トーマス・ファイ/シュリアバッハ室内管の「時の移ろい」「告別」
これも最近手に入れたアルバムです。

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トーマス・ファイ(Thomas Fey)指揮のシュリアバッハ室内管弦楽団(Schlierbacher Kammerorchester)によるハイドンの交響曲64番「時の移ろい」、45番「告別」の2曲を収めたアルバム。収録はPマークが1999年で、ドイツのハイデルベルグ北方のメルレンバッハ(Mörlenbach)のコミュニティーセンターでのセッション録音。レーベルはファイの交響曲集をリリースし続けているhänssler CLASSIC。
このアルバムはファイのハイドン交響曲全集の第2巻にあたりますが、第1巻を含めて他のアルバムのオケがハイデルベルク交響楽団なのに対し、このアルバムのみシュリアバッハ室内管弦楽団と異なり、しかもHMV ONLINE上では既に廃盤というもの。調べたところシュリアバッハ室内管弦楽団はハイデルベルク交響楽団の前身で、1993年にハイデルベルク交響楽団に変わったとのこと。この巻のみ廃盤な理由はわかりませんが、ハイデルベルク交響楽団として録り直す予定でもあるのでしょうか。
このアルバムは廃盤だったので入手できていませんでしたが、ディスクユニオンでたまたま見かけたのでようやく手に入れたもの。おそらく編成の大きさのみの違いで奏者は同じ人も多いのではないかとと思いますので、オケの音色の違いはそれほどないのではないかと想像しています。ファイのハイドン交響曲全集の第2弾ということで、最近の録音との演奏の違いなどがあるかどうかが気になるところです。
これまで取りあげたレビューを紹介しておきましょう。
2011/07/06 : ハイドン–交響曲 : 【新着】トーマス・ファイの「帝国」、54番
2010/12/26 : ハイドン–協奏曲 : 【新着】トーマス・ファイのホルン協奏曲、ホルン信号
2010/08/01 : ハイドン–交響曲 : トーマス・ファイの69番、86番、87番
これまで取りあげたのは、それぞれ第7巻、14巻、15巻と比較的最近のもの。7巻の録音も2006年ということで、ファイの交響曲全集の初期のアルバムは取りあげていないことになります。この第2巻の1997年以前の録音がどのような出来かというのも興味あるところです。
Hob.I:64 / Symphony No.64 "Tempora mutantur" 「時の移ろい」 [A] (before 1778)
告別交響曲よりも少し後に作曲された曲。大宮真琴さんの新版ハイドンによると、筆写譜の4楽章に"Tempora mutantur"との書き込みがあるのでこの標題がついたという事ですが、それが何を意味するのかはわかっていないそう。冒頭から、落ち着いていながらも楽譜に書かれたハイドンの音楽を題材にファイらしいしっかりしたアクセントと奏法上のメリハリを凝らした演奏。オーケストラのテクニックはかなりしっかりしており、管楽器以外は古楽器という編成で、スペクタクルな展開。ハイドンの音楽に新風を吹き込もうというファイの心意気が感じられる素晴らしい演奏。この演奏は全集を創る価値があると頷けるものです。そこここにちりばめられた弦楽器のレガートが印象的。録音は鮮明で、響きも固すぎず心地よい音響。
2楽章のラルゴは弱音器つきの弦楽器が奏でる静かな曲。弱音部の美しさに焦点を合わせ、かなりテンポを落としたじっくり静かな音楽。
メヌエットは弾む感じを上手く出した、軽いタッチの演奏。オケは良くそろってファイの棒に忠実についていきます。研ぎすまされた集中力によって、フレーズごとに巧みにコントロールされ、各奏者の力の入れ加減がピタリとそろったフレージングを実現。
フィナーレは、知情のバランスが非常にいい演奏。行き届いたコントロールはそのままに、音楽の推進力が増し、交響曲の結びにふさわしエネルギーをそこここで噴出。これは見事。
Hob.I:45 / Symphony No.45 "Farewell" 「告別」 [f sharp] (1772)
