ヨス・ファン・インマゼールのソナタ集
今日は古楽器の音色が恋しくなって選んだアルバム。古楽器の音色を最も美しく表現する人といえばこの人です。

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ヨス・ファン・インマゼール(Jos van Immerseel)の演奏による、モーツァルトとハイドンのピアノソナタ集。ハイドンはファンタジア(Hob.XVII:4)、ピアノソナタ(Hob.XVI:48)、ピアノソナタ(Hob.XVI:49)の3曲。収録は1989年5月、ベルギーのアントウェルペン(アントワープ)のエルゼンフェルト・ホテルのゴシック教会でのセッション録音。レーベルはオランダのGLOBE。
インマゼールのハイドンはこれまで指揮者としてチェチーリア・ミサを取りあげています。
2011/04/03 : ハイドン–声楽曲 : インマゼールの聖チェチーリアミサ
ヨス・ファン・インマゼールは1945年はベルギーのアントウェルペン生まれのフォルテピアノ奏者、指揮者。アントウェルペン音楽院にてピアノ、オルガン、チェンバロを学び、ケネス・ギルバートらに師事。地元アントウェルペンに古楽アンサンブル、コレギウム・ムジクムを設立し、レパートリーはルネサンス、バロック音楽から、後に古典派から初期ロマン派音楽まで広がりました。1987年にはアニマ・エテルナを設立し、モーツァルトのピアノ協奏曲全集などを録音、また1999年には指揮者としてベートーヴェンの交響曲のヨーロッパ・ツアーを行い、その後交響曲全集の録音も残しました。
インマゼールはいまやヨーロッパ中でコンサートに引っ張りだこ。即興演奏の名手としても知られているそうです。また、自身のフォルテピアノを運んで演奏旅行をすることでも有名だそうです。
私が愛聴しているモーツァルトのピアノ協奏曲全集の録音もフォルテピアノの非常に研ぎすまされた音色、アニマ・エテルナの繊細な響きが心地よい演奏。古楽器の音色にことさら鋭敏な感覚をもった人との印象です。そのインマゼールの弾くハイドンのピアノソナタということで、期待が高まる演奏です。
この3曲はほぼ同年代に作曲された曲を集めたもの。
Hob.XVII:4 / Fantasia (Capriccio) op.58 [C] (1789)
期待通りのフォルテピアノの雅さが際立つ宝石のような素晴らしい響き。録音も澄み切った静寂な空間にフォルテピアノがしっかり定位する素晴らしいもの。楽器の胴鳴りも聴こえてくるようなリアルな響き。インマゼールの演奏はテンポはわりと自在に動かしながらも、自然なフレージングが印象にのこるもの。先日いきなりソナタ全集をリリースしたトム・ベギンがテンポを動かすことを強調というか、少し癖を感じるフレージングなのに対し、インマゼールはあくまで自然なフレージングと自然さを大事にした響きに意識が集中しているように聴こえます。主旋律をクッキリ浮かび上がらせ、アクセントもクッキリつけるのですが、嫌みさは皆無。即興演奏も得意としているだけに、この辺の鋭敏な感覚は流石なもの。途中音色の変化をつける部分のキレも流石。終盤は迫力ある音階の下降と、一瞬の静寂を経てさらりとしたフィニッシュ。
Hob.XVI:48 / Piano Sonata No.58 [C] (1787/9)
聴き慣れたメロディーが雅な音色で流れます。冒頭から抜群の集中力。一音一音の力感の変化に耳を峙てます。ゆったりと言うより、静寂を聴けと言われているように訥々と進みます。すべての音のフォルテピアノの響きの消え入る様子をゆったり楽しめる演奏。フォルテピアノの音域ごとの音色のの変化を音階を通して虹の色の変化のように楽しめます。特にしっかりとした中音域と軽めの高音域の音色の変化の織りなす彩は素晴らしい美しさ。古楽器の音色を極め尽くしているインマゼールならではの至芸と言うべきでしょう。1楽章最後のくだけた落ち着きは流石の表現。
