モスクワ室内管のチェロ、ヴァイオリン、ピアノとヴァイオリンのための協奏曲集
しばらくの湖無沙汰でした。葬儀や手続きなども一段落して、ようやく落ち着いてきました。今週は日常に戻るために少し記事を書こうと思っていましたが、ほとんど実家泊まりでブログを書く時間がとれず、結局週末になってしまいました。
今日は未聴盤ボックスの一番上にあった気になるアルバム。

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モスクワ室内管弦楽団(The Moscow Chamber Orchestra)によるハイドンの協奏曲3曲を収めたアルバム。レフ・マルキス(Lev Markiz)指揮、ナターリャ・グートマン(Nataria Gutman)のチェロによるチェロ協奏曲1番、ルドルブ・バルシャイ(Rudolf Barshai)指揮、ウラディーミル・スピヴァコフ(Vladimir Spivakov)のヴァイオリンでヴァイオリン協奏曲(VIIa:1)、そしてヴァレンチン・ジューク(Valentin Zhuk)指揮、ナターリャ・ゼルツァロワ(Nataria Zertsalova)のピアノとイーゴリ・オイストラフ(Igor Oistrakh)のヴァイオリンでピアノとヴァイオリンのための協奏曲(XVIII:6)。収録は曲順に1974年6月23日、1972年6月15日、1984年5月20日、何れもラジオモスクワのコンサートホールでの録音。拍手はないので放送用録音でしょうか。
モスクワ室内管弦楽団は以前、コンスタンチン・オルベリアンの指揮で告別交響曲の素晴らしい演奏が記憶に残っています。以前の記事はこちら。
2011/09/05 : ハイドン–交響曲 : コンスタンチン・オルベリアン/モスクワ室内管の告別
このアルバムは先月ディスクユニオンで手に入れたもの。指揮者は異なるものの、あの濃密な響きか聴けるかということで手に入れました。
モスクワ室内管弦楽団はライナー・ノーツによると1956年にルドルフ・バルシャイによって設立された室内管弦楽団。当時の国内のコンクール入賞者などをメンバーにして設立されたもので、発足当初から名手ぞろいのオケ。当時のソビエト国内はもとより国際的に活躍し有名になったとのこと。バロック期から現代音楽まで幅広いレパートリーを誇り、ショスタコーヴィチの交響曲14番「死者の歌」はモスクワ室内管が初演した曲。またレオニード・コーガン、ダヴィッド・オイストラフ、リヒテル、メニューイン、カサド、ギレリスなどロシアの一流のソリストとも共演しています。歴代の音楽監督はルドルフ・バルシャイ以後、1977年から1981年までイーゴリ・ベズロドヌイ、1986年から1991年までヴィクトル・トレチャコフ、1991年から2009年までコンスタンティン・オルベリアン(ロシア語版)、2010年からアレクセイ・ウトキンと続いています。
オケは共通ながら指揮者もソロも別ということで、曲のレビューごとに奏者を紹介しましょう。
Hob.VIIb:1 / Cello Concerto No.1 [C] (1765-7)
指揮のレフ・マルキスはモスクワ室内管の初代コンサートマスター。チェロのナターリャ・グートマンは1942年生まれのソ連出身のチェリストである。夫はヴァイオリニストのオレグ・カガン。
反応の良いオケは期待通り。速めのテンポでキビキビとした入りの序奏。チェロのグートマンはテンポ感良く非常にオーソドックスな演奏。チェロの表情は中低音のふくよか響きを中心としたもの。オーソドックスなチェロとオケの掛け合いを堪能できる安心して聴ける演奏。腕の確かな奏者とオケが余裕たっぷりに弾流すような演奏。録音は1970年代としては水準でしょうか。適度に柔らかく定位感もそこそこあり、響きのブレンドが美しい録音。もう少し鮮明であれば言う事はありません。グートマンのチェロは自然体で楽器を良く鳴らした癖のないもの。1楽章のカデンツァもテクニックは十分ながら破綻なく無理のない演奏。高い音楽性を感じる演奏。
見事なのは2楽章のアダージョ。かなりテンポを落として、訥々とした孤高の表現。オケがゆったりと伴奏を奏で、チェロは表情を抑え気味にしながらも長く糸を引くような非常に印象的な演奏。決して流麗で表情豊かな演奏ではありませんが、独特の表情付けが心に染み入るフレージング。時折聴かせる低音の深い慟哭のようなアクセントが印象的。次第に音量と表現の幅を大きくしていき、大きな起伏をつけます。徐々にチェロがむせび泣くような激しい表現を見せるようになり、ハイドンの規律ある音楽の湧く一杯の感情表現。この楽章の深い表現は見事。
