エベーヌ四重奏団の「ひばり」など
今日は若手のクァルテットの演奏を紹介しましょう。

HMV ONLINE
/ amazon
/
TOWER RECORDS
エベーヌ四重奏団(Quatuor ÉbÈne)の演奏で、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.64のNo.5「ひばり」、Op.33のNo.1、Op.76のNo.1の3曲を収めたアルバム。収録年と場所は記載がありませんが、Pマークは2006年。拍手ではじまり、拍手で終わりますのでライヴ収録という事でしょう。レーベルは仏MIRARE。
エベーヌ四重奏団は1999年に設立されたフランスのクァルテット。メンバーはブローニュ=ビヤンクール地方音楽院在学中の4人。
第1ヴァイオリン:ピエール・コロンブ(Pierre Colombet)
第2ヴァイオリン:ガブリエル・ル・マガデュール(Gabriel Le Magadure)
ヴィオラ:マチュー・ヘルツォク (Mathieu Herzog)
チェロ:ラファエル・メルラン (Raphaël Merlin)
くわしく紹介しようと調べたらWikipediaの日本語版にかなりの情報がありましたので、まずはこちらをご覧ください。
Wikipedia:エベーヌ四重奏団
また、凝った造りの彼らのサイトがありましたので、そちらも紹介しておきましょう。
Quatuor ÉbÈne | Official Website
これまで、ジャズを含む7枚のアルバムをリリースしているようですが、このハイドンのアルバムがデビュー盤のようです。やはり若手クァルテットでハイドンをデビュー盤に持ってくるあたり、只者ではありません。また、このアルバムのジャケット写真やウェブサイトの造りも凝ったもの。そして演奏自体も磨き込むようなものではなく、クァルテットという弦楽器4本のアンサンブルの象徴性を際立たせるような不思議な演奏。
Hob.III:63 / String Quartet Op.64 No.5 "Lerchenquartetett" 「ひばり」 [D] (1790)
かなり狭い会場での録音だと思われます。入場の足音とともにぱらぱらと拍手が鳴って場内が静まり、演奏がはじまります。録音は弦楽器の刺々しさも含めてリアルに録ろうという方向でしょうか。演奏もそれぞれの楽器が存在感を伴って、溶け合わず、独立した響きで音楽が構成される感じ。美しい響きを聴かせようという意図はなく、楽器の存在が実存的に証明されるような演奏。決して上手い演奏ではないのですが、不思議な存在感がある演奏と言えばいいでしょうか。メロディーの流れもたどたどしく、ハーモニーもすこし乱れます。やんちゃさを聴かせようとしているのでしょうか。
2楽章のアダージョ・カンタービレに入ると音楽の流れが良くなってきます。1楽章と同傾向の演奏ながら、穏やかな曲調のせいかオーソドックスな響きに聴こえます。良く聴くとチェロはかなり音を切り気味にしていて、それが音楽の独特の表情につながっているようですね。
メヌエットに入り各奏者が暖まってきたのか、少しノリも良くなってきてリラックスしたよう。弦楽器の独特の存在感は続くものの、これまでの緊張感とは異なり少し楽天的な響きに。
フィナーレはかなりの速さ。ヴァイオリンの速いパッセージのキレはなかなかのもの。次々とバトンタッチされる快速の音階の迫力はいい感じです。テクニックは確かなものがあります。最後の部分に至るまでのテンションは流石です。演奏が終わると狭いホール内に轟く拍手に迎えられます。
Hob.III:37 / String Quartet Op.33 No.1 [b] (1781)
時代はだいぶ遡った曲。前曲よりアクセントに力が漲ります。録音は少し雰囲気が変わりますが、強音でちょっと拍子を遅らせたり、間をとったりと表現上の効果的な工夫が増え、また奏者間の解け合いも少し良くなります。前曲より明らかに聴き応えが増します。アンサンブルにまとまりが生まれ、4人の音が塊となって攻めて来る感じ。
2楽章はスケルツォ。まとまりが生まれると曲の表現の幅が増します。フレーズのキレはなかなかのもの。
そして3楽章にアンダンテが来ます。ベースに不思議な旋律が流れる面白い曲想。
フィナーレは前曲同様かなり速めのテンポで畳み掛けるような展開。速い部分のキレはこのクァルテットの特徴の一つ。速さとエネルギー感で聴かせきってしまいます。なんて言っているのかわかりませんが、会場からはブラヴォーのような声と拍手。
