ヨゼフ・ツィルヒ/ニュルンベルク交響楽団の交響曲73番「狩」
今日はマニア心を満たす激マイナー盤。

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(MP3)/ iTunes

ヨゼフ・ツィルヒ(Josef Zilch)指揮のニュルンベルク交響楽団(Nürnberger Symphoniker)の演奏でヨゼフ・ツィルヒ自身の作曲にした 「フーベルトゥスミサ」とハイドンの交響曲73番「狩」。フーベルトゥスミサのオケはバイエルン州立管弦楽団のメンバーとの事。収録は1974年、ドイツ、ニュルンベルクにあるコロッセウムスタジオでのセッション録音。ちなみにレーベルはドイツのColosseumというレーベル。
このアルバムは土曜日にディスクユニオンの店頭で見かけて手に入れたもの。かなり珍しいアルバムだと思います。アルバム自体はHMV ONLINEでもamazonでもみつからず、amazonでMP3とiTunesにも音源がありました。
アルバムタイトルは「祝祭的狩りの音楽」とでも訳すのでしょうか。1曲目のツィルヒ自身の曲はオルガンと器楽のみのミサ曲ですが、曲はホルンとオルガンの掛け合いのような曲。なるほど狩りの音楽のようです。
ヨゼフ・ツィルヒは1928年ドイツニュルンベルクの東約60キロの街シュヴァンドルフ生まれの指揮者、作曲家。ミュンヘン音楽・演劇大学などで学んだようですが、日本の武蔵野音楽大学と関係が深いようですね。ツィルヒの振ったいくつかのコンサート情報や映像がありますが、Wikipediaにもドイツ語版に履歴が載っているのみであまり情報がありません。
交響曲73番「狩」はマイナー曲ですが今まで結構取りあげています。
2011/10/17 : ハイドン–交響曲 : ライスキ/ポーランド室内管の王妃、雌鶏、狩
2010/05/02 : ハイドン–交響曲 : カンブルランのハイドン
2010/04/07 : ハイドン–交響曲 : アーノンクールの初期交響曲集
やはり4楽章のホルンによる狩りの音楽は魅力。ここをどう演奏するかがこの曲のポイントだと思います。
Hob.I:73 / Symphony No.73 "La Chasse" 「狩」 [D] (before 1782)
1楽章は非常にゆったりとした序奏から入ります。1974年録音ということで音質はすこしざらつきがありますが、残響がそれなりにあり、スピーカーの後方にオケがきちんと定位する様子がわかるもの。主題に入るとすこしテンポをあげますが、相変わらずじっくりとした演奏。若干古風な解釈と感じるところがありますが、違和感はまったくなくしっくり来ています。オケの精度はほどほどながらヴァイオリンのキレはなかなか。ベテランの職人指揮者による手堅い演奏と言いたいところですが、実に音楽的な演奏。悪くありません。曲が進むにつれてノリが良くなり、音楽に引き込まれていきます。推進力であおるところと、抑えたところのコントロールが的確で締まった演奏に聴こえます。
続くアンダンテは、安心して聴いていられるのどかなひと時。ハイドンのおおらかなメロディーの魅力をたっぷりと味わえます。ざっくりとぼとぼと刻む弦楽器のリズミカルなメロディーラインが素朴な魅力を発散しています。オーケストラも非常にリラックスして弾いているようすが伝わる演奏。独墺系のオケにとってハイドンはまさにお国もの、体に染み付いた音楽なんでしょうか。日本のオケではこの力の抜けた自然さはなかなかでないでしょう。はたまたツィルヒの秀逸なコントロールでしょうか。素晴らしく豊かな音楽。
続くメヌエットも太い筆でしっかりと書いた少し崩した楷書のような風情。ほんの少し粗さを感じるアンサンブルが味わい深い方向に働いてなかなのもの。まさに朗々とした迫力あるメヌエット。小細工はなく大きな流れを重視した演奏。フレージングがうまいのか、やはり非常に味わいのある演奏。
そして狩。なんと遅いまま入ります。意表をつく遅さ。狩の楽しげな状況というより、のどかさが印象に残ります。推進力たっぷりの曲を、ゆったりと楽しむように演奏。ホルンと木管の音色はこの曲の印象をつくる重要なファクターですが、なかなかいい味を醸し出しています。このくらいのテンポでも十分聴き応えがあることがよくわかります。後半に向けて盛り上がらんとする間奏部分もざっくりしたオケの感触が最高です。再現部に入ってもテンポはそのまま、朗々とのどかな音響が響き渡り、最後はしっとりと終了。
このアルバムもふとしたきっかけで出会ったマイナー盤ですが、ちょっと前に取りあげたズーカーマンの哲学者と同様、曲を良く掌握してじっくりと演奏した燻し銀の演奏。テクニックやオケの精度はそこそこですが、アルバムから流れ出てくる音楽はハイドンの真髄をとらえたもの。最初は[++++]につけたんですが、レビューのために聴き直しているうちに、すっかりハマりました。このブログでは私の好きな演奏を評価するので、[+++++]とします!
このところいい演奏ばかり取りあげていますが、レビュー記事を一本書くには3枚ぐらい聴いて選んで取りあげています。やはり気に入らない演奏は筆が進みませんし、皆さんに紹介するには選りすぐりの演奏にすべきだと思いますので。今日はこれから近所で飲んできます!