フィナーレはテンポは中庸ながら、鮮度の高いオーケストラの魅力を冒頭から遺憾なく発揮。流石モスクワ室内管というべき絢爛豪華な響き。見事な切り替えでチェロも軽さを取り戻し、オケの流れに上手く乗っていきます。前楽章と対比を鮮明につけるためにリズム感を強調した演奏。チェロの上下する音階を上手くこなして、要所で美音を聴かせます。テクニシャン揃いのモスクワ室内管に一歩もひけをとらないチェロ。協奏曲のソロとオケの掛け合いが安定したテンポの流れに乗ってスリリングに展開する様は協奏曲を聴く醍醐味。1曲目からなかなか素晴らしい出来でした。
Hob.VIIa:1 / Violin Concerto [C] (c.1765)
つづいてルドルブ・バルシャイの指揮、ウラディーミル・スピヴァコフのヴァイオリンでのヴァイオリン協奏曲。バルシャイは日本でも有名な人でしょう。1924年ロシアの黒海に近いラビンスカヤ生まれの指揮者。ラビンスカヤを地図で見ると次回冬期オリンピックが開催されるソチのすぐ近くですね。バルシャイは先に触れたようにモスクワ室内管の生みの親であり、1976年にイスラエルに亡命以降は西側でも活躍し、日本にも1966年以来たびたび来日しN饗も振っているとのこと。ショスタコーヴィチなどを得意としているほかハイドンの交響曲の録音もあります。ウラディーミル・スピヴァコフは1944年生まれのロシアのヴァイオリニスト、指揮者。当ブログでも以前モスクワ・ヴィルトトゥージ室内管弦楽団を指揮したナカリャコフとのトランペット協奏曲を取りあげています。
指揮者がバルシャイに変わり分厚い響きから入ります。ちょっと荒々しさも加わり同じオケ、近い時期の演奏にもかかわらず、響きが変わります。堂々とした序奏。スピヴァコフのヴァイオリンは張りつめた強音を主体とした浸透力のある響き。旋律をクッキリと線で描いていく感じです。前曲のチェロ協奏曲よりは濃いめの表現。ヴァイオリンも練り、溜めが多くまた表情も鮮明につけてくるのでロマン派風というよりロシア風なテイスト。ハイドンの協奏曲としてはかなりロマンチックな演奏と言えるでしょう。録音はちょっと饐えたような音色で時代を感じますが鮮明さはそこそこあります。1楽章はクッキリした造形を良く表現した演奏。
このオケの伝統なのか、2楽章のアダージョは前曲同様、ゆったりしたテンポ、訥々とした伴奏に、張り詰めたヴァイオリンの美音によるメロディーが鳴り響く独特の音楽。スピヴァコフのヴァイオリンの表情の濃さが影を潜め、非常に浸透力のあるメロディーラインをきっちり描いていきます。2楽章は前曲に続き素晴らしいテンション。
フィナーレも見事に切り替え、曲の骨格をしっかりと描くようなリズムを強調した演奏。むしろ遅目のテンポで、オケの伴奏はざっくりとリズムを刻み、その上でソロが秩序を保ちながらの自在さを表現していきます。すこし時代がかった演奏にも聴こえます。
Hob.XVIII:6 / Concerto per violino, cembalo e orchestra [F] (1766)
だいぶ時代が下って1984年の演奏。ヴァレンチン・ジューク指揮、ナターリャ・ゼルツァロワのピアノとイーゴリ・オイストラフのヴァイオリン。指揮者のヴァレンチン・ジュークはモスクワ生まれで父はボリショイ劇場管弦楽団、のちの国立交響楽団のコンサートマスター、ボリショイ弦楽四重奏団の第1ヴァイオリンとして知られた人。自身もモスクワ・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターをつとめ、スヴェトラーノフ、コンドラシン、ロジェストヴェンスキー等と共演しています。イーゴリ・オイストラフは名ヴァイオリニスト、ダヴィッド・オイストラフの息子。そしてピアノのナターリャ・ゼルツァロワはその奥さんという事です。
