アントニオ・ヤニグロ/ラジオ・ザグレブ交響楽団の「受難」
前記事でとりあげたヤニグロのシュトルム・ウント・ドラング期の交響曲集。勢いでもう1曲取りあげておきましょう。

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繰り返しになりますが、アルバムを紹介。
アントニオ・ヤニグロ(Antonio Janigro)指揮のラジオ・ザグレブ交響楽団(Symphony Orchestra of Radio Zagreb)の演奏で、ハイドンの交響曲44番「悲しみ」、45番「告別」、46番、47番、48番「マリア・テレジア」、49番「受難」の6曲を収めたアルバム。収録は1963年8月19日、20日、当時はユーゴスラビア、現在はクロアチアのザグレブ(録音場所は不明)でのセッション録音。レーベルはVANGUARD CLASSICS。
今日はこの中から最後の1曲、49番「受難」です。前記事で取りあげた「悲しみ」以降、「告別」から「マリア・テレジア」までの曲はすこしゆったり感が不足した勢い重視の演奏でしたが、聴き進むと、最後の「受難」が別格の深み。
Hob.I:49 / Symphony No.49 "La passione" 「受難」 [f] (before 1768)
柔らかい木質系の響きの滔々と流れる大河のような1楽章のアダージョ。なんと構えの大きな音楽なんでしょうか。録音は「悲しみ」同様最高。たっぷりと間をとってこれ以上濃い情感を表現することが難しいほどの濃さ。それなのにくどい感じはいっさいなく、むしろさっぱりした印象さえ感じさせるのが流石なところ。弦楽器中心のオケは完璧なアンサンブル。ヤニグロの棒にピタリと張り付くような演奏。1楽章だけでも鳥肌がたつような集中力。この劇的なアダージョがハイドンが楽長に就任したばかりのエステルハーザ離宮に響き渡ったのでしょうか。
2楽章はきっちりギアチェンジして快速にはいり、深い音色はそのままにキビキビとした展開。受難と言う曲の素晴らしさを思い知らされる素晴らしい展開。アダージョから入りこの展開となる独創性、この深いメロディの連続、そしてハッとさせられるような構成。リズムの拍子を先に打つような心地よいテンポ感。すでに曲に酔いしれます。
そして慈愛に満ちたメヌエット。もはや音楽を完全に掌握しているヤニグロのコントロールは、自然にメロディーが湧き出てくるような音楽。これ以上の自然さはないくらい。シンプルなメロディーなはずですが、音楽は信じ難いほど豊かなもの。
フィナーレはオケの線がいい意味で少しばらけるような響きに聴こえますが、軽いタッチで推進力ある展開。リズムは一貫してキレよく進み、木管楽器の色彩感がアクセントをつけます。全体の構成がしっかり変化を付けている分、各楽章はそれぞれしっかり演奏するだけで、曲全体の構成感はクッキリ浮かび上がります。
チェリスト、アントニオ・ヤニグロが第二の故郷とみなしたクロアチアのザグレブのオケを振ったハイドンの交響曲集の最後を飾る交響曲49番「受難」。この曲の理想的な演奏として心に刺さる、情感深い名演奏です。各楽章の最後にテンポをかなりしっかり落とすところに時代を感じますが、この曲の楽譜の奥に潜む魂のようなものまで表現した素晴らしい演奏であると言えるでしょう。ハイドンの交響曲の名演奏として燦然と輝く価値をもった演奏です。評価はもちろん[+++++]としました。
このアルバムのレーベルであるVANGUARD CLASSICSはいいアルバムが多いですね。

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繰り返しになりますが、アルバムを紹介。
アントニオ・ヤニグロ(Antonio Janigro)指揮のラジオ・ザグレブ交響楽団(Symphony Orchestra of Radio Zagreb)の演奏で、ハイドンの交響曲44番「悲しみ」、45番「告別」、46番、47番、48番「マリア・テレジア」、49番「受難」の6曲を収めたアルバム。収録は1963年8月19日、20日、当時はユーゴスラビア、現在はクロアチアのザグレブ(録音場所は不明)でのセッション録音。レーベルはVANGUARD CLASSICS。
今日はこの中から最後の1曲、49番「受難」です。前記事で取りあげた「悲しみ」以降、「告別」から「マリア・テレジア」までの曲はすこしゆったり感が不足した勢い重視の演奏でしたが、聴き進むと、最後の「受難」が別格の深み。
Hob.I:49 / Symphony No.49 "La passione" 「受難」 [f] (before 1768)
柔らかい木質系の響きの滔々と流れる大河のような1楽章のアダージョ。なんと構えの大きな音楽なんでしょうか。録音は「悲しみ」同様最高。たっぷりと間をとってこれ以上濃い情感を表現することが難しいほどの濃さ。それなのにくどい感じはいっさいなく、むしろさっぱりした印象さえ感じさせるのが流石なところ。弦楽器中心のオケは完璧なアンサンブル。ヤニグロの棒にピタリと張り付くような演奏。1楽章だけでも鳥肌がたつような集中力。この劇的なアダージョがハイドンが楽長に就任したばかりのエステルハーザ離宮に響き渡ったのでしょうか。
2楽章はきっちりギアチェンジして快速にはいり、深い音色はそのままにキビキビとした展開。受難と言う曲の素晴らしさを思い知らされる素晴らしい展開。アダージョから入りこの展開となる独創性、この深いメロディの連続、そしてハッとさせられるような構成。リズムの拍子を先に打つような心地よいテンポ感。すでに曲に酔いしれます。
そして慈愛に満ちたメヌエット。もはや音楽を完全に掌握しているヤニグロのコントロールは、自然にメロディーが湧き出てくるような音楽。これ以上の自然さはないくらい。シンプルなメロディーなはずですが、音楽は信じ難いほど豊かなもの。
フィナーレはオケの線がいい意味で少しばらけるような響きに聴こえますが、軽いタッチで推進力ある展開。リズムは一貫してキレよく進み、木管楽器の色彩感がアクセントをつけます。全体の構成がしっかり変化を付けている分、各楽章はそれぞれしっかり演奏するだけで、曲全体の構成感はクッキリ浮かび上がります。
チェリスト、アントニオ・ヤニグロが第二の故郷とみなしたクロアチアのザグレブのオケを振ったハイドンの交響曲集の最後を飾る交響曲49番「受難」。この曲の理想的な演奏として心に刺さる、情感深い名演奏です。各楽章の最後にテンポをかなりしっかり落とすところに時代を感じますが、この曲の楽譜の奥に潜む魂のようなものまで表現した素晴らしい演奏であると言えるでしょう。ハイドンの交響曲の名演奏として燦然と輝く価値をもった演奏です。評価はもちろん[+++++]としました。
このアルバムのレーベルであるVANGUARD CLASSICSはいいアルバムが多いですね。
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