作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ブルーノ・ヴァイル/カペラ・コロニエンシスの四季

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昨日は月曜にもかかわらず、予定外の飲みで大酒喰らってしまいました(笑)。まあ石巻の名酒「日高見」などを美味しくいただきましたのでよしとしましょう。最後はあんまり覚えてません(苦笑)
今日は気を取り直して、先週土曜の歌舞伎見物のあと銀座山野楽器で手に入れたアルバム。

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HMV ONLINEicon / TOWER RECORDS

ブルーノ・ヴァイル(Bruno Weil)指揮のカペラ・コロニエンシス、テルツ少年合唱団の演奏でハイドン最後のオラトリオ「四季」。収録は2010年3月21日、ドイツ、エッセンにあるエッセン・フィルハーモニーのアルフレート・クルップ・ホールでのライヴ収録。レーベルはArs Produktion。ソロは以下のとおり。

ハンネ(ソプラノ):シビッラ・ルーベンス(Sibylla Rubens)
ルーカス(テノール):ヤン・コボウ(Jan Kobow)
シモン(バリトン):ハンノ・ミュラー=ブラッハマン(Hanno Müller-Brachmann)

ヴァイルの四季。昨年リリースされたのは知っていましたが、SACDだからか意外に値段が高くHMV ONLINEでも注文からはずしていました。ブルーノ・ヴァイルは古楽器の交響曲やミサ曲の名演奏が多く、好きな指揮者の一人です。そのヴァイルの四季と巡り会ったので、値段は安くはありませんでしたが、いただくことにした次第。

ヴァイルのハイドンは過去に何回か取りあげています。ヴァイルの紹介は2番目の交響曲の記事をご参照ください。

2010/03/08 : ハイドン–交響曲 : ブルーノ・ヴァイル、ザロモンセットへ
2010/12/25 : ハイドン–交響曲 : 【年末企画】ブルーノ・ヴァイルの交響曲50番、64番、65番
2011/01/10 : ハイドン–オラトリオ : ブルーノ・ヴァイルの天地創造
2011/08/14 : ハイドン–声楽曲 : 【お盆特番4】ブルーノ・ヴァイルのテレジアミサ、ネルソンミサ

また、カペラ・コロニエンシスの演奏はヴァイル以外のアルバムも取りあげています。カペラ・コロニエンシスの情報はこちらをご覧ください。

2011/05/24 : ハイドン–交響曲 : ジョシュア・リフキン指揮カペラ・コロニエンシスのホルン信号、72番

このアルバム、ヴァイルのタイトなコントロールよる素晴らしい演奏ですが、さらに素晴らしいのが引き締まった録音。これまで聴いた四季のなかではダントツのクオリティ。自宅に素晴らしい臨場感でオケとコーラスが出現です。

Hob.XXI:3 / "Die Jahreszeiten" 「四季」 (1799-1801)

最初の一撃からライヴらしい一体感のある響きではじまります。冒頭からおどろおどろしく腰に来る低音の魅力炸裂です。演奏自体は先を見通してあまり溜めをつくらず淡々と進める自然体の演奏といっていいでしょう。淡々としながらも徐々に響きに聴き入らずにはいられなくなり、曲に没頭してしまうような演奏。最初にソロが聴こえるシモンのミュラー=ブラッハマンは鋼のごとき強い芯のある声。声量も十分。ルカースのヤン・コボウは優しい声でちょっと大人しい感じ。そしてハンネのシビッラ・ルーベンスは透き通るようなヴィブラートとが美しい声。つづくコーラスはいつもながら美声のテルツ少年合唱団。ヴァイルの演奏ではおなじみです。
第4曲のシモンのアリア「農夫は今、喜び勇んで」でミュラー=ブラッハマンのクッキリ良く通る、そして表現力豊かな歌唱が印象的。天地創造のラファエル同様、四季ではシモンが全体の構成に与える影響が大きく、ミュラー=ブラッハマンのシモンはこのアルパムの聴き所の一つでしょう。
第6曲の三重唱とコーラス「慈悲深い天よ、恵みを与えてください」(祈りの歌)はオケの奏でるメロディーラインの上でソロとコーラスが絡み合うところが極めて自然で、まさに今ここでライヴを聴いているような臨場感を感じます。そして最後の第8曲 三重唱と合唱「おお、今や何と素晴らしい」(喜びの歌)は、前半の軽い部分をそつなく終えて、後半に入る号砲から別次元の集中力。鮮明な録音が手伝って部屋に実物大のオケが出現したような素晴らしい響き。まさに生でオケを聴いているような鮮明さ。


平日なので夏以降は簡単にかいつまんで。ライヴだけに前曲とのつながりは非常に自然。演奏に傷もなく、粗いところも目立ちません。非常に質の高いライヴ演奏。聴き所は第11曲 レチタティーヴォ「朝焼けが訪れて」。透明な空気を感じさせる朝焼けから吹き上がるオケとコーラス。自然さを保ったまま迫力をうまく表現できています。以後夏の暑さと重々しい曲がつづき、そして第18曲 三重唱と合唱「黒い雲は切れ」で再びオケが大爆発。録音がいいぶん大音量の部分の聴き応えは十分。ドン・ジョバンニの地獄落ちの場面を彷彿とさせるようなおどろおどろしい音楽が荒れ狂い、そして最後に平穏な音楽で終わるところも似ています。