この録音は80年代の録音ということで鮮明さがだいぶ上がり、最近の録音と遜色ない音響。くっきり定位するソロと後ろに広がるオーケストラが鮮明に録られてています。入りはそよ風のような軽やかなオケ。音階を軽々と表現して、曲を虚心坦懐に音に変えていく感じ。ジュークの指揮は鮮度高くクッキリと旋律を描いていくことを狙っているようですね。非常にオーソドックスに鮮明な音響を作っています。ピアノとヴァイオリンは流石夫婦だけあって絶妙の相性。特にピアノ鮮明な響きが印象的。ヴァイオリンは父親譲りかと思いきや、音色に面影はあるもののピアノに主導権を譲りながら控えめにリズムを刻む感じ。ピアノも晴朗さと透明感を主体とした非常に美しい音色でこの協奏曲をもり立てます。
そしてここでも2楽章のラルゴが絶品。この曲のメロディーラインの美しさを万全に表現した名演。ゆったりと控えめなピチカートの伴奏につづき、ヴァイオリンとピアノによるきらめくような名旋律。中間部を挟んで再度メロディーラインが繰り返されるフレーズでは美しさが極まり、淡々と演奏される数少ない音符が宝石のごとく輝きを放つ至福の時間。このアルバムの2楽章はどれも絶品。
3楽章は普通のテンポで鮮度高い演奏。ヴァイオリンもピアノもリズムに上手く乗って、キレのよい演奏。このアルバムではじめてのオーソドックスなテンポのフィナーレです。
名手ぞろいのモスクワ室内管によるハイドンの協奏曲を集めたアルバム。指揮者もソロも異なるのになぜか2楽章がそれぞれ訥々と語るような素晴らしい出来のアルバム。2楽章だけで言えば全曲ともに最高の出来。特に最後のピアノとヴァイオリンのための協奏曲のラルゴは絶品ですね。モスクワ室内管もチェロ協奏曲とヴァイオリン協奏曲の70年代はかなり濃密な響きを聴かせましたが、ピアノとヴァイオリンのための協奏曲は80年代でかなり引き締まったクリアな響きに変貌。メンバーもだいぶ入れ替わったのではないかと想像されます。評価はチェロ協奏曲とピアノとヴァイオリンのための協奏曲が[++++]、ヴァイオリン協奏曲は[+++]とします。両端の曲ともにいいのですが、やはりオルベリアンの告別と比べると差があるのも事実。ということで[++++]にとどめました。
ここ2週間ほど自宅を開けがちたったのか、ベランダのエアコンの室外機の下の隙間に鳩がきていましたが、よく見ると卵が! まわりの枯れ葉等も鳩がもってきたもののようです。しばらく自宅に誰もいなかったからでしょうか。

ただ、人の気配を感じて昨日あたりから鳩は来なくなりました。冷えてしまうと生まれないのでしょうね。この卵どうしたらいいでしょうか。
今日は未聴盤ボックスの一番上にあった気になるアルバム。
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モスクワ室内管弦楽団(The Moscow Chamber Orchestra)によるハイドンの協奏曲3曲を収めたアルバム。レフ・マルキス(Lev Markiz)指揮、ナターリャ・グートマン(Nataria Gutman)のチェロによるチェロ協奏曲1番、ルドルブ・バルシャイ(Rudolf Barshai)指揮、ウラディーミル・スピヴァコフ(Vladimir Spivakov)のヴァイオリンでヴァイオリン協奏曲(VIIa:1)、そしてヴァレンチン・ジューク(Valentin Zhuk)指揮、ナターリャ・ゼルツァロワ(Nataria Zertsalova)のピアノとイーゴリ・オイストラフ(Igor Oistrakh)のヴァイオリンでピアノとヴァイオリンのための協奏曲(XVIII:6)。収録は曲順に1974年6月23日、1972年6月15日、1984年5月20日、何れもラジオモスクワのコンサートホールでの録音。拍手はないので放送用録音でしょうか。
モスクワ室内管弦楽団は以前、コンスタンチン・オルベリアンの指揮で告別交響曲の素晴らしい演奏が記憶に残っています。以前の記事はこちら。
2011/09/05 : ハイドン–交響曲 : コンスタンチン・オルベリアン/モスクワ室内管の告別
このアルバムは先月ディスクユニオンで手に入れたもの。指揮者は異なるものの、あの濃密な響きか聴けるかということで手に入れました。
