ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管のトランペット協奏曲、協奏交響曲

HMV ONLINE
ユージン・オーマンディ(Eugene Ormandy)指揮のフィラデルフィア管弦楽団などの演奏で、ハイドンのトランペット協奏曲、協奏交響曲、かつてハイドンの作とされていたオーボエ協奏曲、レオポルド・ホフマン作曲のフルート協奏曲を収めたアルバム。今日はこの中から、ハイドンの作曲であることが明らかなトランペット協奏曲と協奏交響曲の2曲をとりあげます。収録はトランペット協奏曲が1967年10月9日、協奏交響曲が1958年2月23日、いずれもかつてフィラデルフィア管の録音会場として使われていたタウン・ホールでのセッション録音。レーベルはSONY CLASSICAL。
オーマンディのハイドンは珍しいものですが、以前に1枚取りあげた事があります。
2011/03/28 : ハイドン–交響曲 : オーマンディ/フィラデルフィア管の88番1958年モスクワライヴ
オーマンディについては以前の記事をご覧ください。トランペット協奏曲のソロを担当するのはギルバート・ジョンソン(Gilbert Johnson)で、フィラデルフィア管弦楽団の前首席トランペット奏者です。
協奏交響曲のソリストは以下のとおり。
オーボエ:ジョン・デ・ランシー(John de Lancie)
ファゴット:ベルナルド・ガルフィールド(Bernard Garfield)
ヴァイオリン:ヤコブ・クラチマルニック(Jacob Krachmalnick)
チェロ:ローン・マンロー(Lorne Munroe)
こちらもフィラデルフィア管弦楽団のメンバーのようです。
オーマンディの手兵フィラデルフィア管の精鋭メンバーをソロに据えたハイドンの協奏曲、はたして豪華絢爛な「フィラデルフィア・サウンド」が聴かれるでしょうか。
Hob.VIIe:1 / Concerto per il clarino [E flat] (1796)
やはり来ました。分厚いしかもゴージャスな音色のオーケストラによる序奏。ハイドン本来の魅力とは少々異なりますが、この音色は期待どおりで、妙に嬉しいですね。ギルバート・ジョンソンのトランペットはちょっと薄い感じの音色ですが、分厚いオケのなかに埋没しそうな音量ながら、クッキリ浮かび上がっているところは流石。それにしてもゴージャスなオーケストラの響き。オーマンディはハイドン本来のアクセントではなく、スタイリッシュに聴かせようとしたアクセントを多用して、立体感もかなりのもの。これはオーマンディのコントロールを聴くべき演奏であることに間違いありません。カデンツァはクッキリしたトランペットのあっけらかんとしたもの。ここまでくると、徹底していて悪くありません。
2楽章のアンダンテもオーケストラの深みのある分厚い響きが見事。最近のトランペット協奏曲の録音で聴かれる音色とは異なり、かなりクッキリした音色のトランペットとの対比が面白い効果。アンダンテはあえてさらりとやり過ごします。
フィナーレはオケのかなりしっかり目のリズムをとった演奏が個性的。ちょっとくどくなる寸前まで小節を効かせており、オケはかなりのインパクト。その伴奏にのってトランペットがやはり小節を効かせて軽々と吹き抜ける感じ。個性的な演奏です。ソロは存在感はあるのですが、ちょっと深みに欠ける印象も与えてしまいます。オケは終始ゴージャスでした。
Hob.I:105 / Sinfonia Concertante 協奏交響曲 [B] (No.105) (1792)
だいぶ遡って1958年の録音。音の鮮度と迫力が若干落ちますが、サウンドイメージはかなり似ており、イメージとしてはそこそこゴージャスといった感じの演奏。灰汁もそれほど強くなく、前曲よりはオーソドックス。オーボエのリズムが少々重いのが気になる程度。ソロの各楽器はテクニックはほぼ安定しているせいか、逆に型にはまったような印象もつきまといます。
2楽章のアンダンテは一貫してゆったりとしたテンポで進めます。非常にのどかな趣を醸し出しています。録音の古さに起因するちょっと古びた音色が相俟ってセピア調に変色してしまった写真を見るような印象。これはこれでいい感じです。最後までゆったりゆったり進みます。
フィナーレは再び分厚いオケの音色によって目が覚めるような序奏から入ります。やはりアメリカのオケとはっきりわかる楽天的な雰囲気が宿ります。ヴァイオリンの線の細目のソロをはさんでオケとソロの掛け合いが続き、各楽器がかわるがわる応報。フォーカスがだんだん合ってきて集中していきます。フィラデルフィア管の妙技が楽しめる楽章。冒頭は楽天的に聴こえたものの、進むにつれてすこしその感じがうすれ、オーソドックスな秀演と聴こえます。オーマンディも最後はオケにまかせてコントロールの手綱をゆるめている感じ。結果的にハイドンらしい演奏になりました。
フィラデルフィア・サウンドで鳴らしたオーマンディとフィラデルフィア管によるハイドンの協奏曲2曲。録音年代の新しいトランペット協奏曲はゴージャスさが際立つ、まさにフィラデルフィア・サウンドが特徴でしたが、トランペットの音色に少々スタイルの古さが感じられてしまう演奏、協奏交響曲の方は、録音年代が古い分オーソドックスな印象が強く、最盛期のフィラデルフィア・サウンドに至る前の演奏と言う印象ですが、逆に堅実、オーソドックスな良さもあります。評価は両曲とも[+++]としました。オーマンディの特徴が良く出た面白い演奏ですので、嫌いな演奏ではありませんが、この2曲の演奏としては特殊なものゆえ少し星の数が減ったという事です。
- 関連記事
-
-
ウィリー・クルッグ、ヘルムート・コッホ/ベルリン室内管のトランペット協奏曲
2012/07/03
-
ライナー・ギンゼル/ドレスデンフィルハーモニー室内管弦楽団のチェロ協奏曲2番
2012/06/16
-
モーリス・アンドレ/ミュンヘン室内管のトランペット協奏曲
2012/06/09
-
チョ・ヨンチャン/テロス・アンサンブル・ケルンのチェロ協奏曲集(ハイドン)
2012/06/03
-
ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管のトランペット協奏曲、協奏交響曲
2012/05/24
-
ティルシャル兄弟/コシュラー/プラハ室内管の2つのホルンのための協奏曲
2012/05/21
-
ルドルフ・ブッフビンダー/ウィーン響のピアノ協奏曲XVIII:11
2012/05/04
-
アドルフ・ハーセス/アバド/シカゴ響のトランペット協奏曲
2012/04/30
-
モスクワ室内管のチェロ、ヴァイオリン、ピアノとヴァイオリンのための協奏曲集
2012/04/22
-