アマティ四重奏団のOp.77

弦楽四重奏が続きます。今日もハイドンと現代音楽の組み合わせ。

AmatiQuartet.jpg
HMV ONLINEicon / amazon

アマティ四重奏団(Amati Quartett)の演奏によるハイドンの弦楽四重奏曲Op.77のNo.1とNo.2の2曲とヘルマン・ハラーの弦楽四重奏曲3番とウラディミール・フォーゲルの「響きの発想」という現代音楽2曲を組み合わせたアルバム。ハイドンの収録は1988年2月18日、19日、スイスのベルン近郊のブルーメンスタインの教会でのセッション録音。レーベルはスイスのDIVOX。

前記事のアマリリス四重奏団では、ハイドンの間にヴェーベルンが演奏されていましたが、今日のアルバムではハイドンの間にヘルマン・ハラーという人の弦楽四重奏曲、末尾にはウラディーミル・フォーゲルのなかなかユニークな曲が置かれています。

アマティ四重奏団は1981年に設立されたクァルテット。チューリッヒが本拠地のようです。1982年にエヴィアン国際コンクールで優勝、1983年にチューリッヒ市芸術賞、1986年にはミュンヘンのカール・クリンガー・コンクールで優勝する等実力派クァルテット。レパートリーは古典派、ロマン派のみならず、現代音楽も得意とし、多くの作曲家の作品を初演しているそうです。また、弦楽四重奏に加えて、声楽家やピアノ、木管楽器などを加えたアンサンブルにも積極的に取り組んでいるとのことです。

このアルバムのハイドンの演奏メンバーは下記のとおり。

第1ヴァイオリン:ウィリィ・ツィマーマン(Willi Zimmermann)
第2ヴァイオリン:バーバラ・スター(Babara Suter)
ヴィオラ:ニコラス・コルティ(Nicholas Corti)
チェロ:ヨハネス・デギャン(Johannes Degan)

Hob.III:81 / String Quartet Op.77 No.1 [G] (1799)
ハイドンが天地創造の作曲を終えた、晩年の作品。リズムが弾んで心地よい演奏。前記事のアマリリス四重奏団とは全く異なるアプローチ。正確に刻まれるリズムにのって推進力溢れるクリアな演奏。どちらかというと明るく楽天的な演奏。素晴らしいのはめくるめく色彩感。ヴァイオリンを中心にクリアに録られた各楽器のそれぞれの音色が織りなす多彩な響き。安心して響きの変化に耳をゆだねることができます。録音はスピーカーより少し後ろにクリアに定位するクァルテットの響きがクリアに録られ、音像も引き締まったいい録音。開始から息をもつかせず、一貫して美しい響きを聴かせ続けられ、ハイドンの名旋律を純粋に楽しめる演奏。
2楽章のアダージョは各楽器がそれぞれ非常にしっかりとフレーズを刻んでいっていることがよくわかります。アンサンブルがよく揃って、それぞれぞれの音色も非常に統一感のあるもの。特にチェロの揺るぎない図太いに音色が印象に残ります。安心して聴いていられる素晴らしい安定感。
3楽章のメヌエットはヴァイオリンの美音と引き締まったアクセントが素晴らしいもの。自然に流れる音楽ですが、素晴らしいメリハリがその音楽を支えています。一貫して速めのテンポが曲の構築感を強調。
フィナーレも速め。流れるような音階と時折楔を打つように入るアクセントが変化を付けます。晩年のこの四重奏曲を新鮮な響きで蘇らせた見事な演奏でしょう。