モスクワ室内管弦楽団はライナー・ノーツによると1956年にルドルフ・バルシャイによって設立された室内管弦楽団。当時の国内のコンクール入賞者などをメンバーにして設立されたもので、発足当初から名手ぞろいのオケ。当時のソビエト国内はもとより国際的に活躍し有名になったとのこと。バロック期から現代音楽まで幅広いレパートリーを誇り、ショスタコーヴィチの交響曲14番「死者の歌」はモスクワ室内管が初演した曲。またレオニード・コーガン、ダヴィッド・オイストラフ、リヒテル、メニューイン、カサド、ギレリスなどロシアの一流のソリストとも共演しています。歴代の音楽監督はルドルフ・バルシャイ以後、1977年から1981年までイーゴリ・ベズロドヌイ、1986年から1991年までヴィクトル・トレチャコフ、1991年から2009年までコンスタンティン・オルベリアン(ロシア語版)、2010年からアレクセイ・ウトキンと続いています。
オケは共通ながら指揮者もソロも別ということで、曲のレビューごとに奏者を紹介しましょう。
Hob.VIIb:1 / Cello Concerto No.1 [C] (1765-7)
指揮のレフ・マルキスはモスクワ室内管の初代コンサートマスター。チェロのナターリャ・グートマンは1942年生まれのソ連出身のチェリストである。夫はヴァイオリニストのオレグ・カガン。
反応の良いオケは期待通り。速めのテンポでキビキビとした入りの序奏。チェロのグートマンはテンポ感良く非常にオーソドックスな演奏。チェロの表情は中低音のふくよか響きを中心としたもの。オーソドックスなチェロとオケの掛け合いを堪能できる安心して聴ける演奏。腕の確かな奏者とオケが余裕たっぷりに弾流すような演奏。録音は1970年代としては水準でしょうか。適度に柔らかく定位感もそこそこあり、響きのブレンドが美しい録音。もう少し鮮明であれば言う事はありません。グートマンのチェロは自然体で楽器を良く鳴らした癖のないもの。1楽章のカデンツァもテクニックは十分ながら破綻なく無理のない演奏。高い音楽性を感じる演奏。
見事なのは2楽章のアダージョ。かなりテンポを落として、訥々とした孤高の表現。オケがゆったりと伴奏を奏で、チェロは表情を抑え気味にしながらも長く糸を引くような非常に印象的な演奏。決して流麗で表情豊かな演奏ではありませんが、独特の表情付けが心に染み入るフレージング。時折聴かせる低音の深い慟哭のようなアクセントが印象的。次第に音量と表現の幅を大きくしていき、大きな起伏をつけます。徐々にチェロがむせび泣くような激しい表現を見せるようになり、ハイドンの規律ある音楽の湧く一杯の感情表現。この楽章の深い表現は見事。
フィナーレはテンポは中庸ながら、鮮度の高いオーケストラの魅力を冒頭から遺憾なく発揮。流石モスクワ室内管というべき絢爛豪華な響き。見事な切り替えでチェロも軽さを取り戻し、オケの流れに上手く乗っていきます。前楽章と対比を鮮明につけるためにリズム感を強調した演奏。チェロの上下する音階を上手くこなして、要所で美音を聴かせます。テクニシャン揃いのモスクワ室内管に一歩もひけをとらないチェロ。協奏曲のソロとオケの掛け合いが安定したテンポの流れに乗ってスリリングに展開する様は協奏曲を聴く醍醐味。1曲目からなかなか素晴らしい出来でした。
Hob.VIIa:1 / Violin Concerto [C] (c.1765)
つづいてルドルブ・バルシャイの指揮、ウラディーミル・スピヴァコフのヴァイオリンでのヴァイオリン協奏曲。バルシャイは日本でも有名な人でしょう。1924年ロシアの黒海に近いラビンスカヤ生まれの指揮者。ラビンスカヤを地図で見ると次回冬期オリンピックが開催されるソチのすぐ近くですね。バルシャイは先に触れたようにモスクワ室内管の生みの親であり、1976年にイスラエルに亡命以降は西側でも活躍し、日本にも1966年以来たびたび来日しN饗も振っているとのこと。ショスタコーヴィチなどを得意としているほかハイドンの交響曲の録音もあります。ウラディーミル・スピヴァコフは1944年生まれのロシアのヴァイオリニスト、指揮者。当ブログでも以前モスクワ・ヴィルトトゥージ室内管弦楽団を指揮したナカリャコフとのトランペット協奏曲を取りあげています。
指揮者がバルシャイに変わり分厚い響きから入ります。ちょっと荒々しさも加わり同じオケ、近い時期の演奏にもかかわらず、響きが変わります。堂々とした序奏。スピヴァコフのヴァイオリンは張りつめた強音を主体とした浸透力のある響き。旋律をクッキリと線で描いていく感じです。前曲のチェロ協奏曲よりは濃いめの表現。ヴァイオリンも練り、溜めが多くまた表情も鮮明につけてくるのでロマン派風というよりロシア風なテイスト。ハイドンの協奏曲としてはかなりロマンチックな演奏と言えるでしょう。録音はちょっと饐えたような音色で時代を感じますが鮮明さはそこそこあります。1楽章はクッキリした造形を良く表現した演奏。