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ヨゼフ・ツィルヒ(Josef Zilch)指揮のニュルンベルク交響楽団(Nürnberger Symphoniker)の演奏でヨゼフ・ツィルヒ自身の作曲にした 「フーベルトゥスミサ」とハイドンの交響曲73番「狩」。フーベルトゥスミサのオケはバイエルン州立管弦楽団のメンバーとの事。収録は1974年、ドイツ、ニュルンベルクにあるコロッセウムスタジオでのセッション録音。ちなみにレーベルはドイツのColosseumというレーベル。
このアルバムは土曜日にディスクユニオンの店頭で見かけて手に入れたもの。かなり珍しいアルバムだと思います。アルバム自体はHMV ONLINEでもamazonでもみつからず、amazonでMP3とiTunesにも音源がありました。
アルバムタイトルは「祝祭的狩りの音楽」とでも訳すのでしょうか。1曲目のツィルヒ自身の曲はオルガンと器楽のみのミサ曲ですが、曲はホルンとオルガンの掛け合いのような曲。なるほど狩りの音楽のようです。
ヨゼフ・ツィルヒは1928年ドイツニュルンベルクの東約60キロの街シュヴァンドルフ生まれの指揮者、作曲家。ミュンヘン音楽・演劇大学などで学んだようですが、日本の武蔵野音楽大学と関係が深いようですね。ツィルヒの振ったいくつかのコンサート情報や映像がありますが、Wikipediaにもドイツ語版に履歴が載っているのみであまり情報がありません。
交響曲73番「狩」はマイナー曲ですが今まで結構取りあげています。
2011/10/17 : ハイドン–交響曲 : ライスキ/ポーランド室内管の王妃、雌鶏、狩
2010/05/02 : ハイドン–交響曲 : カンブルランのハイドン
2010/04/07 : ハイドン–交響曲 : アーノンクールの初期交響曲集
やはり4楽章のホルンによる狩りの音楽は魅力。ここをどう演奏するかがこの曲のポイントだと思います。
Hob.I:73 / Symphony No.73 "La Chasse" 「狩」 [D] (before 1782)
1楽章は非常にゆったりとした序奏から入ります。1974年録音ということで音質はすこしざらつきがありますが、残響がそれなりにあり、スピーカーの後方にオケがきちんと定位する様子がわかるもの。主題に入るとすこしテンポをあげますが、相変わらずじっくりとした演奏。若干古風な解釈と感じるところがありますが、違和感はまったくなくしっくり来ています。オケの精度はほどほどながらヴァイオリンのキレはなかなか。ベテランの職人指揮者による手堅い演奏と言いたいところですが、実に音楽的な演奏。悪くありません。曲が進むにつれてノリが良くなり、音楽に引き込まれていきます。推進力であおるところと、抑えたところのコントロールが的確で締まった演奏に聴こえます。
続くアンダンテは、安心して聴いていられるのどかなひと時。ハイドンのおおらかなメロディーの魅力をたっぷりと味わえます。ざっくりとぼとぼと刻む弦楽器のリズミカルなメロディーラインが素朴な魅力を発散しています。オーケストラも非常にリラックスして弾いているようすが伝わる演奏。独墺系のオケにとってハイドンはまさにお国もの、体に染み付いた音楽なんでしょうか。日本のオケではこの力の抜けた自然さはなかなかでないでしょう。はたまたツィルヒの秀逸なコントロールでしょうか。素晴らしく豊かな音楽。
続くメヌエットも太い筆でしっかりと書いた少し崩した楷書のような風情。ほんの少し粗さを感じるアンサンブルが味わい深い方向に働いてなかなのもの。まさに朗々とした迫力あるメヌエット。小細工はなく大きな流れを重視した演奏。フレージングがうまいのか、やはり非常に味わいのある演奏。
そして狩。なんと遅いまま入ります。意表をつく遅さ。狩の楽しげな状況というより、のどかさが印象に残ります。推進力たっぷりの曲を、ゆったりと楽しむように演奏。ホルンと木管の音色はこの曲の印象をつくる重要なファクターですが、なかなかいい味を醸し出しています。このくらいのテンポでも十分聴き応えがあることがよくわかります。後半に向けて盛り上がらんとする間奏部分もざっくりしたオケの感触が最高です。再現部に入ってもテンポはそのまま、朗々とのどかな音響が響き渡り、最後はしっとりと終了。
このアルバムもふとしたきっかけで出会ったマイナー盤ですが、ちょっと前に取りあげたズーカーマンの哲学者と同様、曲を良く掌握してじっくりと演奏した燻し銀の演奏。テクニックやオケの精度はそこそこですが、アルバムから流れ出てくる音楽はハイドンの真髄をとらえたもの。最初は[++++]につけたんですが、レビューのために聴き直しているうちに、すっかりハマりました。このブログでは私の好きな演奏を評価するので、[+++++]とします!
このところいい演奏ばかり取りあげていますが、レビュー記事を一本書くには3枚ぐらい聴いて選んで取りあげています。やはり気に入らない演奏は筆が進みませんし、皆さんに紹介するには選りすぐりの演奏にすべきだと思いますので。今日はこれから近所で飲んできます!
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