Hob.III:75 / String Quartet Op.76 No.1 [G] (1797)
聴きなれた曲。導入部は精妙さもそこそこあり、凝集感もあって充実した響き。ヴァイオリンの音色がこれまでで一番華やかに聴こえます。アンサンブルの精度は粗いながらも、ポイントは押さえていて、迫力あるアンサンブルが出現。
2楽章のアダージョは1楽章の火照りを冷ますような位置づけでしょうか。ヴァイオリンとチェロの掛け合いや、楽器の重なりを美しく表現する部分などがあり、ゆったりと楽しむことができます。このアルバムでもっとも精度が高い演奏の部分。ただしその演奏はオーソドックスな演奏ではあります。
メヌエットは恐ろしい迫力。アクセントに当たる部分はマグマのようなエネルギーでせめて来ますね。
フィナーレも素晴らしい勢いはそのまま、アンサンブルも精度をあげて応えます。
エベーヌ四重奏団のデビューアルバムであるハイドンの弦楽四重奏曲集。これまで取りあげた若手四重奏団とはアプローチの角度が全く異なる演奏。ジャケットのつくりをみるとかなりハイセンスのもの。ウェブサイトも同様ですが、そのセンスの向こうにあるものは既成概念でのいい演奏とは異なり、クァルテット一人一人の独立した個性の演奏の集合体のようなもの。アンサンブルとしての音響を極めるというつもりは全くなさそうで、各人がそれぞれ現代感覚溢れる演奏をおこないそれを束ねただけのような不思議な演奏。セッション録音でも良さそうな演奏ながらライヴできたところにもこだわりがありそうですね。評価は「ひばり」が[+++]、他の2曲が[++++]としました。
そろそろ月末ですね。先月締めていないので、今月はいいアルバムを選ばないと、、、

HMV ONLINE
エベーヌ四重奏団(Quatuor ÉbÈne)の演奏で、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.64のNo.5「ひばり」、Op.33のNo.1、Op.76のNo.1の3曲を収めたアルバム。収録年と場所は記載がありませんが、Pマークは2006年。拍手ではじまり、拍手で終わりますのでライヴ収録という事でしょう。レーベルは仏MIRARE。
エベーヌ四重奏団は1999年に設立されたフランスのクァルテット。メンバーはブローニュ=ビヤンクール地方音楽院在学中の4人。
第1ヴァイオリン:ピエール・コロンブ(Pierre Colombet)
第2ヴァイオリン:ガブリエル・ル・マガデュール(Gabriel Le Magadure)
ヴィオラ:マチュー・ヘルツォク (Mathieu Herzog)
チェロ:ラファエル・メルラン (Raphaël Merlin)
くわしく紹介しようと調べたらWikipediaの日本語版にかなりの情報がありましたので、まずはこちらをご覧ください。
Wikipedia:エベーヌ四重奏団
また、凝った造りの彼らのサイトがありましたので、そちらも紹介しておきましょう。
Quatuor ÉbÈne | Official Website
これまで、ジャズを含む7枚のアルバムをリリースしているようですが、このハイドンのアルバムがデビュー盤のようです。やはり若手クァルテットでハイドンをデビュー盤に持ってくるあたり、只者ではありません。また、このアルバムのジャケット写真やウェブサイトの造りも凝ったもの。そして演奏自体も磨き込むようなものではなく、クァルテットという弦楽器4本のアンサンブルの象徴性を際立たせるような不思議な演奏。
Hob.III:63 / String Quartet Op.64 No.5 "Lerchenquartetett" 「ひばり」 [D] (1790)
かなり狭い会場での録音だと思われます。入場の足音とともにぱらぱらと拍手が鳴って場内が静まり、演奏がはじまります。録音は弦楽器の刺々しさも含めてリアルに録ろうという方向でしょうか。演奏もそれぞれの楽器が存在感を伴って、溶け合わず、独立した響きで音楽が構成される感じ。美しい響きを聴かせようという意図はなく、楽器の存在が実存的に証明されるような演奏。決して上手い演奏ではないのですが、不思議な存在感がある演奏と言えばいいでしょうか。メロディーの流れもたどたどしく、ハーモニーもすこし乱れます。やんちゃさを聴かせようとしているのでしょうか。
