作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

アンフィオン管楽八重奏団の皇帝、オックスフォード

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今日は珍しいアルバム。

AmphionWindOctet.jpg
HMV ONLINEicon / TOWER RECORDS

アンフィオン管楽八重奏団(Amphion Wind Octet)の演奏によるヨゼフ・トリーベンゼーの管楽合奏編曲集。ケルビーニ、ハイドン、モーツァルトの有名曲を管楽八重奏曲に編曲したものを集めたアルバム。ハイドンについては弦楽四重奏曲Op.76のNo.3「皇帝」の2楽章、交響曲92番「オックスフォード」の2曲が収められています。収録は最近で、2010年2月22日から25日、ドイツのフランス国境に近いのカールスルーエ近郊の街、エットリンゲンにあるエットリンゲン城でのセッション録音。レーベルはベルギーの名門ACCENT。

アンフィオン管楽八重奏団はスイス、バーゼルのスコラ・カントルムで学んだ古楽器奏者によるアンサンブルで、オーボエ2人、クラリネット2人、ナチュラルホルン2人、ファゴット2人、トランペット1人、コントラバス1人という構成。八重奏団なのに10人という謎は解けません(笑) メンバーは以下のとおり。

オーボエ:クセニア・レフラー(Xenia Löffler)
オーボエ:ケルスティン・クランプ(Kerstin Kramp)
クラリネット:クリスチャン・レイサラー(Chirstian Leitherer)
クラリネット:ダニエル・ベイヤー(Daniel Bayer)
ナチュラルホルン:ヴァーツラフ・ルークス(Václav Luks)
ナチュラルホルン:ミロスラフ・レヴェンスキ(Miroslav Rovenský)
バスーン:エクハルト・レンツィング(Eckhard Lenzing)
バスーン:ギェルギ・ファルカス(Györgyi Farkas)
トランペット:フルジナ・ハラ(Fruszina Hara)
コントラバス:ルーデック・ブラニー(Ludek Braný)

Hob.III:77 / String Quartet Op.76 No.3 "Kaiserquartetett" 「皇帝」 [C] (1797)
聴き慣れた皇帝の2楽章のフレーズが木管を中心とした穏やかな響きで蘇ります。ちょうどモーツァルトのグラン・パルティータと似たような響き。最初にメロディーが提示されたあとの変奏は木管やホルンによる千変万化する音色を楽しめます。普段アンサンブルを組んでいるだけあってアンサンブルの精度は抜群。弦楽四重奏による演奏よりも音色の変化が面白く、編曲の出来も素晴らしいもの。

Hob.I:92 / Symphony No.92 "Oxford" 「オックスフォード」 [G] (1789)
こちらも聴き慣れたオックスフォードの1楽章のメロディーラインがグラン・パルティータのような響きではじまります。こちらも編曲が上手く、もともとこの編成で書かれたような自然さ。木管楽器を中心とした響きの織りなす彩を満喫できる演奏。よくぞこの曲を選んで編曲したものです。違和感ゼロ。オックスフォードという交響曲の響きの中にこのような音色を聴き取った編曲者の感度に感服。
2楽章のアダージョはもともと美しい響きで知られる曲ですが、柔らかな響きとやはり各楽器の重なりあいが絶妙の音色を構成し、素晴らしい感興。とくに抑えた部分は一瞬の光のきらめきを表現したようなぞくっと来るような表現。オーボエの天使のような響きが絶品。
メヌエットは管楽器にもかかわらずなかなかの迫力。各楽器の音色が保たれるギリギリのところまで音量を上げている様子がよくわかります。低音部はバスーンが担当しますが、この音色もなかなか深みがあっていいですね。そして要所でホルンの図太い響きがアクセントをつけます。上下する音階の妙。
そしてかなり速めの弾むメロディーの入り。ハイドンのフィナーレの複雑な構成を見事に捉えた演奏。速いパッセージの演奏のリズム感はヴァイオリンとは異なる木管楽器ならではのキレのよさ。また全体のヴォリュームに主体を置いて、メロディーよりもマスが表現されています。細部よりもヴォリューム感を良く表すデッサンのように量感を非常に巧みに表現。メロディー重視かと思いきや、この量感の表現は予想外の見事さ。もちろんメロディーラインもキチンと表現して、キレよくフィニッシュ。実に見事。各楽器のテクニックは流石なものです。