このオケの伝統なのか、2楽章のアダージョは前曲同様、ゆったりしたテンポ、訥々とした伴奏に、張り詰めたヴァイオリンの美音によるメロディーが鳴り響く独特の音楽。スピヴァコフのヴァイオリンの表情の濃さが影を潜め、非常に浸透力のあるメロディーラインをきっちり描いていきます。2楽章は前曲に続き素晴らしいテンション。
フィナーレも見事に切り替え、曲の骨格をしっかりと描くようなリズムを強調した演奏。むしろ遅目のテンポで、オケの伴奏はざっくりとリズムを刻み、その上でソロが秩序を保ちながらの自在さを表現していきます。すこし時代がかった演奏にも聴こえます。
Hob.XVIII:6 / Concerto per violino, cembalo e orchestra [F] (1766)
だいぶ時代が下って1984年の演奏。ヴァレンチン・ジューク指揮、ナターリャ・ゼルツァロワのピアノとイーゴリ・オイストラフのヴァイオリン。指揮者のヴァレンチン・ジュークはモスクワ生まれで父はボリショイ劇場管弦楽団、のちの国立交響楽団のコンサートマスター、ボリショイ弦楽四重奏団の第1ヴァイオリンとして知られた人。自身もモスクワ・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターをつとめ、スヴェトラーノフ、コンドラシン、ロジェストヴェンスキー等と共演しています。イーゴリ・オイストラフは名ヴァイオリニスト、ダヴィッド・オイストラフの息子。そしてピアノのナターリャ・ゼルツァロワはその奥さんという事です。
この録音は80年代の録音ということで鮮明さがだいぶ上がり、最近の録音と遜色ない音響。くっきり定位するソロと後ろに広がるオーケストラが鮮明に録られてています。入りはそよ風のような軽やかなオケ。音階を軽々と表現して、曲を虚心坦懐に音に変えていく感じ。ジュークの指揮は鮮度高くクッキリと旋律を描いていくことを狙っているようですね。非常にオーソドックスに鮮明な音響を作っています。ピアノとヴァイオリンは流石夫婦だけあって絶妙の相性。特にピアノ鮮明な響きが印象的。ヴァイオリンは父親譲りかと思いきや、音色に面影はあるもののピアノに主導権を譲りながら控えめにリズムを刻む感じ。ピアノも晴朗さと透明感を主体とした非常に美しい音色でこの協奏曲をもり立てます。
そしてここでも2楽章のラルゴが絶品。この曲のメロディーラインの美しさを万全に表現した名演。ゆったりと控えめなピチカートの伴奏につづき、ヴァイオリンとピアノによるきらめくような名旋律。中間部を挟んで再度メロディーラインが繰り返されるフレーズでは美しさが極まり、淡々と演奏される数少ない音符が宝石のごとく輝きを放つ至福の時間。このアルバムの2楽章はどれも絶品。
3楽章は普通のテンポで鮮度高い演奏。ヴァイオリンもピアノもリズムに上手く乗って、キレのよい演奏。このアルバムではじめてのオーソドックスなテンポのフィナーレです。
名手ぞろいのモスクワ室内管によるハイドンの協奏曲を集めたアルバム。指揮者もソロも異なるのになぜか2楽章がそれぞれ訥々と語るような素晴らしい出来のアルバム。2楽章だけで言えば全曲ともに最高の出来。特に最後のピアノとヴァイオリンのための協奏曲のラルゴは絶品ですね。モスクワ室内管もチェロ協奏曲とヴァイオリン協奏曲の70年代はかなり濃密な響きを聴かせましたが、ピアノとヴァイオリンのための協奏曲は80年代でかなり引き締まったクリアな響きに変貌。メンバーもだいぶ入れ替わったのではないかと想像されます。評価はチェロ協奏曲とピアノとヴァイオリンのための協奏曲が[++++]、ヴァイオリン協奏曲は[+++]とします。両端の曲ともにいいのですが、やはりオルベリアンの告別と比べると差があるのも事実。ということで[++++]にとどめました。
ここ2週間ほど自宅を開けがちたったのか、ベランダのエアコンの室外機の下の隙間に鳩がきていましたが、よく見ると卵が! まわりの枯れ葉等も鳩がもってきたもののようです。しばらく自宅に誰もいなかったからでしょうか。

ただ、人の気配を感じて昨日あたりから鳩は来なくなりました。冷えてしまうと生まれないのでしょうね。この卵どうしたらいいでしょうか。
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