2楽章のアダージョ・カンタービレに入ると音楽の流れが良くなってきます。1楽章と同傾向の演奏ながら、穏やかな曲調のせいかオーソドックスな響きに聴こえます。良く聴くとチェロはかなり音を切り気味にしていて、それが音楽の独特の表情につながっているようですね。
メヌエットに入り各奏者が暖まってきたのか、少しノリも良くなってきてリラックスしたよう。弦楽器の独特の存在感は続くものの、これまでの緊張感とは異なり少し楽天的な響きに。
フィナーレはかなりの速さ。ヴァイオリンの速いパッセージのキレはなかなかのもの。次々とバトンタッチされる快速の音階の迫力はいい感じです。テクニックは確かなものがあります。最後の部分に至るまでのテンションは流石です。演奏が終わると狭いホール内に轟く拍手に迎えられます。
Hob.III:37 / String Quartet Op.33 No.1 [b] (1781)
時代はだいぶ遡った曲。前曲よりアクセントに力が漲ります。録音は少し雰囲気が変わりますが、強音でちょっと拍子を遅らせたり、間をとったりと表現上の効果的な工夫が増え、また奏者間の解け合いも少し良くなります。前曲より明らかに聴き応えが増します。アンサンブルにまとまりが生まれ、4人の音が塊となって攻めて来る感じ。
2楽章はスケルツォ。まとまりが生まれると曲の表現の幅が増します。フレーズのキレはなかなかのもの。
そして3楽章にアンダンテが来ます。ベースに不思議な旋律が流れる面白い曲想。
フィナーレは前曲同様かなり速めのテンポで畳み掛けるような展開。速い部分のキレはこのクァルテットの特徴の一つ。速さとエネルギー感で聴かせきってしまいます。なんて言っているのかわかりませんが、会場からはブラヴォーのような声と拍手。
Hob.III:75 / String Quartet Op.76 No.1 [G] (1797)
聴きなれた曲。導入部は精妙さもそこそこあり、凝集感もあって充実した響き。ヴァイオリンの音色がこれまでで一番華やかに聴こえます。アンサンブルの精度は粗いながらも、ポイントは押さえていて、迫力あるアンサンブルが出現。
2楽章のアダージョは1楽章の火照りを冷ますような位置づけでしょうか。ヴァイオリンとチェロの掛け合いや、楽器の重なりを美しく表現する部分などがあり、ゆったりと楽しむことができます。このアルバムでもっとも精度が高い演奏の部分。ただしその演奏はオーソドックスな演奏ではあります。
メヌエットは恐ろしい迫力。アクセントに当たる部分はマグマのようなエネルギーでせめて来ますね。
フィナーレも素晴らしい勢いはそのまま、アンサンブルも精度をあげて応えます。
エベーヌ四重奏団のデビューアルバムであるハイドンの弦楽四重奏曲集。これまで取りあげた若手四重奏団とはアプローチの角度が全く異なる演奏。ジャケットのつくりをみるとかなりハイセンスのもの。ウェブサイトも同様ですが、そのセンスの向こうにあるものは既成概念でのいい演奏とは異なり、クァルテット一人一人の独立した個性の演奏の集合体のようなもの。アンサンブルとしての音響を極めるというつもりは全くなさそうで、各人がそれぞれ現代感覚溢れる演奏をおこないそれを束ねただけのような不思議な演奏。セッション録音でも良さそうな演奏ながらライヴできたところにもこだわりがありそうですね。評価は「ひばり」が[+++]、他の2曲が[++++]としました。
そろそろ月末ですね。先月締めていないので、今月はいいアルバムを選ばないと、、、
- 関連記事
-
-
イオス四重奏団の「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」
2012/07/10
-
フィルハーモニア・クァルテット・ベルリンの十字架上のキリストの最後の七つの言葉
2012/06/28
-
エミール・クライン/ハンブルク・ソロイスツのディヴェルティメント集
2012/06/19
-
レーヴェングート四重奏団の「五度」
2012/05/30
-
エベーヌ四重奏団の「ひばり」など
2012/05/29
-
ファイン・アーツ四重奏団の「ひばり」
2012/05/07
-
Meta4の弦楽四重奏曲Op.55
2012/05/05
-
アマティ四重奏団のOp.50
2012/03/31
-
プラジャーク四重奏団のOp.50(ハイドン)
2012/03/30
-