【新着】片山敬子のアンダンテと変奏曲

HMV ONLINE
片山敬子(かたやまよしこ)の弾くハイドンのアンダンテと変奏曲(Hob.XVII:6)、ベートーヴェンのピアノソナタ17番「テンペスト」、シューベルトのピアノソナタ21番(D.960)の3曲を収めたアルバム。録音は最新で2011年5月11日~12日、東京稲城市の若葉台駅前にある稲城市iプラザでのセッション録音。地元です。レーベルは日本人アーティストの録音を地道に出し続けているLIVE NOTES。
片山敬子さんは私ははじめて聴く人。ジャケットの裏に写った写真からは年配の方と見受けました。3歳からピアノをはじめ、付属高校から大学院まで芸大で学びました。1971年南イタリアのポジターノでのヴィルヘルム・ケンプのマスタークラスを受講したとのこと。その後国内各地でコンサート活動を行い、九州交響楽団との協奏曲や東京でのリサイタルが好評を博したそうです。1980年からは桐朋学園大学音楽学部の講師です。このアルバムはLIVE NOTESからリリースされる彼女のアルバムの第4弾という事です。
ライナーノーツに書かれた本人の言葉によれば、このアルバムの最後に置かれたシューベルトのソナタをいよいよ弾ける心境になり取りあげたとのこと。シューベルトを得意とした師であるゲオルク・ヴァシャヘリの影響と、自身がシューベルトを弾くタッチを会得したということで、その前に置かれた2曲はシューベルトのソナタとの相性の良さを買われて選んだとの事です。まあ、ハイドンは前座という位置づけですが、前座というにはかなり踏み込んだ演奏だと言う事でしょう。
Hob.XVII:6 / Andante con Variazioni op.83 [f] (1793)
稲城市iプラザは訪れた事がないのですが、長めの残響のが美しい録音。最新の録音らしい実体感がありながら響きの良さも感じられる万全の録音。音色としてはフリードリヒ・グルダの弾くピアノのようにきらめき感のあるピアノの音色。もちろん奏者の経験も織り込まれた落ち着きと円熟の感じられる演奏。落ち着いたテンポで次々と変奏が弾かれていきます。響きの余韻に厚みがあると言うか、右手のメロディーがしっかり浮き出て、それ以外の音がふわりとついてくるというか、旋律のクリアさがポイントの演奏。適当にテンポを動かしながら自在な雰囲気を残す余裕があります。過度な演出はなく片山敬子さんの経験がにじみ出るような演奏。終盤からの盛り上がりはクリアな中にも詩情が色濃く出た流石のもの。楽譜がある訳ではないのでよくわかりませんが、人によっては20分近い演奏もある中、9分少しの演奏。落ち着いたテンポ故くり返しの有無によるものでしょうか。
片山敬子さんのハイドン成熟期の名曲アンダンテと変奏曲の演奏。経験に裏付けられた堅実な、しかもきらめき感を非常にうまく表した演奏。美しいピアノの音色と曲の険しさ、凛々しさまで表現した出色の演奏。正直期待をかなり上回る素晴らしさです。シューベルトに相応しいタッチを体得したとの言葉を裏付けるような柔らかい響きと間の印象的な取り方も感じさせながら、古典の均衡もさりげなく表現しているあたり、かなりのテクニックと見受けました。一言で言えば純粋無垢な音楽の結晶のような演奏。評価は[+++++]を進呈します。いままで存じ上げず失礼致しました。ベートーヴェンやシューベルトを語れる見識はありませんが、こちらも一級の演奏。このアルバム、全曲素晴らしい演奏です。ピアノ音楽が好きな方にヴォリュームを少しあげて、部屋でコンサートの再現のような素晴らしいピアノを味わっていただきたい名盤です。
- 関連記事
-
-
ブラウティハムの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」
2012/04/02
-
エフゲニー・スドビンのピアノソナタ集
2012/02/27
-
シュテファン・ヴラダーのピアノソナタ集
2012/02/19
-
ヨス・ファン・インマゼールのソナタ集
2012/02/18
-
【新着】片山敬子のアンダンテと変奏曲
2012/02/07
-
【新着】トム・ベギンのハイドン鍵盤独奏曲全集
2011/11/27
-
アンドレ・チャイコフスキーのピアノソナタ集
2011/09/11
-
ユーリ・エゴロフのピアノソナタXVI:20ライヴ!
2011/07/19
-
ルート・スレンチンスカのピアノソナタライヴ
2011/06/01
-