作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

シュツットガルト・ソロイスツのリラ・オルガニザータ協奏曲、オルガン協奏曲

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マイナー盤が続きますがご容赦を。やはり未知のアルバムを聴くのはワクワクします。

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フランツ・レールンドルファー(Franz Lehrndorfer)のオルガン、ヒューゴ・ルフ(Hugo Ruf)のリラ・オルガニザータ、シュツットガルト・ソロイスツの演奏で、ハイドンのリラ・オルガニザータ協奏曲2曲(Hob.VIIh:2、VIIh:4)とオルガン協奏曲(Hob.XVIII:1)を収めたアルバム。収録は1970年とだけ記載されています。レーベルはTUXEDO MUSIC。

このアルバムはかなり以前にディスクユニオンで手に入れたもの。未聴盤ボックスに長らく入ってましたが、正月休みに聴いたところ、癖はありますが、なかなか面白い演奏ということで取りあげるに至った次第。

オルガンのフランツ・レールンドルファーは1928年ザルツブルク生まれのオルガニスト。ミュンヘン州立大学で教会音楽とオルガンを学び、その後ドイツのレーゲンスブルク大聖堂少年合唱団の指導者となり、その後母校のミュンヘン州立大学の教職につき1993年の定年まで働いたとの事。

リラ・オルガニザータを担当したヒューゴ・ルフは1925年ドイツ生まれのハープシコード奏者。フライブルク音楽大学でハープシコードを学び、その後ケルン音楽学校で生涯教職にあったとのこと。私も知りませんでしたがヘルムート・コッホとともにC. P. E. バッハの20世紀における復興に貢献した事で知られた存在との事。1999年に亡くなっています。

リラ・オルガニザータ協奏曲は前に取りあげていますので曲の解説、楽器の解説などはリンク先をご覧ください。

2011/09/02 : ハイドン–協奏曲 : 【新着】ウォルフガング・シュルツによるリラ・オルガニザータ協奏曲
2011/04/29 : ハイドン–交響曲 : ブリュッヘン/モーツァルテウムのリラ・オルガニザータ協奏曲、84番

Hob.VIIh:2 / Concerti per la lira organizzata [G] (No.3) (1786)
冒頭からリラ・オルガニザータのサーカスの手回しオルガンのような音色とそれにマッチしたコミカルなメロディが独特の雰囲気にいきなり引き込みます。ただし、このアルバム録音が非常に変わっていて、古びてちょっと刺激が強く、位相がズレているような不思議な音。昔の機械でわざと安っぽい音を狙って録ったのかもと思わせる不思議なもの。音のエッジは感じるんですが、ざらつき気味でお世辞にも良い音とは言えません。ただし、それだけならこのアルバムは取りあげていません。なぜかこの安っぽい音が曲に非常にマッチして、えも言われぬ雰囲気を醸し出しているんですね。特にリラ・オルガニザータの音が実に安っぽくていい(笑) 弦楽器の演奏の精度も格別いい訳ではありませんが、こちらも安っぽさがいい。強いて言えばおとぎの国の音楽のような感じ。リズム感をわざと強調したようなメリハリのある演奏。
2楽章のアダージョは穏やかな気分になるというよりは、骨っぽい音に引っ張られおもちゃ箱の中身のような不思議な印象。
フィナーレはプレストからですが、遅めのテンポでリラの不思議な音色。孤高な感じがして、なぜか魅力ある演奏。この印象は言葉で説明するのは難しいですね。

Hob.VIIh:4 / Concerti per la lira organizzata [F] (No.2) (1786)
前曲より気持ち音質が改善していますが、基本的な傾向は同様、おとぎの国系です(笑) 以前の記事でも触れましたが、ゆっくりとメリハリをつけて弾くので、学校の練習曲のように聴こえます。作曲を依頼したナポリ王フェルディナンド4世が演奏を楽しむ姿が想像できますね。
2楽章のアンダンテはようやく詩的な雰囲気がでてきて本格的な曲の感じが出てきました。ヴァイオリンとリラの掛け合いと間の手を入れるホルンの響きの妙が楽しめます。ヴァイオリンの音色はヨゼフ・シゲティのようなテンションの強いもの。
フィナーレはキリッとしたテンポで非常に安定した演奏。前曲でざらついたりばらついた演奏がうそのように、落ち着いて精度の高い演奏。安定感のあるいい演奏になりました。最後はこれぞフィナーレと言う演奏で終了。

Hob.XVIII:1 / Concerto per il clavicembalo(l'organo) [C] (1756)
ホグウッドの名演が耳に残るオルガン協奏曲。この曲もまた録音が変わってます。前曲で一旦持ち直した録音ですが、少し歪み感のある音で、高音のキレはあるんですが、鋭く薄い音。オルガンのメロディが鮮明に録られているんですが、実体感が希薄な音。実に不思議なアルバムです。オルガンの演奏はこうした録音を通して聴く事を脳内補正してみると、意外といい演奏。レールンドルファー、指導者として長年働いてきただけに非常に安定感のある演奏。ただ、オケとのスリリングが掛け合い等、この曲の魅力がうまく弾き出せているかというと、そうでもありません。どちらかというと手堅く安定感のある演奏。やはりホグウッドの名演を基準に聴いてしまっているのかもしれません。
2楽章のラルゴにはいるとオルガンの音階の部分でオルガンの弁の音でしょうか、フリクション音まで聴こえる鮮明さ。どんな楽器でどう弾いているのか非常に気になる録音。このアルバム、ズバリ不思議な録音が聴き所です。演奏は前楽章同様安定感あるものですが、変なところが気になって今一音楽に集中できません(笑) カデンツァは未知との遭遇の宇宙人との交信の場面のような不思議さも漂うもの。
そしてフィナーレはオルガンの音色が変わり、オルガンのソロパートは非常に聴き応えのあるもの。オケの人数が極端に少ない事がダイナミクスが感じられない理由でしょう。かえってオルガンの鮮明さを際立たせることになっています。まさにオルガン自体を聴くべき演奏ですね。

このアルバムは所謂珍盤に属するものでしょう。リラ・オルガニザータ協奏曲のある意味このアルバムでしか聴けない不思議なサウンドは非常にユニークなもの。そしてオルガン協奏曲の演奏もどことなくリラ・オルガニザータ協奏曲とのカップリングを意識して弾かれているように感じます。評価はリラ・オルガニザータ協奏曲の2曲目が[++++]、1曲目とオルガン協奏曲は[+++]とします。このレビュー記事を読んで、この演奏を聴いて見たいと思う人は、相当なハイドンマニアの方でしょう(笑)

最後にホグウッドのオルガン協奏曲の記事のリンクを張っておきましょう。題名はトランペット協奏曲ですが、ちゃんとオルガン協奏曲にも触れています。

2010/09/21 : ハイドン–協奏曲 : ホグウッドのトランペット協奏曲
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