疾走する悲しみという言葉が相応しい入り。機知とエネルギーが満ちた素晴らしい入り。速めのテンポでぐいぐい行きます。弾む感じ、古楽器のアタック特有の快感、現代オケに負けないダイナミックレンジを感じさせながらも、一貫してファイの音楽。十分にコントロールされた見事な入りです。徐々に制御よりもエネルギーが勝るようになり素晴らしい盛り上がりを見せます。オケもいい意味で乱れた部分もあり、この交響曲に込められたエネルギーを素晴らしい表現で響きに込めています。
2楽章のアダージョは意外に素っ気ない感じで入ります。弱音器つきの弦楽器が奏でる聴きなれたメロディーを表情を抑え気味にして、ことさら磨く事なく、淡々と進めていきます。おそらく楽章間の対比が主眼にあり、この楽章自体の表現は押さえ込むという狙いだと思います。ここもじっくり静かな音楽。
3楽章のメヌエットは一転して浮き足立った展開。速めのテンポと速めに拍子を打つような速度感の演出で対比を鮮明にします。告別のメヌエットとしてはかなり速い方でしょう。
その勢いそのままにフィナーレに突入。前半は1楽章の再来のようなはち切れんばかりのエネルギーを放出。ほの暗いシュトルム・ウント・ドラング期特有のハイドンの魂が見えてくるよう。奏者が去っていく最後のアダージョにはいり、テンポと表情が落ち着きます。表情は淡々としたまま少しずつ楽器が減り、最後の弦楽器の1台になるまで表情はそのまま。抑えた表情が一層曲想を強調するような展開でした。
トーマス・ファイとシュリアバッハ室内管によるハイドンの交響曲全集第2巻。「告別」と「時の移ろい」という珍しい曲の組み合わせでしたが、その演奏はファイらしい創意と自然さを保った前衛的な側面もあるバランスの良い演奏。特に印象的なのが楽章間の対比と、告別の1楽章、4楽章の素晴らしいエネルギー感。この頃はハイドンの交響曲全集のまだ出だしでしたのでファイ自身にも緊張感が漲っていたように聴こえました。評価は両曲とも[+++++]とします。
今日は朝から雨ですが、府中は連休恒例のくらやみ祭りがはじまりました。街中に大きな太鼓の音色が轟いてます。昨年は震災の影響で中止となってしまいましたので、2年ぶりの太鼓の音色です。やはり普通のことが普通に行われるのがいいものですね。

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トーマス・ファイ(Thomas Fey)指揮のシュリアバッハ室内管弦楽団(Schlierbacher Kammerorchester)によるハイドンの交響曲64番「時の移ろい」、45番「告別」の2曲を収めたアルバム。収録はPマークが1999年で、ドイツのハイデルベルグ北方のメルレンバッハ(Mörlenbach)のコミュニティーセンターでのセッション録音。レーベルはファイの交響曲集をリリースし続けているhänssler CLASSIC。
このアルバムはファイのハイドン交響曲全集の第2巻にあたりますが、第1巻を含めて他のアルバムのオケがハイデルベルク交響楽団なのに対し、このアルバムのみシュリアバッハ室内管弦楽団と異なり、しかもHMV ONLINE上では既に廃盤というもの。調べたところシュリアバッハ室内管弦楽団はハイデルベルク交響楽団の前身で、1993年にハイデルベルク交響楽団に変わったとのこと。この巻のみ廃盤な理由はわかりませんが、ハイデルベルク交響楽団として録り直す予定でもあるのでしょうか。
このアルバムは廃盤だったので入手できていませんでしたが、ディスクユニオンでたまたま見かけたのでようやく手に入れたもの。おそらく編成の大きさのみの違いで奏者は同じ人も多いのではないかとと思いますので、オケの音色の違いはそれほどないのではないかと想像しています。ファイのハイドン交響曲全集の第2弾ということで、最近の録音との演奏の違いなどがあるかどうかが気になるところです。
これまで取りあげたレビューを紹介しておきましょう。
2011/07/06 : ハイドン–交響曲 : 【新着】トーマス・ファイの「帝国」、54番
2010/12/26 : ハイドン–協奏曲 : 【新着】トーマス・ファイのホルン協奏曲、ホルン信号
2010/08/01 : ハイドン–交響曲 : トーマス・ファイの69番、86番、87番