Hob.III:82 / String Quartet Op.77 No.2 [F] (1799)
この曲でも明るい音色のヴァイオリンをはじめとする弦楽器が弾むリズムにのってはじまります。やはり楽天的な印象が強い印象ですが、各楽器の緻密なフレージングと響きの変化があって、ただの楽天的な演奏ではありません。コントロールされた美しい響き。1曲目と同様演奏の精度は高く、ムラはありません。最後のフレーズは少しテンポを落として変化を付けます。
2楽章はメヌエット。入りはまさに流麗な演奏。速めのテンポでしかも華麗な弓さばき。一気呵成にフレーズを奏でます。中間部は非常に抑えて弓が弦に振れる程度の力でそっとフレーズを奏でます。暖かな音色ながら鳥肌がたつような静けさを感じさせるところが秀逸。再び導入部のフレーズに戻り、チェロも分厚い音色でサポートします。
3楽章は有名なアンダンテ。どことなく前後の楽章と合わない印象をいつも感じる曲ですが、アマティ四重奏団の演奏は前後のつながりは悪くなく、自然な入り。シンプルな曲調の曲だけにこのクァルテットの演奏スタイルによって抑えた中にも表情の変化を感じる名演奏になっています。ヴィオラやチェロの奏でるメロディーに対して、ヴァイオリンが自在に装飾をを加え表情を豊かにしています。この楽章、絶品です。
静寂に楔を打つようにトゥッティから入ります。この楽章は力が入っています。ヴァイオリンの刻む音階と、各楽器を受け継ぎながら進むメロディーが見事の一言。曲中にいくつかの峰が現れ、それを次々に縦走で超えていくような印象。落ち着きながらも徐々にダイナミックな響きを帯び、音のキレも増してきます。最後はじっくり溜めてフィニッシュ。

さて、はじめて聴くアマティ四重奏団のハイドンの弦楽四重奏曲は正統派の素晴らしい演奏でした。クァルテットの楽器のそのものの楽器の美しい音色、キレのいいテンポと推進力、多彩な音色の変化などを味わえる珠玉の出来。このクァルテットはまったく把握していませんでした。評価は両曲とも[+++++]とします。

両曲の間と最後に挿入された現代音楽。現代音楽ならではのタイトな響きと適度に抑えた表現が醸し出す絶妙な緊張感が素晴らしい出来。この2曲も存在は知らない曲でしたが、前記事のアマリリス四重奏団よりも明らかに音楽にマッチした演奏に聴こえます。こちらもオススメです。
関連記事

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : 弦楽四重奏曲Op.77

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Daisy


Author:Daisy

ハイドン(Franz Joseph Haydn)の膨大な録音をコツコツ集めてレビューしております。好きなものはお酒全般(ワイン、日本酒、モルトなど)、美味しいものを食べること、料理、鄙びた温泉めぐり、歌舞伎見物、スポーツクラブで泳ぐこと(美味しいお酒を呑むため!)などなど。私はなぜハイドンにはまったのか?

最新記事
カテゴリ
ハイドン所有盤リスト
Joseph Haydn Discography
所有盤をジャンル別にリスト化しています。基本的に録音年順とし、録音年不明のものはリスト冒頭に記載。演奏者名はジャケットなどの表記に合わせています。

登録曲数:1,365
登録演奏数:11,529
(2019年3月31日)
タグリスト
クリックするとそのタグに関する記事が表示されます。特定の曲に関する記事の表示ができます。