秋も最初からミュラー=ブラッハマン鋼の歌声が印象的。演奏スタイルには一貫性があり、自然なフレージングゆえ、ハイドンの曲自体の素晴らしい筆致を楽しむのに好適なもの。秋の聴き所は第26曲 合唱「聞け、この大きなざわめき」のホルンの号砲でしょう。ライヴにも関わらず傷もなく素晴らしいホルン陣のテクニックを堪能できます。


暗く沈みきった曲から、春の訪れまでを描いた曲ですが、ヴァイルのコントロールはここでもあくまで淡々と曲を自然に演奏し、鮮明な録音によって、自然さ抜群の起伏を表現するスタイル。終曲で明るい兆しを告げる和音が鳴ったときの光明はぐっとくるものがありますね。最後はハイドンの曲独特の諧謔性を感じさせるような音楽的充実もきっちりこなして、長大な四季の幕を閉じます。

ブルーノ・ヴァイルの最新録音によるハイドン最後のオラトリオ「四季」は、鮮明な録音によって、ライヴならではの一貫して自然な演奏が楽しめる素晴らしいアルバム。録音は若干デッド気味ですが、それだけにオケやソロ、コーラスの存在感、定位感は抜群。歌手はシモンのハンノ・ミュラー=ブラッハマンが鋼のごとき強い声で秀逸。いつものテルツ少年合唱団も抜群の透明感です。先日取りあげたクレメンス・クラウスの四季のごとき四季の真髄をえぐるような演奏ではありませんが、古楽器オケによるタイトな音響で描かれた四季の模範的な演奏として多くの人に勧められるアルバムだと思います。評価は[+++++]とします。
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4 Comments

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有田

No title

こんばんは。

オラトリオ「四季」の新しい録音をご紹介くださりありがとうございます。
スコアを買いましたが、演奏の聴き比べまでは遠く及びません。
ノリントンの動画に触れて、それなりに感動しているレベルです=苦笑=

若いころに、プロテスタントの教会でコーラスをしてましたが、「天地創造」の第一部の終曲が、讃美歌にあって歌った記憶があります。

音楽~特にクラシック~は、演奏によって全く趣を変えてしまいます。文学とか、絵画、彫刻などの美術は、文字やオブジェとして、ストレートに訴えかけてくるもの。音楽は、楽譜だけでは成り立たず、演奏家と音響空間、その先に聴き手がいる、きわめて独特な芸術に思います。舞台芸術たる歌劇や歌舞伎もですね。
作家の生の原稿とか、創作ノート、絵画の下絵など、制作の過程に興味がありまして…その延長線上?で、「四季」の総譜を買いました。楽譜そのものが、超一流の芸術作品に見えてしまいます。整然と、五線譜が何段にも並んでいるさまは、ハイドン先生の魂そのものですね。

これは全く知らなかったのですが、ハイドンの交響曲には、チェンバロの通奏低音が加わる演奏もありますね。このあたりも、興味が尽きません。

  • 2012/01/25 (Wed) 18:54
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Daisy

Re: No title

有田さん、こんばんは。
有田さんのような学究的な視点、まさにハイドンの書いた楽譜自体への興味は専門的に音楽教育を受けた事のない私にはありませんでした。
元々建築の出身で、建築史、芸術論などをかじっていたので、建物を見る以上に図面やスケッチなどには人一倍興味があります。近代の建築家でスケッチがうまい人の代表がフィンランドのアルヴァ・アアルトですが、アアルトのスケッチは出来上がった建物以上に詩的かつコンセプトがつたわる素晴らしいものです。同じような視点でハイドンを見ることができれば、今で以上に楽しめるような気がします。
いきなり大作の楽譜は荷が重いので、弦楽四重奏曲やシュトルム・ウント・ドラング期の交響曲などの楽譜を手に入れてみようと思います。ちなみに拙宅にある楽譜はベートーヴェンの第九のみです(笑)
刺激をいただきありがとうございます。

  • 2012/01/25 (Wed) 20:32
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有田

No title

遅くに申し訳ありません。

私こそ、ハイドンへの示唆をいただき嬉しく存じます。音楽とは全く関係ない仕事に就く素人ですが、プロにはない視点で語り合えたら嬉しく存じます。

ハイドンの音楽を聴きながらいただくお酒は最高ですね。

楽譜のこと書きましたが、音楽は演奏されて初めて息づきます。聴き手の直感で判断すれば良いわけです。私は、カール リヒターのマダイとロ短調を超えるものは無いと思ってますが…彼の【天地創造】や【四季】の録音が残されていないのが、残念でなりません。

  • 2012/01/25 (Wed) 22:54
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Daisy

Re: No title

有田さん、おはようございます。
確かに、いい音楽を聴きながら飲むお酒は最高ですね。
リヒターのバッハはいいですね。私は曲としてはどちらかというとロ短調ミサのほうがなじみます。バッハも好きな作曲家ですが分け入るには森が深すぎてちょっと恐い感じすらします。リヒターのロ短調ミサは未聴ですので、聴いてみなくてはなりませんね。たしかリヒターには時計と驚愕の録音がありますが、こちらもちゃんとした印象がありませんので近々聴き直してみたいと思います。

  • 2012/01/26 (Thu) 05:55
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