この曲は2楽章構成。フォルテピアノのエネルギーを浴びる要な演奏。テンポの変化は保ちながら、素晴らしい迫力と音色の美しさが同居。ピアノの演奏でもこれだけの畳み掛ける迫力が出せるかどうかわからないほど楽器を鳴らしきっています。途中指が引っかかるような表現の部分がありますが、セッション録音故、意図した表現なんでしょう。一気呵成に吹き抜けてゆく圧巻の演奏でした。
Hob.XVI:49 / Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
前曲のエネルギーを引き継いだような力の入った入り。フォルテピアノの演奏としては異例の迫力でしょう。ちょっとヴォリュームを大きめにして、部屋にフォルテピアノが出現したような音響を楽しみます。この曲では次々と現れるアクセントの変化を楽しむような演奏。大山脈の峰の連なりを眺めながら縦走する感じです。後半ではアクセントに変化をつけて音楽に驚きを与えます。ここでもインマゼールの鋭敏な感覚は素晴らしいキレ。
瞬時に柔らかな音色に切り替わり、2楽章のアダージョ・カンタービレに移ります。今度は慈しむようにメロディーを刻み、宝石のように磨かれた音色をデリケートなタッチで表現。尾根から眺める深い青の湖のような趣。済んだ湖の青の深さの変化が聴き所。深い深い演奏。
フィナーレは軽いタッチではいります。軽さを楽しむうちに音色な徐々にクリアに変化するあたりは素晴らしいアイデア。同じメロディが聴いているうちに別の響きで再現され、また戻りと音色の変化が脳に刺激を与えます。ここが聴かせどころかと驚きました。最後は力強さを帯びて、そしてすっと引くような秀逸な最後。いや、インマゼールの魔法にかかったようなひと時でした。
ヨス・ファン・インマゼールの弾くモーツァルトとハイドンのピアノソナタ集。ハイドンの演奏は期待通りというか、久しぶりに聴き直して、その鋭敏な感覚と多彩な音色の変化に圧倒されました。やはり古楽器を知り尽くした人との認識をあらたにしました。評価は3曲とも[+++++]としました。古楽器によるハイドンのピアノソナタのおすすめ盤として広く聴いていただきたい1枚です。

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ヨス・ファン・インマゼール(Jos van Immerseel)の演奏による、モーツァルトとハイドンのピアノソナタ集。ハイドンはファンタジア(Hob.XVII:4)、ピアノソナタ(Hob.XVI:48)、ピアノソナタ(Hob.XVI:49)の3曲。収録は1989年5月、ベルギーのアントウェルペン(アントワープ)のエルゼンフェルト・ホテルのゴシック教会でのセッション録音。レーベルはオランダのGLOBE。
インマゼールのハイドンはこれまで指揮者としてチェチーリア・ミサを取りあげています。
2011/04/03 : ハイドン–声楽曲 : インマゼールの聖チェチーリアミサ
ヨス・ファン・インマゼールは1945年はベルギーのアントウェルペン生まれのフォルテピアノ奏者、指揮者。アントウェルペン音楽院にてピアノ、オルガン、チェンバロを学び、ケネス・ギルバートらに師事。地元アントウェルペンに古楽アンサンブル、コレギウム・ムジクムを設立し、レパートリーはルネサンス、バロック音楽から、後に古典派から初期ロマン派音楽まで広がりました。1987年にはアニマ・エテルナを設立し、モーツァルトのピアノ協奏曲全集などを録音、また1999年には指揮者としてベートーヴェンの交響曲のヨーロッパ・ツアーを行い、その後交響曲全集の録音も残しました。
インマゼールはいまやヨーロッパ中でコンサートに引っ張りだこ。即興演奏の名手としても知られているそうです。また、自身のフォルテピアノを運んで演奏旅行をすることでも有名だそうです。
私が愛聴しているモーツァルトのピアノ協奏曲全集の録音もフォルテピアノの非常に研ぎすまされた音色、アニマ・エテルナの繊細な響きが心地よい演奏。古楽器の音色にことさら鋭敏な感覚をもった人との印象です。そのインマゼールの弾くハイドンのピアノソナタということで、期待が高まる演奏です。