ピアノ協奏曲XVIII:4軍隊ヒストリカル交響曲93番交響曲70番ピアノ協奏曲XVIII:11交響曲80番交響曲81番トランペット協奏曲ヴァイオリンとピアノのための協奏曲XVIII:6悲しみロンドンオックスフォードモーツァルト交響曲4番ヨハン・クリスチャン・バッハピアノソナタXVI:51豚の去勢にゃ8人がかりピアノ三重奏曲十字架上のキリストの最後の七つの言葉スカルラッティヘンデルラモーバッハ驚愕ショスタコーヴィチシェーンベルク弦楽四重奏曲Op.76ドヴォルザークベートーヴェン交響曲75番チェロ協奏曲ホルン協奏曲古楽器時計弦楽四重奏曲Op.50アンダンテと変奏曲XVIII:6弦楽四重奏曲Op.54弦楽四重奏曲Op.64弦楽四重奏曲Op.20天地創造ヴォルフレスピーギヨハン・シュトラウスリヒャルト・シュトラウスタリスリゲティ交響曲10番ピアノソナタXVI:49迂闊者交響曲54番ネルソンミサバリトン三重奏曲トマジーニピアノソナタXVI:52交響曲2番ピアノソナタXVI:37ピアノソナタXVI:46日の出皇帝弦楽四重奏曲Op.71交響曲88番ブルックナーベルリオーズナッセンベンジャミンウェーベルンメシアンシェルシグリゼーヴァレーズOp.20弦楽四重奏曲交響曲67番交響曲65番交響曲9番交響曲39番狩り交響曲73番交響曲61番リームピアノソナタXVI:6ピアノソナタXVI:20ピアノソナタXVI:48アンダンテと変奏曲XVII:6四季交響曲全集ラヴェルリムスキー・コルサコフピアノソナタXVI:21ピアノソナタXVI:44ピアノソナタXVI:45第九太鼓連打交響曲99番ボッケリーニシューベルト交響曲5番ストラヴィンスキーチャイコフスキーライヴ弦楽四重奏曲Op.2序曲ヴィヴァルディオペラ序曲パイジェッロアリア集ピアノとヴァイオリンのための協奏曲XVIII:6すみだトリフォニーホールピアノソナタXVI:34ブーレーズサントリーホール弦楽四重奏曲Op.74騎士オルランド無人島哲学者の魂、またはオルフェオとエウリディーチェ変わらぬまことアルミーダチマローザ英語カンツォネッタ集ピアノ協奏曲XVIII:1ピアノ協奏曲XVIII:3交響曲3番ラメンタチオーネアレルヤ交響曲79番チェロ協奏曲1番交響曲27番交響曲19番交響曲58番紀尾井ホールドビュッシーミューザ川崎協奏交響曲オーボエ協奏曲LPヴァイオリンとヴィオラのためのソナタピアノソナタXVI:40ピアノソナタXVI:50ピアノソナタXVI:32ピアノソナタXVI:38ピアノソナタXVI:29スタバト・マーテルピアノソナタXVI:39マーラー告別交響曲90番交響曲97番交響曲18番奇跡ひばりフルート三重奏曲交響曲102番交響曲86番ヴァイオリン協奏曲哲学者ミサブレヴィスニコライミサ小オルガンミサ交響曲95番交響曲78番ピアノソナタXVI:23王妃武満徹ライヴ録音SACDマリア・テレジア交響曲21番クラヴィコードBlu-ray東京オペラシティ交響曲11番交響曲12番交響曲15番交響曲37番交響曲1番ピアノソナタXVI:8ピアノソナタXVI:42ピアノソナタXVI:25ピアノソナタXVI:14ピアノソナタXVI:2ピアノソナタXVI:12ピアノソナタXVI:4ピアノソナタXVI:1ピアノソナタXVI:5ピアノソナタXVI:3ディヴェルティメント東京芸術劇場交響曲98番ピアノソナタXVI:7ピアノソナタXVI:36ピアノソナタXVI:35ロッシーニドニぜッティライヒャ弦楽三重奏曲東京文化会館フルート協奏曲弦楽四重奏曲Op.9弦楽四重奏曲Op.17剃刀弦楽四重奏曲Op.103弦楽四重奏曲Op.77ピアノソナタXVI:26ファンタジアXVII:4ピアノソナタXVI:31アレグリバードモンテヴェルディパレストリーナ美人奏者ピアノ協奏曲XVIII:7アコーディオンスコットランド歌曲ヴェルナーガスマンピアノソナタXVI:24交響曲51番交響曲35番交響曲46番DVD交響曲47番テレジアミサピアノソナタXVI:28アリエッタと12の変奏XVII:3ラ・ロクスラーヌ帝国ハイドンのセレナード五度ラルゴラウドン将軍弦楽四重奏曲Op.33弦楽四重奏曲Op.1騎士交響曲17番ピアノソナタXVI:27シベリウス時の移ろい交響曲42番ベルリンフィルホルン信号弦楽四重奏曲Op.55交響曲87番リュートピアノソナタXVI:10ピアノ五重奏曲チェチーリアミサラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン東京国際フォーラム雌鶏冗談ナクソスのアリアンナピアノ協奏曲XVIII:5ピアノ協奏曲XVIII:9ヴァイオリンソナタ交響曲52番ピアノ協奏曲XVIII:2ロンドン・トリオモテットドイツ国歌カノンオフェトリウムよみうり大手町ホールパッヘルベルアダージョXVII:9受難パリセット交響曲84番ベルク主題と6つの変奏オペラアリアピアノソナタXVI:41スクエアピアノ交響曲57番交響曲68番リラ・オルガニザータ協奏曲交響曲50番交響曲89番CD-R偽作トビアの帰還ホルン三重奏曲薬剤師オルガン協奏曲火事交響曲38番リベラ・メピアノ協奏曲XVIII:10交響曲34番交響曲77番温泉フルートソナタドイツ舞曲誕生日校長先生ピアノソナタXVI:47bisピアノ小品音楽時計曲ピアノソナタXVI:11カートリッジ雅楽プロコフィエフサン=サーンス交響曲36番リストオーディオバリトン二重奏曲交響曲91番交響曲66番長岡鉄男歌舞伎おすすめ盤ピアノソナタXVI:47読売日響オペラ歌舞伎座スケルツァンド弦楽四重奏曲op.33ザルツブルク音楽祭変奏曲XVII:7ピアノソナタXVI:22天地創造ミサジャズ弦楽四重奏曲Op.42交響曲76番ピアノソナタXVI:43古楽器風東急文化村ノットゥルノヴェーベルン府中の森芸術劇場裏切られた誠実バリトン五重奏曲ハイドン入門者向け歌曲ピアノソナタXVI:G1ウィーンフィル月の世界交響曲72番建築ファリャマリアテレジア交響曲56番2つのホルンのための協奏曲展覧会ピアノソナタXVI:19弦楽四重奏曲全集シャンゼリゼ劇場皇帝讃歌交響曲24番大オルガンミサ新橋演舞場サルヴェ・レジーナテ・デウムカッサシオン室内楽曲ベトナム料理国立新美術館高音質CD交響曲28番交響曲13番交響曲62番交響曲108番交響曲107番ジプシー・ロンドチェンバロ四重奏曲声楽曲カンタータ戦時のミサ珍盤ザロモンセットN響ハルモニーミサミサ曲全集NHKホールハインリッヒミサピアノソナタ全集ジュピターレコードマーキュリー管弦楽曲室内楽変奏曲XVII:5交響曲41番ギターピアノソナタXVI:33府中ピアノソナタXVI:30カラヤンスウェーリンク書籍交響曲71番アプラウスピアノソナタXVI:13魂の歌仙台ヤナーチェク現代音楽ピアノソナタ

