のみです。

1960年の録音としては十分すぎる鮮明さと、耳にダイレクトに刺さる硬質な音感が印象を大きく左右しているかとは思いますが、レーヴェングート四重奏団の演奏は、辛口、硬質、タイトな表現でハイドンの弦楽四重奏曲の魅力を表したもの。演奏によって浮かび上がらせるものがこれだけ違うという意味で非常に興味深いアルバムです。「五度」の評価は[++++]とします。

明日は1ヶ月飛ばしてしまったベスト盤選び。お楽しみに。

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2 Comments

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だまてら

No title

こんばんは、当盤は「騎士」のほうも是非!(こちらがメインというか白眉と思われます)。小生の感想は、HMVオンラインのレビューに記したとおりです。エベーヌSQも悪くはないですが、やはり品格の差があるかな・・・。現存する団体でハイドンを録音して欲しいのは・・・まずはやはり全曲演奏会が進行中(先月でやっと中間点あたり)の古典四重奏団、あとバルトーク(現状5、6番のみ)やドビュッシー&ラヴェルでグッドサプライズを受けたアルカントSQあたりでしょうか。

  • 2012/05/31 (Thu) 22:54
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Daisy

Re: No title

だまてらさん、こんばんは。
このアルバム、だまてらさん好みの演奏だと思っていました。この硬質な響きをだまてらさんのシステムできいたらさぞかし険しい表情が再現されるのでしょうね。機会があったら「騎士」の方も取りあげたいと思います。

  • 2012/05/31 (Thu) 23:56
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