オックスフォードが終わると、今度はモーツァルトのドン・ジョバンニから、序曲と有名な場面のメロディーをメドレー式に5曲に分けて綴ったもの。ピンク・レディーがヒット曲メドレーを歌っているような構成(笑) これはモーツァルトだけにまさに細部はグラン・パルティータを聴いているような気にさせられます。こちらも楽しめる選曲。

アンフィオン管楽八重奏団の演奏によるハイドンの皇帝とオックスフォードは、曲自体に潜むもう一つの響きの魅力を見事に浮かび上がらせるヨゼフ・トリーベンゼーの編曲の手腕と、アンフィオン管楽八重奏団の見事な演奏を楽しめる素晴らしいプロダクションでした。管楽合奏というニッチなジャンルですが、室内楽を聴く悦びにみちた素晴らしいプロダクションです。流石はACCENTというべきでしょう。ハイドンの演奏は両曲とも[+++++]とします。気に入りました。
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4 Comments

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有田

No title

こんはんは。

木管楽器による、92番『オックスフォード」聴いてみたくなりました。K361十三管楽器のグランパルティータ、とっても楽しい大曲!?と記憶してます。ハイドンの交響曲を、管楽器のみで演奏する…画期的な試みですが、92番はぴったりフィットするのかもしれません。64番『時の移ろい」なども、管楽器で合うのかと、勝手な想像をしてしまいました。

ドンジョバンニのメドレーも楽しそうですが♪ピンクレディのメドレーにふれられてまして、嬉しくなりました。
蛇足で恐縮ですが…私の中学高校時代は、歌謡曲の全盛期でした。クラシックのみならず、当時の歌謡曲も懐かしく聴いてます。中3トリオの女性陣と同い年の私には、朝の教室じゅうで、歌謡曲の話題で盛り上がっていた中学時代。懐かしさと共に、いま思えば幸せな時代でした。クラシック好きな友人も、チラホラいましたね。

  • 2012/02/25 (Sat) 21:15
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Daisy

Re: No title

有田さん、こんばんは。
ピンクレディーにミートしましたか(笑) 私は中三トリオより少し若いです。確かに昔は歌謡曲全盛でしたね。テレビでも今と違って歌謡番組が数多く流れていましたし、歌謡曲のシングルレコードがレコード屋さんで飛ぶように熟れていた時代ですね。
私も歳をとったのか、ちあきなおみとか美空ひばりとかの良さもわかるようになってきました。たまには歌謡曲もレビューしなくてはなりませんかね(笑)

  • 2012/02/25 (Sat) 22:33
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有田

No title

大変失礼いたしました。この場所は、あくまでも、ハイドンのサイトであります。私も脱線しないように、書き込みさせていただきます。

木管楽器のアンサンブルですが、確か、ハイドンの交響曲にクラリネットが使われているのは、ザロモンのなかの数曲と記憶しています。クラリネットがどんな響きでハイドンを奏でるのか、興味がつきません。

  • 2012/02/25 (Sat) 22:55
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Daisy

Re: No title

有田さん、おはようございます。
別段ハイドン以外の書き込みをしていただいても全くかまいません。こちらもこちらもハイドン以外のことも良く書いておりますので。
ハイドンの曲を原曲と異なる楽器で演奏することは当時からも良くあったことで、フルートの人気にともない、ピアノトリオ等をはじめとする各種室内楽をフルートで演奏する版の楽譜が広く流通していたとの記載がありますが、やはり元の楽曲が楽器の音色まで含めて書かれていることを逆に感じさせてしまうような編曲も多いのが私の印象です。要は結果的に編曲に不自然さが残ってしまっているという事です。
このアンフィオン管楽八重奏団のアルバムの編曲を担当したヨゼフ・トリーベンゼーという人はなかなかの腕前。ハイドンの曲から新たな魅力まで引き出していますね。ホルンはともかくクラリネットの響きはアンサンブルの音色に大きな影響があるのではないかと思います。そうゆう観点でもう一度聴き直してみたくなりました。

  • 2012/02/26 (Sun) 09:48
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