タグリスト
クリックするとそのタグに関する記事が表示されます。特定の曲に関する記事の表示ができます。

月別(表示数指定)
リンク
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カウンター
カレンダー
11 | 2019/12 | 01
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
ブログ内検索
Translation(自動翻訳)
アクセスランキング(FC2)
[ジャンルランキング]
音楽
87位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
クラシック
10位
アクセスランキングを見る>>
ブログランキング等
当Blogへお越しの際は、下のバナーをクリックの上お仲間のBlogも是非お楽しみください。
クラシック音楽鑑賞の情報満載。
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ

クラシックの膨大なブログランキング。更新もクイック。
人気ブログランキングへ

大家さんFC2のクラシックブログランキング。

おすすめ(音楽)
当ブログが発掘した超名演盤
ViventeR.jpg
衝撃の爆演(記事1 記事2

PetersenQ.jpg
Op.1の超名演(記事

Destrube.jpg
美音の饗宴(記事

書籍もCDも送料1点から無料。配送クイック


クラシックの独自企画・復刻盤は要注目


クラシックのアルバム・日本語解説が一番充実
HMVジャパン
HMV & BOOKS ONLINEでハイドンのアルバムを検索icon
HMV & BOOKS ONLINEでハイドン関係書籍・楽譜を検索 icon

おすすめ(音楽以外)






twitter
ブログの更新情報などをつぶやいています。
最新コメント
最新トラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSリンクの表示
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