この3曲はほぼ同年代に作曲された曲を集めたもの。
Hob.XVII:4 / Fantasia (Capriccio) op.58 [C] (1789)
期待通りのフォルテピアノの雅さが際立つ宝石のような素晴らしい響き。録音も澄み切った静寂な空間にフォルテピアノがしっかり定位する素晴らしいもの。楽器の胴鳴りも聴こえてくるようなリアルな響き。インマゼールの演奏はテンポはわりと自在に動かしながらも、自然なフレージングが印象にのこるもの。先日いきなりソナタ全集をリリースしたトム・ベギンがテンポを動かすことを強調というか、少し癖を感じるフレージングなのに対し、インマゼールはあくまで自然なフレージングと自然さを大事にした響きに意識が集中しているように聴こえます。主旋律をクッキリ浮かび上がらせ、アクセントもクッキリつけるのですが、嫌みさは皆無。即興演奏も得意としているだけに、この辺の鋭敏な感覚は流石なもの。途中音色の変化をつける部分のキレも流石。終盤は迫力ある音階の下降と、一瞬の静寂を経てさらりとしたフィニッシュ。
Hob.XVI:48 / Piano Sonata No.58 [C] (1787/9)
聴き慣れたメロディーが雅な音色で流れます。冒頭から抜群の集中力。一音一音の力感の変化に耳を峙てます。ゆったりと言うより、静寂を聴けと言われているように訥々と進みます。すべての音のフォルテピアノの響きの消え入る様子をゆったり楽しめる演奏。フォルテピアノの音域ごとの音色のの変化を音階を通して虹の色の変化のように楽しめます。特にしっかりとした中音域と軽めの高音域の音色の変化の織りなす彩は素晴らしい美しさ。古楽器の音色を極め尽くしているインマゼールならではの至芸と言うべきでしょう。1楽章最後のくだけた落ち着きは流石の表現。
この曲は2楽章構成。フォルテピアノのエネルギーを浴びる要な演奏。テンポの変化は保ちながら、素晴らしい迫力と音色の美しさが同居。ピアノの演奏でもこれだけの畳み掛ける迫力が出せるかどうかわからないほど楽器を鳴らしきっています。途中指が引っかかるような表現の部分がありますが、セッション録音故、意図した表現なんでしょう。一気呵成に吹き抜けてゆく圧巻の演奏でした。
Hob.XVI:49 / Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
前曲のエネルギーを引き継いだような力の入った入り。フォルテピアノの演奏としては異例の迫力でしょう。ちょっとヴォリュームを大きめにして、部屋にフォルテピアノが出現したような音響を楽しみます。この曲では次々と現れるアクセントの変化を楽しむような演奏。大山脈の峰の連なりを眺めながら縦走する感じです。後半ではアクセントに変化をつけて音楽に驚きを与えます。ここでもインマゼールの鋭敏な感覚は素晴らしいキレ。
瞬時に柔らかな音色に切り替わり、2楽章のアダージョ・カンタービレに移ります。今度は慈しむようにメロディーを刻み、宝石のように磨かれた音色をデリケートなタッチで表現。尾根から眺める深い青の湖のような趣。済んだ湖の青の深さの変化が聴き所。深い深い演奏。
フィナーレは軽いタッチではいります。軽さを楽しむうちに音色な徐々にクリアに変化するあたりは素晴らしいアイデア。同じメロディが聴いているうちに別の響きで再現され、また戻りと音色の変化が脳に刺激を与えます。ここが聴かせどころかと驚きました。最後は力強さを帯びて、そしてすっと引くような秀逸な最後。いや、インマゼールの魔法にかかったようなひと時でした。
ヨス・ファン・インマゼールの弾くモーツァルトとハイドンのピアノソナタ集。ハイドンの演奏は期待通りというか、久しぶりに聴き直して、その鋭敏な感覚と多彩な音色の変化に圧倒されました。やはり古楽器を知り尽くした人との認識をあらたにしました。評価は3曲とも[+++++]としました。古楽器によるハイドンのピアノソナタのおすすめ盤として広く聴いていただきたい1枚です。
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