作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

クリストフォリ・トリオのピアノ三重奏曲集(ハイドン)

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久々のピアノ三重奏曲です。

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クリストフォリ・トリオ(Cristofori Trio)の演奏で、ハイドンのピアノ三重奏曲Hob.XV:27、XV:5、XV:8、XV:12の4曲を収めたアルバム。収録は1992年4月1日、4日、ブダペストのユニタリアン教会でのセッション録音。レーベルはハンガリーのHUNGAROTON CLASSIC。

このアルバムは先日ディスクユニオンに寄った時に見つけたものですが、ご覧いただいてわかるとおり、1992年録音としてはかなり古風なジャケット写真が妙に印象的なもの。なにか怪しい妖気が漂ってます。こうゆうアルバムにはいい演奏が多いものとの霊感を信じて手に入れました。

クリストフォリ・トリオは1987年、メンバーがまだブダペスト音楽アカデミーの学生だった時に設立された古楽器による三重奏団。同アカデミーの教授他海外のマスタークラスで学びました。ハンガリーや西欧の古楽の音楽祭に数多く出演し、1990年ベルギーのブルージュ国際古楽コンクールで特別賞、1991年のユトレヒトコンクールでモーツァルト賞を受賞するなどの経歴があります。インターネットでも調べてみましたがあまり情報がありません。彼らの演奏はこのアルバムの他にHUNGAROTON CLASSICからコジェルフのピアノトリオ、C.P.E.バッハのクラヴィア・ソナタ集、モンドンヴィルの「調和の響き」などくらい。なお、他のアルバムでは団体名がトリオ・クリストフォリ(Trio Cristofori)と記されていることからこのアルバムの後、呼称を変えたのではないかと思います。メンバーは以下のとおり。

フォルテピアノ:シルヴィア・エレク(Szilvia Elek)
ヴァイオリン:ペーテル・シューツ(Péter Szüts)
チェロ:バラシュ・マーテ(Balázs Máté)

Hob.XV:27 / Piano Trio (Nr.43/op.75-1) [C] (1796)
古楽器の柔らかい音色が溶け合う自然な音場。録音自体は1992年録音としては鮮明さが少し足りないような気がしますが、演奏自体は生気に溢れ、フォルテピアノを軸に火花散るようなインテンポの演奏。ある意味肩すかしのような自然さ溢れる秀演。この曲は、アベッグ・トリオ、カリヒシュタイン・ラレード・ロビンソン・トリオ、トリオ・ヴァンダラーなど以前このブログで取りあげた素晴らしい演奏ひしめく名曲です。個性という意味では強い範疇ではありませんが、フォルテピアノの素晴らしい粒立ちとドライヴ感、ヴァイオリンのキレ、チェロのメリハリなどメンバーのテクニックと音楽性は素晴らしく、先に挙げた演奏と比べて、決して劣る演奏ではありません。特にシルヴィア・エレクのフォルテピアノは生気と抑制のバランスが見事。エレクが曲の骨格を作っています。
アンダンテはゆったりとした感興をじっくりと楽しめる演奏。音楽に純粋に身を任せているような自然な演奏ゆえ、純粋にメロディーの変化と音楽の綾に集中できます。適度なメリハリ。この適度というところが実は非常に重要で、この演奏はまさにこのオーソドックスさが非常に印象的な演奏。こうした作為のない自然な、しかも確かなテクニックに裏付けられた演奏こそがハイドンの真髄に迫る演奏に違いありません。
フィナーレも同様、フォルテピアノは相変わらず素晴らしいキレ。ヴァイオリンのペーテル・シューツの透明感ある美音も相俟って、燻し銀の演奏。最後の盛り上がる部分もバランスを保ちながら素晴らしいエネルギー。危なっかしいところは皆無な演奏でした。

Hob.XV:5 / Piano Trio (Nr.18) [G] (before 1784)
少し時代を遡った曲。この曲は独特の2楽章が印象的な曲。演奏は前曲同様、非常に安定したテクニックで、曲自体の魅力を良く表す、テクニックはキレて、スタイルはオーソドックスな演奏。1楽章は4分少々とかなり短い曲。
2楽章はハイドンの曲にたまに顔を出す、リズムが鮮明な効果をもつ曲。シルヴィア・エレクのフォルテピアノはくどくならずにリズムの面白さをクッキリ表現したもの。ここでもバランス感覚が見事。チェロのバラシュ・マーテもフォルテピアノに上手く乗って正確に低音のリズムを刻みます。
最盛期のピアノ三重奏曲とは異なる感じの落ち着いたフィナーレ。この曲は曲想が面白く、変化に富んでいますので、アルバムの中でも聴き応えがあります。この曲でもこのトリオの落ち着いた姿勢と豊かな音楽性があるため、曲に純粋に没入できます。

今日は2曲のみのレビューとさせてきただきます。

ほぼ無名にちかいハンガリーのトリオである、クリストフォリ・トリオによるハイドンのピアノ三重奏曲を4曲集めたアルバム。古風で怪しい雰囲気のジャケットの印象とは異なり、古楽器による正統的な演奏。私の好きな作為のないオーソドックスかつ各奏者の高い音楽性が溢れる演奏。このアルバムの演奏の素晴らしさは、ハイドンの室内楽好きな人にはわかっていただけると思います。評価は両曲とも[+++++]としたいと思います。

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