これまで取りあげたのは、それぞれ第7巻、14巻、15巻と比較的最近のもの。7巻の録音も2006年ということで、ファイの交響曲全集の初期のアルバムは取りあげていないことになります。この第2巻の1997年以前の録音がどのような出来かというのも興味あるところです。
Hob.I:64 / Symphony No.64 "Tempora mutantur" 「時の移ろい」 [A] (before 1778)
告別交響曲よりも少し後に作曲された曲。大宮真琴さんの新版ハイドンによると、筆写譜の4楽章に"Tempora mutantur"との書き込みがあるのでこの標題がついたという事ですが、それが何を意味するのかはわかっていないそう。冒頭から、落ち着いていながらも楽譜に書かれたハイドンの音楽を題材にファイらしいしっかりしたアクセントと奏法上のメリハリを凝らした演奏。オーケストラのテクニックはかなりしっかりしており、管楽器以外は古楽器という編成で、スペクタクルな展開。ハイドンの音楽に新風を吹き込もうというファイの心意気が感じられる素晴らしい演奏。この演奏は全集を創る価値があると頷けるものです。そこここにちりばめられた弦楽器のレガートが印象的。録音は鮮明で、響きも固すぎず心地よい音響。
2楽章のラルゴは弱音器つきの弦楽器が奏でる静かな曲。弱音部の美しさに焦点を合わせ、かなりテンポを落としたじっくり静かな音楽。
メヌエットは弾む感じを上手く出した、軽いタッチの演奏。オケは良くそろってファイの棒に忠実についていきます。研ぎすまされた集中力によって、フレーズごとに巧みにコントロールされ、各奏者の力の入れ加減がピタリとそろったフレージングを実現。
フィナーレは、知情のバランスが非常にいい演奏。行き届いたコントロールはそのままに、音楽の推進力が増し、交響曲の結びにふさわしエネルギーをそこここで噴出。これは見事。
Hob.I:45 / Symphony No.45 "Farewell" 「告別」 [f sharp] (1772)
疾走する悲しみという言葉が相応しい入り。機知とエネルギーが満ちた素晴らしい入り。速めのテンポでぐいぐい行きます。弾む感じ、古楽器のアタック特有の快感、現代オケに負けないダイナミックレンジを感じさせながらも、一貫してファイの音楽。十分にコントロールされた見事な入りです。徐々に制御よりもエネルギーが勝るようになり素晴らしい盛り上がりを見せます。オケもいい意味で乱れた部分もあり、この交響曲に込められたエネルギーを素晴らしい表現で響きに込めています。
2楽章のアダージョは意外に素っ気ない感じで入ります。弱音器つきの弦楽器が奏でる聴きなれたメロディーを表情を抑え気味にして、ことさら磨く事なく、淡々と進めていきます。おそらく楽章間の対比が主眼にあり、この楽章自体の表現は押さえ込むという狙いだと思います。ここもじっくり静かな音楽。
3楽章のメヌエットは一転して浮き足立った展開。速めのテンポと速めに拍子を打つような速度感の演出で対比を鮮明にします。告別のメヌエットとしてはかなり速い方でしょう。
その勢いそのままにフィナーレに突入。前半は1楽章の再来のようなはち切れんばかりのエネルギーを放出。ほの暗いシュトルム・ウント・ドラング期特有のハイドンの魂が見えてくるよう。奏者が去っていく最後のアダージョにはいり、テンポと表情が落ち着きます。表情は淡々としたまま少しずつ楽器が減り、最後の弦楽器の1台になるまで表情はそのまま。抑えた表情が一層曲想を強調するような展開でした。
トーマス・ファイとシュリアバッハ室内管によるハイドンの交響曲全集第2巻。「告別」と「時の移ろい」という珍しい曲の組み合わせでしたが、その演奏はファイらしい創意と自然さを保った前衛的な側面もあるバランスの良い演奏。特に印象的なのが楽章間の対比と、告別の1楽章、4楽章の素晴らしいエネルギー感。この頃はハイドンの交響曲全集のまだ出だしでしたのでファイ自身にも緊張感が漲っていたように聴こえました。評価は両曲とも[+++++]とします。
今日は朝から雨ですが、府中は連休恒例のくらやみ祭りがはじまりました。街中に大きな太鼓の音色が轟いてます。昨年は震災の影響で中止となってしまいましたので、2年ぶりの太鼓の音色です。やはり普通のことが普通に行われるのがいいものですね。
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